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第十五章 イケメンのチ〇コが嫌いな女など、いる訳がない

◆ 登場人物 ◆


ダイチ(大地)

 オレ。中学二年生。メガネをかけている。

 宇宙テロリストに二度も殺されたが、時間が巻き戻されて、生きていた頃に戻る。


ショウビ(薔薇)

 オレの妹。一つ年下。血はつながっていない。

 ふくらはぎマッサージをしてあげたら、明日もやってほしいと言われたが……。


スイショウ(水晶)

 オレの幼馴染。同い年。家がとなり。

 幼稚園の時には百回くらいキスをしたが、それ以来初めてのキスをした。


P1(ピーワン)

 赤いビキニ型宇宙人のパトロール隊員。

 ショウビの下半身に寄生している。


P2(ピーツー)

 青いビキニ型宇宙人のパトロール隊員。

 スイショウの下半身に寄生している。


コハク(琥珀)

 オレの中学で生徒指導を担当する先生。

 実は痴女で、オレを性奴隷にしようと企んでいる。


タイヨウ(太陽)

 小学生の時にオレが投げ飛ばしたヤツ。

 その時にショウビの悪いうわさを流していた。



◆ これまでのあらすじ ◆


 ビキニハンターのオレは、幼馴染の少女に寄生した宇宙パトロールのP2と組んで、女子生徒に寄生した宇宙テロリストを抹殺するが、その現場を妹と先生に見られてしまう。


 その時、倒れた女子生徒から、宇宙テロリストの死体であるビキニを脱がせて喜んだところを見られたオレは、それをなかった事にしてもらおうと、地球の時間を巻戻すようにP2に頼む。


 しかしP2は、せっかく地球の被害もなく宇宙テロリストを抹殺できたのに、時間を巻き戻して、また最初からやり直しになるのはもったいないと、それを渋る。


 するとそこに別の宇宙テロリストが操る宇宙兵器が現れて、オレはこれで時間が巻き戻されると安心するが…………。




 グラグラと揺れる学校の階段の踊り場で、オレが床に手をついて踏ん張っていると、さっきまで宇宙テロリストに寄生されていた上級生の女子生徒が、仰向けに倒れた状態で意識を取り戻し、薄く目を開ける。


「…………うーん……」


 それを放っておく訳にもいかないオレは、持っていた宇宙テロリストの死体である黒いビキニをポケットに入れて、その上級生が身体を起こすのを手伝う。


「大丈夫ですか? 起こしますよ……」


 だが幼馴染のスイショウに寄生したP2は、それを見て上の階から叫ぶ。


「その女子生徒の事は放っておいていいニャ! 宇宙テロリストが破壊活動を始めた以上、しばらくしたら地球の時間を巻き戻して、今起きている出来事は全部ニャかった事にニャるんだから!」


 その言葉に叫び返すオレ。


「そんな事を言う暇があったら、さっさと時間を巻き戻せよ!」


 しかしP2は、割れた窓の外に見える、チェーンソーをいくつも付けて夕日に照らされた巨大な機械を指さしながら、それを拒否する。


「何言ってるニャ、ダイチ! あの宇宙兵器『チェーンソーっち』を操っている宇宙テロリストが、この近くのどこかにいるはずニャ! 時間を巻き戻すのは、そいつを見付けてからでニャいと、後で手がかりがニャくて途方に暮れるニャ!」


「くそっ……そうか…………あの機械が出現している今こそ、誰に寄生しているのか分からない、もう一体の宇宙テロリストを見付けるチャンスなんだな……」


 オレとP2がそんな話をしていると、階段の途中まで上がっていたコハク先生と、妹のショウビが、ガタガタ揺れる校舎の手すりにしがみ付きながら、けげんな顔をする。


「……ダイチ副委員長? キサマ、あの機械の事を知っているのか?」


「…………兄さん? 上から聞こえるのは、スイショウさんの声ですよね? 彼女は何で変なしゃべり方をしているのですか?」


 どうせ時間が巻き戻されれば、その二人の今の記憶もなくなるので、宇宙テロリストが地球に潜入している事や、宇宙パトロールがそれを追っている事を、ここで教えても構わないのだが、二人がそれを信じるとは思えないし、その説明をする時間も惜しい。


