本当の私。
結構長いので注意です!!
ここがブルモア有川学園か…。
なんかすごい学園名だけどそこらへんはスルーしとこう。
「なにあの子芸能人?」
ここって芸能人がいるんだ…。私立でも芸能活動していいんだね…。
「可愛い!!」
女の子の芸能人かー…。
周りをキョロキョロして、その芸能人を探してみる。
…結構、テレビを見てると思うんだけど分からないや…。
まあモデルとかなんだろうなー、憧れるなー…。
私はなりたくないけど。
学校長や担任の先生に一通り挨拶をした。
ここは屋上があるんだよね…。
立ち入り禁止になってるらしいけど、担任の矛田先生によると全然気楽に入ってる人もいるらしい。
私も少し冗談交じりで「私も行ってもいいですか??」と言ってみると、先生は「うーん、桜ちゃんだったら先生許しちゃう!!」と言う。
この先生、多分女ったらしだな…。
そして朝、屋上に寄ってみると男子生徒の声がした。
?? 「…もうこの際男でもいいんだぞ…。」
?? 「おい目を覚ませ!!」
…一体なんの話をしているのか読めない…。
目をテンにしていると、キュッキュッという上履きの音と話し声。
篠原 「やばっ」
とっさに隠れ場所を探して逃げ込む。
?? 「あー!!やっぱここに居ったん???」
?? 「珍しく早起きじゃねーか、コノヤロー」
…クスッと笑う。
なんか、いいなー。こういうのが青春?
屋上に「やっぱここに居ったん???」って…。
いつもいるのかな…。
まあいいや。行こうっと。
そして色々学校見学をしていると、チャイムが鳴った。
教室行くか。
教室に急いで入る生徒達。教室の前では、矛田先生が待っていた。
矛田 「お、来た来た。
んじゃ、『出て来て』って呼ぶからねー。」
わかりました。の代わりに一礼すると矛田先生は私の頭を撫でてガラッと教室の扉を開けた。
矛田 「はーい、朝のHR始めるぞー。」
ドキドキし始めた。はぁ…。
でも大丈夫、まだ『一日の連絡』とかがあるから…。じっくり考えよう…。
北山 「そんな事いいから早く転校生出して欲しいんだぞ!」
げっ…!
私の頬を冷や汗が伝う。
誰よこの空気読めない奴!!
この声は、屋上で聞いた声だっけ…??
西宮 「せやでー、早く転校生出せぇやー!」
ちょっ!!自己紹介ぐらい考えさせてよ!!
東浦 「出せ出せー!」
南沢 「おいおい、お前らHR中だぞ!」
一人ちゃんとした奴いるけど、全員屋上で聞いた声よね!?
最悪だわ…。えーと、えーと、とりあえず名前を…
矛田 「…ったく、東西南北め…。
分かったよお兄さん負けた。
おーい、篠原さーん」
先生ー!!?負けないでよ!
うー…、出るしかない、出るしかなーい!!
私はノリに任せ扉を開けた。
意外とドアが硬くて『ガラッ』という大きい音が出てしまった。
篠原 「…。」
あー、多分私、今顔真っ赤だ。
恥ずかしくて顔を下に背ける。
矛田 「じゃあ自己紹介よろしくねー」
とりあえず顔上げなきゃ!
…よし!!
篠原 「篠原桜!よろしくお願いします!」
そして、礼。
…沈黙。
うわあああ!!泣きたい!!泣きたい!!学園デビュー失敗だよ~っ!
矛田 「じゃ、篠原チャンの席はあそこよーん」
私は頷いて、その指定された席に座る。
?? 「よろしくねー!」
篠原 「あ…!
よ、よろしくね!!」
私は出来る限り微笑んで言う。
元気そうな子で良かったー…。
青木 「私、青木 楓!!」
篠原 「青木さんだね!よろしくね!」
微笑まなきゃ、微笑まなきゃ。
青木 「楓って呼んでよー!」
いきなり呼び捨てとか、無理に決まってるでしょ!!
篠原 「いやいやー、じゃあ楓ちゃんで!」
そうやってはぐらかした。
矛田 「んじゃ、今日はここまで!
