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「船だあああああ!」


「人だあああああ!」


「まぢい゛い゛い゛い゛い゛いいぃ……!?」


こちらの世界に渡ってから初めて降り立つ街に、テンションが最高潮に高まり暴走したシャイに対し、ルスの素早く的確な蹴りが襲った。


見事に、ケツの真ん中に。


その無慈悲なる一撃は、シャイの可愛いケツを二つに割った。


それはもう見事にパカッと。


「シャイ、うるさいよ!他人の迷惑考えて!」


シャイが大声を出したせいか、周囲の人達から視線が集中しているのを感じ、恥ずかしそうにルスは文句を言う。


しかし、全く反省の色を見せないシャイはこともあろうに筋肉質な少女に対し、最悪な切り返しをしてしまった。


「ルス、痛いよ!自分の筋力考えて!」


そう言って、ルスを睨みつけた彼は自分の失言に気づいた。


「……あ…あの…、目が据わっていらっしゃいませんか?あれ、なんかすごい冷や汗出てきたんですけど。あの……ルスさん?ちょ、怖いよ?超怖いよ!?」


シャイは助けを求めてユーラテに視線を向けたが、彼女は何も見ていないと主張するかのように少し離れたところでそっぽを向いている。


「あれ!?この子、絶対関わらないつもりだよ!」


シャイがハッと気づいた時にはもう遅く、目の前には頭に怒りマークをつけてアッパーカットを放つ態勢の可憐な筋肉質少女がいた。


そして、ものすごい衝撃が彼の顎を襲う。


「カッ……ハッ……。」


倒れ行く身体。霞む視界。


シャイは薄れゆく意識の中で呟く。


「地の文、この街の……説明を頼んだ……。」






というわけで、どうも。説明を頼まれた地の文です。よろしくお願いします。


トレニア王国 衛星都市『将都カドナ』。


王都ナクルをぐるりと囲むように存在する五つの衛星都市のうちの一つだ。


このカドナの最大の特徴は、やはり何と言ってもトレニア王国最大の港だろう。


他国との貿易を一手に担っており、その姿はまさにトレニア王国の台所とでも呼べばいいだろうか。


様々な品物が入ってくるため、商人や多く、市場はいつもものすごい賑わいを見せている。


さらに、カドナにはこの国で最も高い建造物、大鐘楼がある。


鐘室には展望台があり、そこから見渡す景色はまさに絶景。


一見の価値ありと他国からも観光客が押し寄せる。


将都カドナは、そんな商人や観光客の集まる活気のある都なのだ。






ユーラテに頬をツンツンと突かれながら目を覚ましたシャイは


「……さんきゅ、意識戻ったよ。」


と地の文に感謝した。いえいえ。


「ラテちゃん、シャイくん。ほら、さっさと立って!行くよ!」


もう待ちくたびれたと、ルスは二人をせかす。


「……自分のせいじゃん」


ボソっと呟いた一言は、幸いにも周りの喧騒にかき消されルスには届いていなかったようだ。


ルスは、そうだ、とこちらを振り返った。


「とりあえず、ようこそ!トレニア王国衛星都市、将都カドナへ!」






三人は今、港を出発し西の商業地区を抜け都市の中心を南北に突き抜けているメインストリートを南の方向へ歩いている。


さすがにメインストリートというだけあって、脇には雑貨屋や飲食店などが立ち並びとても賑やかだ。


カドナは主に3つの地区に分けられており、西の商業地区、南東の工業地区、北東の教会地区が存在する。


「ルス、これからどこへ行くんだ?」


前を歩くルスに尋ねるシャイ。


「んと、まずはハンターズギルドに行くのが優先、なんだけど・・・」


「だけど?なにかあるんですか?」


言葉を濁すルスに、ユーラテが首を傾げながらに尋ねた。


「ラテちゃんもシャイくんも、大丈夫なの?」


「え?なんでしょう?」


「なんだ?何かあったっけ・・・?」


その様子に絶望したような顔をして振り返り、ルスは叫んだ。


「~~っ!ご飯だよご飯!お昼ご飯!お腹すいたーー!」


仕事より食い気を取るルスに心底呆れるシャイ。


「あー・・・。そうですね、少しお腹が空いたかもしれません。どこかルスさんのオススメのお店ってあるんですか?」


ユーラテの言葉を聞き、ルスもうれしそうに行きつけの店について教えてくれた。





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