さよならの暗闇(2)
「実っ!」
玲は叫びながら、猫のような俊敏さで背後へと振り返った。
壁に飾られた砂絵の前に、渡辺がにこやかに立っていた。
渡辺の顔はライトに照らされて陰影をつけ、その奥に潜む悪辣とした表情を映し出しているかのようであった。その胸元には、明かりを反射した真新しいネクタイピンが煌めいていた。
玲の目が、渡辺の脇に抱え込まれた実を捉える。実の手足は骨が抜かれたかのように身動き一つなく、物干し竿に干された布団のようにだらりと弛緩していた。
あはは、と今にも声を上げて笑い出しそうな表情のまま、渡辺の表情は凍りついていた。それが偏執に歪んだ異常者のように玲の瞳には映った。
玲は摘まんでいる塗装の剥げたネクタイピンに目をやる。
――いつだ。いつから渡辺は新しいピンに代えたッ?!
玲は必死に歯車を回して思い出す。
いつも皺くちゃで、だらしのない服装だった渡辺。その胸元には、ずっと昔から使用されていたと思われるネクタイピン。ピンは塗装が剥げ、光を返す力もないほど錆びたものであった。彼のその恰好が変わったことはなかったはずである。でも、ネクタイピンほどのものであったら、変わっていたとしても気が付かなかっただろう。
歯車の動きが滞り始める。ガチガチ、と機械的な音を擦り合わせ、駆動を止めようとする。玲はその稼働を止めないよう、呼吸を繰り返し無我夢中で頭に血を入れた。
そして、思い出した。
『あれ、鯉のぼりみたいだな』
――あのときか……!
たしか、陽平が欠席したためプリントを家まで届けにいった日のことだ。
強い風が吹いたとき渡辺のネクタイは、まるで鯉のぼりが風に煽られてはためいているかのように棚引いていた。ピンを着けていたのなら、絶対にそうはならない!
――ということは、あのとき渡辺はネクタイをピンで止めていなかった!
それが潤滑油となり、歯車は風を受けた風車のように回転する。
――あの日は、陽平が襲われた次の日のことだった。これはどういうことだろう?
渡辺は、陽平を襲ったときにこのピンを落とした。
そのことに渡辺が気付いたのは、多分、その次の日、つまり陽平が学校を休んだ最初の日、そして、陽平の家にプリントを届けに行った日。
渡辺は陽平の家を後にしてから、涼弥とボクが先に帰ったのを見計らい秘密基地で探していたのだ。夜になってもピンは見つからず、諦めかけたとき、突然、涼弥が地下壕を訪れた。そして、涼弥はピンを渡辺より先に手に取った!
玲がそこまで推理したのは、ほんの一瞬のことであった。
なので、玲が実の名を叫び、そのただならぬ様子に浩次が気付いて振り返るまでには、それほどの時間はかかっていない。
振り返った浩次は、渡辺の腕の中にいる人形のような実を発見し――叫んだ。
耳を劈くような声が反響し、何重にもなって鼓膜を叩く。
渡辺は眉をしかめ、「うるさいなぁ」と呟いて、ぞんざいな手付きで実を地面に放った。実の小さな体が弾み、地面に沈むようにして動かなくなった。
飛び出そうと前のめりになった浩次を、とっさに玲は制した。全身から興奮を噴出する浩次に、言い聞かせるように区切りながら言った。
「落ち着いて、よく、見て」
うつ伏せに地面に横たわった実の背中が小さく上下していた。意識がないだけで、まだ存命はしている。玲は声を落として渡辺に言う。
「先生が、陽平と涼弥を襲ったんですか?」
「襲ったとかいうと何だか私が変態みたいじゃないか……」と渡辺は独りごちる。
「大谷には逃げられちゃったから『未遂』だよね」
「未遂って――」
玲はその次に続く言葉を口にできなかった。
「変な想像はしないでくれよ。殺人未遂だよ、殺人未遂」
花でも咲いたかのように渡辺の白い顔が笑った。
未遂、殺人未遂。
陽平は未遂。
涼弥は――
「あああああぁぁぁぁぁああああ!」
制していた玲の手を跳ね除け、浩次が絶叫しながら渡辺に突進していく。
玲は心臓を握り潰されたかのように身動きができなかった。呆気なく渡辺に殴り倒される浩次を眺めることしかできなかった。
浩次は実のすぐ横に大の字に倒れ、奇妙な咳をした。その脇腹を渡辺が爪先で蹴り上げると、浩次は微かな呻き声を上げ動かなくなった。
地面に横たえた浩次と実を満足そうに見下げていた渡辺の白い顔が、ぐるり、と玲へと向く。
「どうして気が付いたの?」
声はいつもの軟弱な調子で、それがより一層玲を慄然とさせた。
玲の返事を聞く前に、渡辺は震える玲の指先にあった自分のネクタイピンを見付けた。
「あ、それどこにあった? ずっと探していたんだ」
そう言って、皺くちゃのシャツから伸びた手を前に突き出した。
「それ、大事なものなんだ。早く返しなさい」
玲は痙攣する肺と緊張しきった喉から、やっとの思いで声を捻り出す。
「りょ、涼弥は……ど、どこにいるんですか?」
――何で敬語? どうしてそんなことを聞くの?