 それでオレはコハク先生とショウビを無視すると、揺れが小さくなったタイミングで女子生徒から手を放して、床に落としていた水鉄砲を拾い、上の階に駆け上がる。


「コラ! ダイチ副委員長! 私の質問に答えろ!」


「兄さん! どこへ行くんですか!」


 二人の声を背に受けながらオレが三階に上がると、窓の外にいる巨大な機械が、土煙を巻き上げつつ、クモのような脚で校庭の穴から身体を持ち上げる。


 地上に出たその機械は、三階にいるオレの目線よりもさらに高く、夕日の中に浮かぶその姿は昔のSF映画のようで、とても現実とは思えない。


 その光景に呆然とするオレに、P2が怒鳴る。


「ボーとするニャ、ダイチ! あんたの妹の感情が高ぶっているから、今はP1が意識を表に出せないニャ! だから、わたしとダイチの二人だけで、宇宙テロリストを見付けるのニャ!」


 そう言いながらP2は、ビリビリと振動する校舎の中を走って行くので、オレもそれを追って反対側の階段まで行き、手すりにつかまって苦労しながらそこを降りて、何とか外に出る。


 するとその直後にチェーンソーを付けた何本もの機械の触手が、その校舎の破壊を始め、振り返ったオレは、崩れていく建物の前でつい立ち止まってしまう。


「ああっ!」


「足を止めるニャ、ダイチ! P1が死んだという連絡はまだニャいから、あんたの妹はすでに逃げたはずニャ! それにたとえ死んでも、地球の時間を巻き戻せば、それはなかった事にニャるから、今は宇宙テロリストを見付ける事に専念するのニャ!」


「……そうだったな……ごめん!」


 そう言って、オレがメガネを直しながら再び走り出すと、P2は中庭の方に逃げまどう生徒たちの集団を見付けて、そっちに向かう。


 もうすぐ最終下校時刻だが、運動部で全国を目指すようなところは、時間ギリギリまで練習をしているらしく、それなりの人数の生徒がまだ校内に残っている。


「宇宙テロリストも、自分が寄生している女子生徒の身体を危険にさらす訳にはいかニャいから、そいつは逃げる生徒の中にまぎれ込んでいるはずニャ! ダイチ! とにかく女子生徒がいたら、何も考えずにパンツに『ビキニキラー液』をかけるのニャ!」


「分かってる!」


 そしてオレたちは、チェーンソーを振り回す巨大な機械が校舎を次々と破壊していく間を縫って、女子生徒のひらめくスカートの中に水鉄砲で液体をかけていく。


 もちろん、そんな事をされた女子はビックリして目を白黒させるが、巨大な機械から逃げないと死んでしまうので、その女子もすぐにまた走り出し、オレたちのその変態行為を止めようとする者は誰もいない。


 だが走り回る女子のパンツに液体をかけるのは、ただでさえ難しいので、暴れ回る巨大な機械に注意しながらだと、多くの生徒を逃がしてしまう。


「おい、P2! この状況で、宇宙テロリストを見付けるのは、よっぽど運が良くないと無理だぞ!」


「あきらめるニャ、ダイチ! この機会を逃したら、後で大変……」


 そこへ建物の大きな破片がガラガラと崩れてきて、オレはとっさにP2を突き飛ばす。


「危ない!」


「ニャ!」


 地面に倒れたオレが顔を上げると、P2は尻もちをついているが、どうやら無傷みたいだ。


 けれどオレは、大きなケガはなかったものの、倒れた状態で制服がガレキに挟まって、ひっぱっても動けない。


 そうしている間も、チェーンソーを付けた機械の触手がゆらゆらと動きながら、近くの校舎を切り刻み、オレたちの周りに小さな破片が降り注ぐ。


 これは絶対にヤバいと思ったオレは、すり傷だらけの手を制服の上着とシャツから抜いて、Tシャツ一枚になると、そばに来たP2と二人でズボンをつかんで引っぱるが、それはガレキの間にガッチリと挟まって、どうやっても抜けない。


