偽り。
急いで投稿したので、誤字脱字あるかもしれません…。すいません!!
今回は桜の過去です。
篠原 「…。」
私は、この転校に乗り気だった。
父が転勤すると聞いた時、私が一番初めに発した言葉は、「転校するの?」だった。
父は苦笑しながら、「してしまう事になるかな。」と言った。
小学生では、偽って出来たキャラクターで、学校のアイドルというポジションを手に入れた。
友達に悩む事も無かった。勉強も、みんなの私へのイメージを崩さないように一生懸命して、テストでは毎回良い点だった。
すごく、楽しかった。けど、辛かった。
矛盾している毎日を過ごしていると、母が居なくなった。
母も耐え切れなくなったのだと思う。
矛盾している生活に。
父母は仲が良かった。そして母は、良妻賢母だった。
大きくなったら、絶対母みたいなお母さんになりたいと思っていた。
一度、父が浮気をしていると、母の親友がデマを流した事があった。
母の親友は父が好きだったのだ。
ずっとずっと好きだった父を取られた腹いせに、デマを流した。
…そして、母は壊れた。
「ずっと、ずっとあなたに尽くしてきたのに!!」
父が帰ってきて、晩御飯を食べ始めると母はお皿を一枚一枚割っていく。
父は、状況を理解できず慌てて母の手首を掴もうとする。
私も止めようと、今までドアの隙間で見ていたのだけれど、そのドアを大きく開けて飛び出した。
すると母は顔を上げ、泣き顔を明るくし言った。
「さっちゃんは…、さっちゃんは私の味方よね!!?
ずっと、私と一緒だったものね!?
ねえ!?そうよね!?」
怖い。怖かった。目を大きく開き父に肩を持たれながら母はしゃっくりを交えながらこちらを向く。
篠原 「…ッ。
そうだよ!!
そう、私はお母さんが大好きだから!!」
言うと、母は泣き出した。
泣き崩れて、私は母の肩をポンポンと叩いた。
父は、私達を口は笑って目は焦って見ていた。
ある夜だった。ガサッという音に目覚めてみると、母が馬乗りになって私を見ていた。
篠原 「な、なに?お母さん?」
私はできるだけ落ち着いて言うと、母は「ふふ、さっちゃんはお母さんの事好きよね??」と微笑む。
手元を見ると、包丁があった。
「一緒に死んでくれるわよね?」
終わった。
私は、尊敬していた母の手によって死ぬ。
ガッと扉があく。
光が見える。
「なにやってるんだ…!」
父が驚いた声をあげる。
「やめろ!」
母を無理やり私からはがす父。
「あなたのせいでしょ…?
あなたが浮気さえしなければ!!」
「していない!!」
即答する父。母は興奮して震えている。
「…桜は寝てろ。
お母さんが変な事してごめんね」
そして撫でられる。
母が部屋を出る。
父も続いて部屋を出る。
篠原 「…。
ッ…。」
声を押し殺して泣いた私の声は、もしかしたら父に聞こえただろうか。
…聞こえていないといいけれど。
小学生が抱え込むには重くて、辛くて押しつぶされそうで。
翌日、私は父と車とトランクとで家を出た。
もう母には会えない事を悟った。
篠原 「…さようなら、お母さん。」
床に膝をついて呆然としている母に言った。
聞こえて無くてもいい。
ただ、多分、狂った母に同情して出た一言だと思う。
私は、お母さんと似たもの同士だよ。
嫌われたくなくて、本当の自分を隠す。
相手を信じ切れない。
だからこんな毎日がつまらないと思ってしまうんだ。
桜視点でした。