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プロローグ

「バイクって男のロマンだよな!」

こんなセリフを男子諸君なら誰しもが一度くらい聞いたことがあるんじゃないだろうか。


俺、山中海人は高校2年生の7月に放課後の教室で聞いたのを今でも鮮明に覚えてる。


「もうすぐ夏休みじゃん?どーせ家でダラダラ過ごす夏休みを送るくらいなら、一緒に原チャの免許取りに行かね!?空いてる時間にバイトとかすりゃ、お金は何とかなるって!俺もう短期のバイト先も決めて、車校の手続きも終わらせてんだ!一緒に、暑い夏を送ろうじゃないか、海人よ!」


こいつは俺の友人、瀬川巧。夏の暑さでおかしくなった訳ではない。むしろ正常運転だ。てか、夏の暑さよりこいつの方が熱い。いや、訂正しよう、暑苦しい。中学からの付き合いではあるが、何度か本当に嫌になったこともある。でも、気がつくといつも一緒にはしゃいでる。みんなだってそーゆーやついるだろ?一人や二人。


んで、だからこそ分かった。こいつ、ガチで言ってるな、と。

先程の熱弁と、現在俺に向けている期待の眼差しもそれを物語っている。はぁ、こーなったらこいつは手に終えないんだよなぁ。しょーがねーなぁ。。。


「俺はいーや」


「おぉぉぉぉぉぉい!?なんで今『確かにお前の言うとおりだな』みたいなリアクションしたのにそんな冷めた返答なの!?おかしいよね!?ねぇ!?」

いや、そんな反応してねぇよ。呆れてただけだろうよ。どーやったらそんな自分の都合のいい解釈。。。おい、机壊れるからガンガンするのやめろ。マジで。


「あのなぁ、夏休みの課題だってたくさんでただろうが。そんなバイトとか車校とかにかけてる時間なんて俺にはないんだよ」


うん、まともな高校生らしい返答ができた。完璧だ。


「またまたぁ~。海人君、そんな優等生のフリなんてしちゃっていいのかなぁ~?ここに、昨日とあるコンビニで撮影した一枚の写真があるんだけどね?そこに写ってるのは、トイレ側の雑誌のコーナーでキョロキョロしながら立ち読みをする君」


「よし、バイト先と車校の連絡先を教えろ。そして今ここでその写真を削除しろ」

「さっすが海人!話が早くて助かるぜ!(笑)」


そんなこんなで、俺は原チャの免許を取るために夏休みをアルバイトと車校に費やした。もちろん、夏休みの課題もきちんとやったぜ?写真のバックアップをとって再度俺を脅してきたあいつの分も合わせて二人分な!


原チャの免許はおよそ1週間ほどで取得できた。学科試験の内容は教科書を読めばスラスラと理解できた。まぁ、普段から目にしてるような標識とかは分かるしな。問題は原チャを買うお金を稼ぐことだった。高校生の時給じゃ中々稼げないのに、回ってくる仕事内容はほとんどが重労働。店長の口癖は『若者は元気をあり余しているだろう!』だった。元気=体力ではないということを一体いつになれば世間に分かってもらえるのだろうか。


そしてついに8月中旬、念願の原チャを手にいれたのだ。

「きたきたきたぁぁぁぁ!俺の青春はまさに!今!ここから始まろうとしているのだ!俺は今日、この新しい相棒と共に、風になるのだぁぁぁぁ!ハッハッハッ!」


今までになくハイテンションな巧は天に手を広げて喜んでいる。ちなみに、あいつは俺と一緒にやってたバイト以外にもいくつかのバイトを掛け持ちでやってたらしく、ピッカピカの新車を購入していた。対して俺のは随分と年期の入ったやつだった。何むちゃくちゃやってんだと思う一方、少しだけ羨ましかった。ちくしょうめ。


「よしっ!それではこれより飛鳥港に向けて出発する!海人、ハヤテ!準備はいいかぁ!」

「俺は準備できてるが、ハヤテって誰だよ」

「俺の相棒さ!」

こいつ、あまりの嬉しさにバイクに名前つけてやがった。


飛鳥港に向かい出してから約20後、ようやく海岸沿いの道に出てきた頃。二人のテンションに差が生じていた。


「ひゃっほぉぉぉぉ!見ろよ!海だぞ、海!この浜風と一体になる感じ、たまんねぇぇぇぇぇ!」

「。。。暑い」

まさに、こんな感じ。言うまでもないだろうが後者が俺だ。


夏の暑さは耐えられるものだと思っていた自分が浅はかだった。メットを着けて夏のひざしを浴びるとヤバイ。暑苦しいとかのレベルではない。ジメジメしてムンムンして気持ち悪い。あいつ、よくこんな状況で楽しめるな。馬鹿なのかな?馬鹿なんだろうな。


「海人ぉ!港まではまだ少しあるぞー!こんなところでへばってんじゃねーぞー!俺はハヤテと先に行ってるからなー!よっしゃあ、、、行くぜハヤテぇぇぇぇ!」

あー、あいつ完全にスイッチ入っちまったな。ぜってーあれ30キロ以上出てんだろ。はい、馬鹿確定。


更に海岸沿いを進むこと10分、ようやく実の姿が見えてきた。。。と思ったらあいつ路肩に停まってないか?港まであと少しなのに、俺を待っててくれてんのかな?

優しいところもあるんだなと少しだけ嬉しさを感じて進むと、その原因が明らかとなった。先程の位置からは見えなかったもの。


白と黒を基調とした車体。上には赤いランプ。


みんなも思ったろ?お約束だなって。俺もそのまんま思ったよ。


パトカーの停まっているところまで行くと、案の定巧が泣きついてきやがった。そのあと、俺らは車内で色々説教やら手続きやらさせられたのさ。


その時に思ったんだ。ムンムンするようなメットなんて被らなくていい。この夏の暑さに苦しむことのない空調設備。


「俺はバイクより、車の方がいい」と。





こんにちは、霜月弥生といいます。

今回が初めての投稿となります。

今まで小説を書いたことがあるわけでもなく、何か思いついたから書いてみようかなというテンションで書いた作品ですw


まだまだ書き始めたばかりですが、多くの人に自分の作品を読んでもらえると嬉しいです。目を通して下さった方、ありがとうございます!頑張って続けていければと思ってますので応援よろしくお願いします!

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