表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/24

第八章 厳しい持ち物の検査とはどんなものか

◆ 登場人物 ◆


ダイチ(大地)

 オレ。中学二年生。メガネをかけている。

 ビキニ型宇宙人のテロリストと戦うビキニハンター。


ショウビ(薔薇)

 オレの妹。一つ年下。血はつながっていない。

 何らかの方法でオレの居場所を察知できる?


スイショウ(水晶)

 オレの幼馴染。同い年。家がとなり。

 なぜか学校にスタンガンを持って来ている。


P1(ピーワン)

 赤いビキニ型宇宙人のパトロール隊員。

 ショウビの下半身に寄生している。


P2(ピーツー)

 青いビキニ型宇宙人のパトロール隊員。

 スイショウの下半身に寄生している。


コハク(琥珀)

 オレの中学で生徒指導を担当する先生。

 実は痴女。



◆ これまでのあらすじ ◆


 ビキニハンターであるオレは、幼馴染の少女に寄生した宇宙パトロールのP2とともに、ビキニ型宇宙人のテロリストを追っていて罠にはまり、食品工場の冷凍室に閉じ込められてしまう。


 そこでの厳しい寒さに、地球の冬山で遭難した男女は裸で温め合うものだと信じ込んでいたP2は、オレと同じ毛布に包まったまま、本当に服を脱いでしまい、そこに現れた妹がそれを見て激怒する。


 そして感情的になった妹は、そこにあったハサミを手にして、オレのあそこを切断しようとするが、P2が持っていたスタンガンで気絶させて、どうにか大事に至らずに済む。


 しかし、こんなに相手の罠にはまってばかりで、ちゃんと任務を果たせるのか、オレたち………。




 オレは宇宙パトロールに寄生された妹と幼馴染とともに、曇り空の下、食品工場から続く道を走って、どうにか雨が降り出す前に学校に戻る。


 そして二人が塀を乗り越えるのを手伝いながら、妹のショウビに寄生しているP1に聞く。


「ところで、P1。ショウビは、授業を抜け出す時に先生に何て言ったんだ?」


「気分が悪いので保健室に行くって言ってたよぉ、お兄たん!」


「じゃあ、お前は妹の記憶に、保健室に行く途中でトイレに入ったら、貧血で立てなくなったというのを刷り込んでおいてくれ」


 さっき妹はP1によって、学校を抜け出してから食品工場で気絶するまでの記憶を封印されたので、意識が戻った後で戸惑わないように、その部分を補完しておくのだ。


 さらに幼馴染のスイショウに寄生しているP2にも、同じ指示を出す。


「あと、P2。スイショウの方も、お前の意識が表に出ている間の記憶がないから、偽の記憶で補完してくれ」


 だが宇宙テロリストの捜査で授業をサボるたびに、毎回トイレで貧血を起こしたという事にしていては、さすがに怪しまれるだろうから、別の理由も用意しておかないと…………。


 そう考えながら校舎に入ると、ちょうど休憩時間になったので、そのどさくさに紛れて、オレたちはそれぞれの教室に戻る。


 そして自分の席に着いてすぐ、クラスメイトから今までどこに行っていたのか聞かれるが、腹が痛くてトイレにこもっていたと答えると、風紀委員の副委員長でいつもマジメなオレがウソを吐いているとは誰も思わない。


 それから昼休みになり、いつもどおり三人で中庭に集まったところで、すぐにP1とP2を呼び出して、みんなで急いで弁当を食べ、少し前から降り出した雨の中を走って、取り壊される予定で立ち入り禁止の旧校舎に忍び込む。


 しかし時間が巻き戻される前は、確かにそこに現れた宇宙テロリストに寄生された女子生徒が、昼休みが終わって時間が経っても、ぜんぜん姿を見せない。


 どうやらそいつの行動は、ダイナマイトの罠を仕掛けてきた時とは、完全に変わってしまったようだ。


 それでオレがメガネを拭きながら、これからどうするのかを宇宙パトロールの二人に尋ねると、P2は困った顔をする。


「どうするかニャ……あの女子生徒の顔はダイチとわたしが見ているし、制服のリボンの色から三年生だという事も分かっているから、あとはクラスさえ分かれば、身元を調べられるはずニャんだけど…………」


