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「あ、先輩」
理沙と学食を食べていた所に、トレイを持った由香が目に入った。向こうもこちらに気付き声を掛けてきた。
「理沙さん、どうも」
「あ、由香ちゃん、久しぶり」
笑顔で挨拶を交わす由香だったが、すぐにその表情が神妙なものに変わった。
「いろいろ、今大変でしょうけど何かあれば言って下さいね」
「うん、ありがと」
他の友達と一緒だった為、そのまま由香は通り過ぎていった。
「相変わらずいい子ね、由香ちゃん」
「そうか? 普段は生意気で腹立つけどな」
「でも、結構健二気に入ってそうじゃん」
「まさか、妬いてんのか?」
「んなわけないじゃん。でも、ホント。大変なのは事実だしね」
「まあ、そうだな……」
この事件は、一体いつ終わるのか。
健二はつい先日の記憶を辿った。級友との再会と、新たに起きてしまった事件の事を。