日直号令!」
「起立!!礼!!着席!!」
むさ苦しい声で私は立ち、礼して座る。
はぁ、第一関門突破…。
『ドドドドド…』
なんの音…
篠原 「ひっ…!!」
「ねえ篠原さんって彼氏いる!?」
「ねえ、美術部はいらなーい!?」
「篠原さんメアド交換しねぇー!?」
「チアやらない?あなた可愛いからいいと思うんだけど!!」
「篠原ちゃん好きです!」
「おいお前勝手に告白してんじゃねーよ!!」
「あんたたちうるさいんだけど!!」
……。
「みんな張り切ってるんだぞ…。」
「せやなー!!」
「俺はどうでもいいんだけどなっ。」
「おいおい強がるなってー!」
誰かの声が小さく聞こえる。あっという間に囲まれてしまった。
篠原 「あの、…はは…。
えーっとー…。」
浴びせられる質問と勧誘。
私はどう対処していいか分からなくて、とりあえず静かにした。
「何やってんだー!!そろそろ始まるぞ!!」
数学の先生は言う。
助けてくれた…!今の私にはあなたが天使に見える…!!
そしてまたむさ苦しい声に従ったら、私は空を見る。
はあ…。授業つまらないッ!!
30分は耐えましたとも、耐えました。ですがもう限界です!!
篠原 「先生…。」
出来る限り力の無い声で言う。
「なんだ??」
篠原 「ちょっと…。気持ち悪くて…。」
「そうか、転校で疲れたんだな。保健室行ってこい。」
…よっしゃーい!!無事抜け出し成功!!
屋上なら誰もいないはずだし、そこにサボりにいこうかな…。
屋上へ続く階段で、私はふと思う。
篠原 「結局ー…。変われなかったなー…。キャラ。」
まあいいけど…。
はぁ…。
ん…?誰か居る??
一瞬扉を開けかけたが、まあばれてないよね…。
東浦 「げっ」
西宮 「痛い痛い乗っからんといてーや、キタぁー!」
北山 「何か今扉が開く音しなかったかい???」
げっ!!バレてる…!!ヤバい!!
わたっ、わたしどうしよっ…!
西宮 「いてて…、先公ちゃうん???」
北山 「先公だったら、俺達が屋上にいることとっくに知ってるんだぞ」
東浦 「え、そうなの?
でも生徒はいいこぶってこないだろ。」
そう、そう、じゃあネコじゃないかしら、ネコよネコ!!
だから開けないで!!
私の思いも虚しく、ドアは開いた。
篠原 「ぎゃっ」
そして私は床に突っ伏している…。
桜 「あっ、あんた達助けなさいよ!!!」
本当あり得ないわ!!
私はスカートを払ってから、転ばした奴らをチラッと見た。
篠原 「ったくー…。
届いたばっかりなんだよ!?このスカート…。
もーいいけどさー!
手も差し出せないなんて、紳士じゃないわねー!
ばかばかばーか!!」
本音を爆弾のように次々と爆発させる。
このスカートの柄はあんまりお気に入りじゃなかった。
だから今回は許すけど、もし冬服でやったら許さなかったわ!!
冬服のスカートは可愛いんだもんね!!
北山 「篠原ってー…。
こういうキャラなのかい…?」
…!!
や ば い バ レ た ! !
すっかりキャラのこと忘れてた…!!
…仕方ないから本当のこと話すかー…。
東浦 「そうだったのか…。
ぷっ」
西宮 「『ばかばかばーか』なんて言うんやなー」
こ…こいつら…!!
そっちが100%悪いのにー!!
篠原 「ううう、うるさい!!
とにかく、私が口が悪いのは…別の人には伏せといて欲しいんだけど…いいか」
『な』を言おうとした時、メガネをかけた奴が口を開いた。
北山 「そっちのほうが面白くていいと思うけど…。」
篠原 「面白いって何よ!」
とっさに反応して私は怒ってしまう。
もうバレたからいいんだけどねー…。
西宮 「はいはい!質問やー!」
む?関西弁野郎!
篠原 「なに???」
西宮 「なんでここに居るんー?」
うっ、痛い所を!!
篠原 「…、疲れたから…。
保健室に行くって嘘付いたから大丈夫だと思うんだけど、バレたらもう終わりだー…。」
そして私はうなだれた。
本当は私、不良なのかもね…。
東浦 「うーん、つまり良い子ぶってたっていうことか??」
単刀直入すぎやしない!!?