 P1もその後を続けながら、眉根を寄せる。


「だけど下級生のアタシたちが、上級生の教室をのぞきに行ったらぁ、絶対に怪しまれるからぁ……」


「そうニャ……あの女子生徒は、われわれが食品工場の冷凍室で罠にはめられた時も、逃げるばかりで、こっちの顔を見てニャかったから、ニャるべく怪しまれニャいように、身元を調べたいんだけど…………」


 それを聞いて、オレはふと明日の予定を思い出す。


「あっ、そういえばオレたちは三人とも、明日の朝は、生徒たちの校則違反を校門で見張る、風紀委員の当番だ……その時にあの女子生徒を見付けて、適当な言いがかりを付けて、生徒手帳を見ればいいんじゃないのか? それなら怪しまれずに身元が分かるぞ」


 オレがそう言うと二人は喜んで、その後すぐに怒り出す。


「本当ニャ! それニャら大丈夫ニャ! …………でも、ダイチ! そんニャ大事な話を、ニャんですぐ言わないのニャ!」


「そうだよ、お兄たん! そうと知っていれば、最初から悩む必要はなかったよぉ!」


「ごめん。うっかりしていた……」


「…………ただそれでも、われわれは明日の朝まで、何もしニャいという訳にはいかないニャ! 宇宙パトロールの給料は、ビキニ星の市民みんニャの税金によって、まかニャわれているからニャ! だから今日の放課後も、怪しまれニャい程度に学校をまわって、あの女子生徒がどこかの部活に所属していニャいかを探る事にするニャ!」


「……お前たちも大変だな…………ところでオレは、放課後にコハク先生のところに行かないといけないから、それには付き合えないぞ」


「お兄たん、分かっているよぉ! 学校をまわるのは、アタシとP2の二人でやるから任せといてぇ! だけどお兄たんも、これ以上バタフライ効果が大きくならないように、あの先生の前で変な事をしないように気を付けるんだよぉ!」


 オレはその言葉で、今朝の自分が、その時には知るはずのない、隠しカメラの事をコハク先生にしゃべった影響で、宇宙テロリストの行動が変わってしまった事を思い出す。


「ああ……もうあんなバカなマネはしないよ…………でもお前たちも、オレがいない時に誰かに話しかけられたら、ちゃんと意識を引っ込めるんだぞ。そのしゃべり方で答えたら、絶対に怪しまれるからな」


「大丈夫ニャ! わたしたちだって、そんニャにバカじゃないニャ!」


 オレはP2のセリフを聞いて、ちょっと心配になるが、あんまり授業をサボってばかりだとマズいので、そこで話を切り上げて三人で旧校舎を抜け出し、雨の中を自分たちの教室に戻る。


 ……そして放課後…………。


 オレが生徒指導室に入ると、中にいたコハク先生は、誰にも邪魔されずに話したいからと言って、内側からドアをロックする。


 学校のドアは生徒が勝手にロックできないように、内側からでもカギを差し込まないといけない。


 だから、それをロックされると、オレはもう先生がカギで開けてくれるまで、ここから出られない訳だ。


 さすがにこの状況はヤバい気がするが、隙さえ見せなければ大丈夫だと、オレは自分に言い聞かせる。


 時間が巻き戻される前のオレが、コハク先生のパンツに液体をかけなければいけない事になったのは、妹と幼馴染のスカートの中に液体をかける訓練をしていたのを、隠しカメラで撮られて、停学になるところだったからだ。


 そんな弱みさえ握られなければ、いくら先生だって、オレに変な事はさせられないだろう。


 そう思いながらも警戒を怠らずにいると、コハク先生は窓際に寄り掛かる。


 さっきまで降っていた雨も止み、雲間から差し込む光を背にする豊満な身体の先生は、本当に女神のような美しさだ。


 オレは時間が巻き戻される前にあった出来事で、先生が痴女だと知っているから警戒できたが、そうでなければ、すでに意識が吸い込まれていただろう。


 そんなコハク先生が、オレを見つめながら口を開く。


「ダイチ副委員長。キサマはなぜ、この部屋に隠しカメラがあるなどと思ったんだ?」


 その質問に対して、時間が巻き戻される前にこの部屋でハレンチな事をして、それを撮られたからだとは答えられないオレは、この部屋の天井にある、隠しカメラが仕掛けられた火災警報器を見ながらメガネを直し、適当な事を言う。


