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まほうちゅかいの生活

「俺が魔法使い?」あまりに唐突で突拍子もない話しに目が飛び出してしまったのではないかと思うほど、

顔が上気し、体温が上がった。確かに俺は魔法使いだ。でもそれは日本で言うところの30歳を過ぎてまだ貞操を粛々と守り続けている守り人に対する尊敬と嘲笑の意味を込めたそれだ。本当に尊敬が入っているのかは果たして疑問が残るところではあるのだが・・。まだ18歳の人に使う言葉では決してないはずなのだが一応その称号は持っていることになっているようだ。不名誉なっ。

しかし、シルフィーは嬉しそうに続ける。「そうなの。トウマは魔法使いなのは間違いないんだけど。でもどんな魔法が使えるのかは私には分からないの」あーもう。可愛くて話しが入ってこないよ。なんだか自分が本物の魔法使いなんじゃないかと錯覚してしまいそうだ。

「じゃあ、早速行こっか。」どこになどと言う野暮なことはきくまい。どこどこといわれても分かるはずがないのだから。シルフィーはメイドに何か一言二言、言ったかと思うとその場で着替え始めた。急いで目をそらしたが、さすがに刺激が強い。無心無心無心無心。唱えてもだめだ。ヤバいどうしようこれは警察に突き出されてしまうのでは無いだろうか。外見はどう見ても幼女。これまで言葉を濁してきたがここに来てから彼女はどう見ても幼女なのだ。グレゾーンにいたのに今では完全にアウトである。警察という組織がここには存在しないことを願って後ろを向く。神のいたずらか、まさかの鏡がそこにはついていた。しかし、シルフィーノ裸よりも気になることに気づいてしまった。実際は脳の半分以上はシルフィーで埋め尽くされているのだが、残った半分がいい仕事をしてくれたようだ。自分の外見が幼くなっていることに気づいた。年にして15才そこらの少年にしか見えないのだ。地球と時空的なずれでも生じていたのだろうか。とっさにこの仮定を頭の中で立てたとき、メイドの声が聞こえた。そして確信した。仮定の正しさを。なるほど確かに幼女になるはずだ。日本で16ならばここでは9才なのだから。そんなことを考えて自分を鎮めていると、後ろからおなじみのかわいらしい声が聞こえた。「じゃあ、行きましょう。」あなたがどんな魔法が使えるのかたのしみだわ、あ・な・た。突然、耳元で新婚ほやほやのような呼び方をされ、ぶるっと体が震えてしまう。やけに妖艶だった。結婚などしていないのに。

その日は、普通にご飯を食べ、そして少したわいもないようなことを話したあげく、シルフィーが早々に寝てしまった。やることもなくただ空を見上げていたのだが空を魔法で飛ぶ妄想をしていた事までしか覚えていない。

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