緊急事態
音のする方に全力で走る。
白浜の結界にヒビが入る。
割れる音がする。
こちらに来る人がいる。
男はオーガに喰われて頭がない。
背骨が見えている。
オーガはカゴに男を入れ次の男を喰う。
男は鉄パイプでオーガを殴るが魔法鎧を使っていない。
喰われ喰われ喰われ喰われ
どんどん地獄と化す。
神には慈悲というものがないのか…
神様は死んだ。わかっている。
悪魔には慈悲というものがないのか。
ない。
悪魔は男は食べて女は遺伝子をのこすもの。
そうだった。
目のまえにいるオーガをマスターは真っ二つにする。
どっちが悪魔だろうか。
朧は額の部分に弾丸を撃ち抜いていた。
俺も結局はオーガを水の機関銃で殺す。
あっちからはどう見えているのだろうか。
「満、後ろ。」
短剣でザックリ刺す。返り血で顔が赤くなる。
マスターは魔法を使ってオーガをぺちゃんこにする。
「キャア!何よ。」
土でできた手らしきもうが彩をつかんでいる
。
どんどん上に上がる。地面から、土人形が出てくる。やばい、10メートルクラスのゴーレムは強い、俺ではどうにも出来ない。
でも、やるしかない。
「彩待ってろ。」
返事はない。意識はあるのだろうか。ゴーレムの指で判断出来ない。
「水の鎖」
水の鎖が手の中からゴーレムに絡むが、簡単に解かれる。
朧が後ろからささやく。
「10秒でいい。稼いでくれ。」
うなづくと水の機関銃をぶちかます。無駄か、ゴーレムに突っ込むが、蹴られて宙を舞う…後3秒、水の鎖再び絡むが、すぐに解かれる。それより腕がいたい。やっばり折れていた。
「稼いだぞ。朧後はまかせた。」
「了解。」
不安がただよう。そこで
「 雷の虎」
銃口から出た電気の虎がゴーレムの腹をえぐる…
「おい、こんなの知らないぞ…」
「当たり前だ、これはマスターを倒すための技に、とっておいたからな。」
「じゃあ、さっき使えよ。」
「いや…使おうとはしたけど、これは10秒のためが必要なんだ。たぶん、マスターだと待ってくれないだろ…」
「確かに、あまいとか言って吹き飛ばされるな。」
「お前ら、それよりもゴーレムをやれ。」
マスターの声がとんでくる。
「やりましたよ。」
えぐったよな…ああ、えぐれてる。
「違う、ゴーレムは1分経つと、まだ近くに自分の一部が大きいままなら、呼び寄せて自己修復する。だから、えぐったかけらを粉砕しておけ。」
ゴーレムのかけらに向かって弾丸を数発打ち込む。
「これでいいな。彩を探すぞ。」
「馬鹿女をか。了解」
彩は地面で倒れているが、意識はない。顔を数発叩くと身を覚ました。
「ここは…どこ。満に朧どうしたの。てか、満その手どうしたの…神の薬」
10秒も経たないうちに腕はなおった。
「てか、私どうしたんだっけ?」
「ゴーレムに捕まってたんだよ。この、お荷物女。」
「ごめん…」
「なんて。もう一回」
「おい、やめとけ。てか町に向かうぞ。」
紳士はレディにを責めない…常識だ。
そして町に向かう。
町に入ると、戦士以外のだいたい人間は一箇所に集まっている。そこを何人かの戦士が戦っている。それでも、逃げ遅れた怪我人が後を絶たない…
そこで、怪我を治す魔法を使える彩は怪我人を回復させる。
ああ…天使だ。
人間はまだ悪魔とは化していない。
そんな事を思っていると、壁をぶち破ってマスターが吹き飛ばされてきた。
「避けろ。」
鉄球が飛んできて、怪我人が数人押し潰される。
三つ目の大男、キュプロスが数体立っている。目が赤くひかり右手には青く燃える炎が、ゆらいで腰には研ぎすまされた長刀、背中には、鉄の塊を背負っている。