「……先生。この部屋の火災警報器だけ、他の教室のものとは、少し形が違いますよね? それで、もしかしたらと思って、カマをかけてみたんです…………本当の事を言うと、この部屋に隠しカメラがあるなんて、ぜんぜん思っていません」


「そうか? 今朝のキサマは、それを確信しているような口ぶりだったぞ?」


「まさか……先生の気のせいです」


 すると先生はオレの言葉を聞いて、フウっとため息を吐く。


「いいだろう、ダイチ副委員長…………私は時間を無駄にするのは嫌いだから、はっきり言おう。キサマの言うとおり、この部屋の火災警報器には、隠しカメラが仕掛けてある……」


 そして少し間を置いてから、先生は言葉を続ける。


「……けれど、それは生徒を守るためだ」


 その言葉にオレはキョトンとなる。


「え? ……何で隠しカメラが、生徒を守るためになるんですか?」


「キサマも『取り調べの可視化』という言葉を聞いた事があるだろう? 警察による違法な取り調べを防ぐために、その様子を録画するというあれだ。この部屋のカメラもそれと同じように、生徒が教師から不当に扱われるのを防ぐために設置した。ただ、ここのカメラでは映像しか録画できないから、音声は私が自分のスマホで録音している」


 その説明は、恥女であるコハク先生にしては、ずいぶんとまともなものだったので、オレは意外に思うが、それを顔に出さないように気を付ける。


「なるほど……確かにそういう事なら、生徒を守るためになるでしょう…………だけど、この学校の校長先生が、よくそれを許可しましたね……」


「何を言ってるんだ、ダイチ副委員長。私が校長に許可などもらうものか」


「えぇえ! ちょっと待ってください! この部屋の隠しカメラって、先生が独断で設置したんですか!」


「当たり前だ。私は生徒指導を担当する教師だぞ。その私が生徒のためを思ってする事に、何で許可をもらう必要があるのだ」


「い、いや、先生! なに胸を張っているんですか! ちゃんと許可をもらわなきゃダメでしょう!」


 だがコハク先生は、オレのそんな訴えなんか軽く流してしまう。


「そんな事よりダイチ副委員長。キサマは明日の朝、校門で生徒たちの校則違反を見張る当番だったな?」


「……強引に話を変えましたね…………ええ、オレは明日の当番ですけど、それがどうかしましたか?」


「実は明日から持ち物の検査を、より厳しくしようと思っているんだ」


「はあ……そうですか…………でも持ち物の検査なんて、怪しい生徒のポケットやカバンの中を見たら、それで終わりですよね? それ以上どう厳しくするんですか?」


「別室に連れて行って、肛門の中も調べるんだ」


 その言葉に思わず大声を出すオレ。


「な、何を言ってるんですか、先生! 中学の持ち物検査で、肛門の中まで調べるなんて、あり得ないでしょう? ここは刑務所じゃないんですよ!」


「落ち着け、ダイチ副委員長。たとえばタバコなんかは、いくらポケットやカバンを調べたって、肛門に隠されれば見付けられないんだぞ。風紀委員として、そんな抜け道があるのを、くやしく思わないのか?」


「思いませんよ! どこの世界に、学校にタバコを持ち込むのに、肛門に隠すヤツがいるんですか! そんなヤツ、絶対にいないです!」


「ほう……絶対にいないだと…………なぜそう言い切れる?」


「いないものは、いないからです! どう考えたって、そんなヤツ、絶対にいる訳がないじゃないですか!」


「……この世に絶対と言えるものなど、何もないんだがなぁ、ダイチ副委員長…………ではもしも、そんなヤツが本当にいたら、キサマはどうする?」


「もしも本当にいたら、二度と先生の言う事に逆らったりしませんよ!」


「おやおや、ダイチ副委員長。そんな事を軽々しく言っていいのか? この世の中には、キサマが思っているよりも、変なヤツが大勢いるんだぞ」


「たとえそうでも、この学校に、タバコを肛門に隠して登校するヤツなんて、絶対にいません! だから、もしも本当にいたら、それからは先生の言う事に何でも従います!」


「……約束するか?」


「約束します!」


 するとコハク先生は、オレの目を見ながらやさしく微笑む。


「では、ダイチ副委員長。私の肛門を調べてみろ」


「…………はい?」


「キサマは、さっき言ったな? この学校に、タバコを肛門に隠して登校するヤツなんて、絶対にいないと…………ならばキサマは、私の肛門からタバコが出てきたら、これから私の言う事には何でも従う訳だ。ふふふふふふ…………じゅる……」


