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第22話 士官学校講義Ⅰ

「さて、諸君がこの先に命を捧げる我が帝国の話をしよう。

 帝国はこの首都バンディッシュから始まった都市国家であった。

 海洋商業を発展させ国家の基盤を築き周りの都市国家を併合してブッシュテイン帝国となった。

 現在グワナダ大陸の約2分の1を占めるだが西の霊峰ラクシャタから連なるラクシャタ山脈を挟んで西側にアウルストリア王国、北西にガターヌ共和国という大きな二国、南西にはたくさんの独立都市国家群があり現在、南西の都市国家のうち沿岸部にあるバノーア、リケル・バルテアンナ・ケバブンを属国として橋頭保にし、アウルストリア王国の南にある島国ルルク国を海上封鎖して圧迫をしている。

 そしてガターヌ共和国との間にあるヴァッシュ王国には我が国への属領になるように勧告。それを拒否し徹底抗戦の構えを見せ開戦。密かな共和国の後押しにより現在は膠着した状態である」


 壇上にいる講師の先任少尉がそこで一旦話を区切り教壇の上の水を含み喉を潤し、一呼吸おいてしゃべりだす。


「さて、諸君らにとって国家の行く末など考えたこともない、というろくでなしばかりであろうからこれから帝国軍人として最低限知っておかねばならぬ情勢を理解してもらう。

我々の目的はこのグワナダ大陸を帝国が統一することだ。

 我々帝国はその偉業を成すために現皇帝ダルマイア・フォウ・リア・ブッシュデイン陛下が立ち上がられた。

 それを成すために現在ヴァッシュ、ルルクの二国と戦いそれに打ち勝てばこの大陸統一の難関アウルスタリア王国、ガターヌ共和国に牙を突き立てることができるのだ」


 熱の入った講師の熱弁を聞きながらルゥトは考える。

ようは侵略戦争だ。ブッシュデインは海洋商業で大きくなった国だ。同じく海洋商業を生業とするガターヌが目障りだから潰しとこうという考え。

そしてアウルスタリアに関してはアウスタリア側のラクシャタ山脈はレア鉱石の「ミスリル」「オリハルコン」が多く採掘される。アウルスタリアの資金源であり国の資産だ。だが帝国側の山脈からはほとんど出土しなかった。これら鉱石の独占が「気に食わない」それがアウルスタリアを攻めたい帝国の本音だろう。


だがアウルスタリアと帝国はラクシャタ山脈を挟んでいるため陸路での侵攻は難しい。進行するには北から山脈を回り込みヴァッシュ、ガターヌを通らねばならない。

もしくは南側の陸路を行く方法もあるがこちらは都市国家群が多くいちいち攻略して進むのは手間だった。烏合の衆とは言え侵略が開始されるとなると連携して反抗される可能性は高い。

そうなるとアウルスタリアと手を組み一大勢力になりかねない。

故にもう一つの案、海路が使われているのだ。

南沿岸の都市国家を属国として補給基地として使い、アウルスタリアの南下の島国ルルク王国を落としてその喉元に剣を突き付けたい。それが帝国の軍事目的であった。


ルゥトは内心でため息をついた。

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