…はあ…。
篠原 「直入に言ったらそうなるかも…。
前の学校でもそうしてたから…色々、疲れちゃって…。
それで父が転勤とか言うから、新しい学校では自分を出そう出そうと思ってたのに…。
なんか…、やっぱり無理だったっていうか…。
でも良かった!!自分を素直に出せる人がいて!!」
満面に笑みを浮かべてしまう。
なぜか、自然に出た。
…コイツらなら、本当のことを話してもいいかもしれないと思ってしまった。
私どうしちゃったんだろ。
北山 「そうさ!俺達の前ではいくらでも自分を出していいんだぞ!!
…あー、それと。」
アイツは少し溜めて、笑って言う。
篠原 「??」
北山 「桜って、呼んでもいいかい??」
篠原 「いっ!!!」
コイツなんなのッ!?
は、恥じらいってものを…!
西宮 「俺も桜って呼ぶわー」
東浦 「俺も俺も!」
あんたら…!!
南沢 「おーいお前ら、次はお前らのお昼寝タイムの国語だぞコノヤロー
ん」
篠原 「ひっ」
コイツ、確か生徒会長ッ…!!
北山 「ハハー!!来たかいミナミ!」
やばいっ!!本当どうしよっ!!
ううっ!!逃げ…
北山 「桜は本当は、ツンツンわがまま少女なんだぞー!」
桜 「!!」
バラシやがったコヤツ…!!
南沢 「…」
桜 「あんた何言って…!!
もー、やっぱり信じた私がバカだったわ!!」
本当最悪…。
南沢 「なーるほど。
つーか…
ここでサボってた事自体でイメージガラッと変わったけどな…。」
桜 「あっ、そうだった」
すっかり忘れてたわ…!!
南沢 「つまりコイツもヤンチャって訳かー?」
東浦 「うんそうそう」
桜 「ちがっ…!」
否定しなきゃ否定しなきゃ否定しなきゃ!
西宮 「言い逃れは出来へんでー」
桜 「うっ…。」
追い詰められた…。
もう泣きそうよバカー…。
北山 「じゃあ、篠原も俺達のメンバーになるんだぞ!!
ってことで、今度の土日、海行かないかい??五人で」
南沢 「海!?聞いてねーぞ!!」
北山 「ハハー、君は泳げないからねー」
南沢 「うるせー!」
…こんな私でも、仲良くしてくれるんだ…!!
私は、こいつらの会話を見て「へへっ」 と笑った。
桜 「楽しそうだから行く!」
と笑顔で言う。
東浦 西宮 南沢 北山 「…。」
あいつらが沈黙してるのに気づかず、私は「楽しみー♪」と呟いた。
…ていうか、コイツらの名前聞いてないわよね…。
篠原 「…名前、聞いてもいい??」
東浦 「俺は東浦大貴!
ヒロシって呼…」
北山 「北山広樹!
キタって呼ぶんだぞ!!」
東浦 「遮りやがったな…」
南沢 「南沢 朝。
ミナミって呼べコノヤロー」
西宮 「西宮 太陽やでー!
ニシって呼んでなー!」
…こいつらなら。あだ名で呼んでやってもいい。
…なんて。
クスッと笑って、私は言う。
篠原 「私は篠原桜。桜…って呼んでもいい…けど、その代わりアンタ達のこともあだ名で呼ぶけど。」
南沢 「いや、俺のことは会長様で頼…」
東浦 「このS!!」
北山 「桜は寮生活かい?」
そう、問題はそこなのだ。
転校は良かったけど、父と離れ離れになるのがいやだった。
篠原 「うん…。
お父さんと別れるのは嫌だったんだけど、みんなと一緒ならいいかな?
…なんて。」
西宮 「桜かわえーなー!」
篠原 「なっ!?」
軽々しく…何を……!
東浦 「顔真っ赤だー!」
こいつ…からかいやがってー!!
南沢 「…ていうか、もう国語始まってるんだけど…。」
北山 「どーせ寝るんだからいいんじゃないんかーい?」
転校初日で授業サボるとか…!
…ま、いっか。
篠原 「次の時間は一緒に出ようよ!」
南沢 「少なくとも俺は出るぞー」
北山 「桜が出るなら出るぞ!!」
東浦 「俺も出るか!」
西宮 「だるいけど出るわー!」
ふふっと短く笑って私は空を見上げる。
…すごく、楽しい。
誤字脱字あったらごめんなさい!!