「そ、それは生徒の話ですよ! ……それに先生は、タバコを吸わないはずでしょう?」


 そう言いながら先生から離れようとして、オレは並べてある机にガタガタとぶつかる。


「ふふふふ。さっきキサマは『生徒』とは言わなかったぞ。それにタバコを吸わないからと言って、肛門にタバコを隠していないとは限らないだろう、ダイチ副委員長? …………どこにも逃げられんぞ……じゅる…………」


「え、いや、先生! な、何でオレに、肛門を調べさせるんですか!」


「ちゃんと肛門の中にタバコが入っているのを見せておかないと、後でポケットから出したに違いないなどと言われては困るからな……さあ早く調べるんだ、ダイチ副委員長…………じゅる……よだれが止まらんではないか…………じゅるるる……」


「……す、すみません、先生! オレが間違ってました! 許してください!」


「ああん? キサマ、風紀委員の副委員長のくせに、顧問の教師である私との約束をなかった事にするつもりか? …………そんなキサマには、たっぷりとお仕置きをしてやらねば……じゅる、じゅるるるるる、じゅるる…………」


 そうやって部屋の隅に追い詰められたオレは、先生の手を払おうとして腕をつかまれ、簡単に投げられてしまう。


「あっ!」


 コハク先生は剣道だけでなく柔道でも有段者だから、こうなると手も足も出ない。


「ふふふふ。キサマも柔道を習っているようだが、中学生ごときに負ける私ではないぞ」


 床に倒されて押さえ付けられたオレは、あっという間に手も足も結束バンドで縛られて、身動きが取れなくなる。


「こ、こんなものまで用意して、さ、最初からオレをハメるつもりだったんですね、先生!」


「ハメるだなどと、人聞きの悪い事を言うな、ダイチ副委員長。タバコを肛門に隠して登校するヤツなどいないというのも、そんなヤツがいたら私の言う事に何でも従うというのも、全てキサマから言った事だぞ……では今から、私の肛門を見せてやる…………ふふふふ……じゅるるる、じゅるるるるるるる…………」


 そうやってよだれを垂らしながら、縛られたオレの身体の上に後ろ向きにまたがって、スーツのスカートの中に手を入れる先生。


 ところがその瞬間、部屋のドアがバーンとふっ飛んで内側に倒れ、その上を妹のショウビがゴロゴロと転がる。


 そして呆然とするオレとコハク先生の前で、ショウビはゆっくりと立ち上がって、スカートに付いたほこりをパタパタと払う。


「……すみません、コハク先生。急いでいたもので、ついうっかりドアを壊してしまいました…………あら、兄さん。なぜ、そんなところで寝ているのですか?」


 ショウビのその言葉に、コハク先生があわててこの状況を誤魔化す。


「あ、ああ……今ちょっと、学校に侵入した不審者が、生徒を人質に取った場合の対策を話し合っていたところだ…………」


「まあ、それで兄さんは人質役として、手足を縛られているのですね」


「そ、そうだ。いやあ、ダイチ副委員長が、ぜひ人質役をやってみたいと言うのでな……はははははは…………」


 コハク先生はそう言って、ポケットから出した小さなハサミで、オレを縛った結束バンドを切っていき、それを見ながらショウビがオレに謝る。


「兄さん、すみませんが、おじいちゃんが、今日は早めに道場に来てほしいと言っていたのを、さっき思い出しました。ですので、これから急いで向かわなければいけません。よろしいですか?」


 オレはメガネを直し、手首の結束バンドがくい込んでいた部分をさすりながら、立ち上がって答える。


「ああ、大丈夫だ……いいですよね、先生?」


「…………もちろんだ、ダイチ副委員長……」


 こうしてオレは、もう少しでコハク先生の性奴隷にされそうだったところを、妹に助けられて切り抜ける。


 しかし午前中にあった、食品工場の冷凍室に閉じ込められた時もそうだったが、なぜ妹はオレのピンチを察知できるのだろうか?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