 その時、ボンっと音がして、近くの校舎から炎がふき出す。


「ダイチ! このズボンも捨てるのニャ!」


 そう言われたオレは、あわててズボンのベルトを外してファスナーを下げ、上履きをはいたまま無理やり脚を引き抜く。


 ところがその時、なぜかP2はオレのパンツをつかむと、それをエイっとはぎ取って、燃えている校舎の火の中にポイっと放り込む。


「お、おいっ! P2! 何でオレのパンツを?」


 驚いたオレは、Tシャツ一枚に上履きだけという変態的な格好で、大事なところを両手で隠しながら、落ちてくる破片を避けつつ、必死にP2を追いかける。


 するとP2は、壊れていく校舎から離れながら、うろたえるオレを見てニヤリと笑う。


「さっき、いい事を思い付いたのニャ…………ところで、ダイチ……おっぱいは好きかニャ?」


「はあ? お前、こんな時に、なに言って……」


「いいから答えるニャ!」


「え…………いや……それは、もちろん好きだけど…………」


「そうニャ! 男はみんニャ、おっぱいが好き……そしてそれと同じく、女はみんニャ、チ〇コが好きニャ! だからチ〇コを見せれば、普通の女子生徒は絶対にそれに関心を示し、そうじゃニャいのがいれば、宇宙テロリストに寄生されていると分かるニャ!」


「バ……バカ! 女がみんな、チ〇コが好きという訳じゃないだろ! でないとチ〇コを出した変質者が出た時に、誰が通報するんだよ!」


「ダイチ! あんたは分かってないニャ! チ〇コを出して通報されるのは、気持ちの悪い男の場合だけニャ! ダイチだって、気持ちの悪い女のおっぱいは見たくないニャ!」


「いや、でも、どんなにイケメンのチ〇コでも、見たくないって女も……」


「いないニャ! 美女のおっぱいを嫌いニャ男がいないのと同じで、イケメンのチ〇コが嫌いニャ女なんて、この世にいる訳がないニャ! たとえハリウッドの映画俳優のトム・ク〇ーズに関心がニャい女でも、トム・クルー〇がチ〇コを出したら、絶対に見るニャ! 見ニャいのは、宇宙人に寄生された女だけニャ!」


「なるほど……そうなのか…………って、うっかり納得するところだったけど、だからって、オレがチ〇コを出さなくても……」


「ダイチ! 地球を守るために、チ〇コの一つくらい出せニャくて、どうするニャ! それでもビキニハンターニャのか!」


「いや、それは、お前たちが勝手に任命……」


「ニャニャ! ダイチ! あっちに女子生徒の集団がいるニャ! あそこで、みんなにそのチ〇コを見せるのニャ!」


「……えぇえ…………マジか……」


 ため息を吐いたオレはメガネを直すと、もうヤケクソで、Tシャツ一枚に上履きという姿のまま、チ〇コを出して女子生徒の集団に向かって走る。


 それを見てギョっとなる女子たち。


 まぁ、いつも校門の前に立って校則違反を見張っている風紀委員の副委員長が、学校の敷地内でチ〇コを出して走っていたら、誰でもビックリするよな……。


 だがみんな驚きながらも、ちゃんとチ〇コを見るから、その視線がとてもアツい。


 しかし、いくら地球の平和のためでも、まさか中学生にもなって学校でチ○コを出す事になるとは…………。


 しかもこの出来事は、時間が巻き戻されて、みんなにとってなかった事になっても、オレの心には残るのだ……………………。


 そう思いながらしばらくすると、オレのチ〇コに関心を示さない女子生徒がいて、P2がそのパンツに液体をかけたら、それが本当に宇宙テロリストだったので、地球の時間が巻き戻される。


 ……そして三回目の巻き戻しによって迎えた、四回目の朝…………。


 目覚めると、オレの枕は涙でぐっしょり濡れていた。


 早くビキニハンターやめたい……………………。


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