どこかにいる冷静な自分が、口から出てきた言葉を聞いて失笑した。
「市川は死んだよ――獣が殺した。だから」
もう君とは会えないんだよ、教職者らしく諭すようにそう口にした。
「洞窟にいた私たちを、ずっと監視していたんですか?」
玲は自分の口が勝手に言葉を吐き出したことに驚く。蛇に睨まれた蛙のような心境であったが、存外、内心は冷静なのかもしれない。
「そうだよ。君たちが悪いことをしないように、昇降口で君たちが地下壕の話をしていたのを職員室で聞いた日から、あの祠の裏のスペースでずっと監視していたんだ。君たちがまた何か悪いことでもしたら、私も叱られてしまうからね」
地下壕の陰惨な空間が、その行動の異常性をより露出させた。
玲は祠の方へと視線を投げる。海賊の人形が邪魔をしているが、たしかにあの暗がりでは、誰かが奥に潜んでいても分からないだろう。最初からいたということは、地下壕へ行く合図を決めたあのときも、渡辺は祠の裏に潜んでいたのだろう。
――ボクたちが家に懐中電灯を取りに戻っている間に、渡辺はあそこに忍び込んでいたのか。
「しかし、この場所は本当にすごいね」
渡辺は手を突き出し、玲に向かい歩きながら続ける。
「いればいるほど、安心できるっていうのかな。体の中に『癒し』が沁み込んでくるような感じがして、とてもリラックスできるよね」
そう言う渡辺の顔は、先ほどからまるで変化なく、とても癒しを感じているようには見えなかった。玲は寄ってくる渡辺から逃げようと後退りしながらも、心では渡辺のその意見に共感していた。恐らく、陽平も実も浩次も涼弥も――口には出さなかったがこの洞窟の魔力に引きつけられていたのだと思う。
渡辺との距離がじりじりと狭まってゆく。それでも冷静な人格は、怯むことなく口を開く。
「どうして涼弥を殺したんですか?」
渡辺は興奮しているのか自慢話でもするかのように、いつもより言葉数多く話し始めた。
「今更こんなことを言っても信じて貰えないと思うけれど、本当に突発的な出来事だったんだよ。大谷を襲ったときもそうだったんだ。何の明かりもない暗い闇の中に身を置いたとき、胸の底にあったものが発作的に暴れ出したんだ。暴れ出して、それを止めることができなかった。市川を殺したあと、私なりに考えてみたんだ」
渡辺の口調に高揚した抑揚が少しずつ混じっていく。
「ネットとか、相手の顔が見られない状況に置かれたときの人間ってさ、野生に還るんだよ。そう、獣になるんだ! 理性を失くして、ちょっとでも気に食わない奴がいたら平気で悪口を吐いたり、もっとひどい罵詈雑言を平然と口にするだろ? ネットならそれだけで済むんだけれど――
もし、憎い相手に顔を見られない、なおかつ、自分も相手の顔を見られない。そんな状況がネット以外の現実世界にあったら、人はその憎い相手を平気の平左で殺してしまうんだよ、内田」
しかつめらしく渡辺は玲へと投げかけた。
「それは、先生は私たちのことが憎かったということですか?」
玲の問いかけに、渡辺の動きが止まった。まるで、今初めて指摘されてそれに思い当たったかのようであった。
「そう、だね。きっと私は君たちのことが憎かったんだ」
渡辺は前に突き出していた腕を下げて足を止め、顎を引いて地面に語りかけるかのように呟く。
「君たち五人が揃ったクラスを受け持つと決められたときは、それほど悲観してはいなかったんだ。一年我慢すれば、君たちは卒業して行く訳だしね。でも、君たちが悪行をする度に、他の先生から嫌味を言われたりするのが、どうしても耐えられなかった。お前たちが身勝手に、自分が楽をするために、あのクラスを押し付けてきたんだろ! って何度も叫びたくなったよ。けど、大した経歴のないペーペーの私がそんなこと言ったら、途端にどこか遠くの学校に飛ばされてしまっただろうね。それは嫌だったんだ。何だかんだ言いながらも、私はこの街が、あの学校が好きだったんだから」
「でも、私たちのことは憎かったんですよね?」
玲は卑下するような笑みを浮かべ、渡辺を挑発するように言った。
「そう、君たちさえいなければ、私はこの街を、学校を心の底から愛せていたんだ。君たちさえいなければ、私はもっと楽しい日々を送れていたんだ」
渡辺の口から歯軋りの音がこぼれた。胸に抱えていた憤懣を口に出せたことへの快感を噛み締めているのか、自分の犯してしまった罪への後悔を噛み締めているのか、そのどちらかだろうと玲は推察した。
「内田なら、私が市川を殺した理由を分かってくれるだろう?」
「たしかに、この場所で憎い相手と対面したら、そうするのかもしれませんね」
冷静な人格があっさりと肯定したのを聞いて、渡辺の表情が若干緩んだ。
後退する玲の腿の裏が固いソファーに衝突し、放り出されたかのようにソファーへと着席した。逃げ場を失ったはずであるのに、玲は悄然とソファーに腰をかけていた。
「先生は、陽平が虐待を受けていたことを本当に知っていたんですか?」
「もちろん、そんなこと知らなかったよ」
「そうだったのですか、私は勘違いをしてしまったのですね」
そのことに悔しさを滲ませることなく玲は続ける。
「先生と陽平の家にプリントを届けに行った際、先生は必死に陽平の父親に喰らいついていたので、虐待について知っていたのだと思ってしまいましたよ。それを見て私は、先生が陽平を救ってくれるかも、と変な期待をしてしまいました」
「内田たちから虐待について聞かされたときは、驚いたよ。あの馬鹿みたいに元気な大谷が裏ではそんな事態になっていたとはね。人は見かけにはよらないのだと良い勉強になった」
渡辺はソファーの玲に向かって前進を再開した。
「それでさ、大谷は本当に虐待を受けていたのか? あいつ否定しただろ、『俺はしつけの一環だと思っています』とか言って」
冷静な態度を維持していた玲の視線が、初めて動揺の色を見せた。回答を示さない玲に渡辺は着々と接近していく。
「先生は、陽平に顔を見られていたのかどうかが気になっていたのですね」
出し抜けに話題を転換した玲のことを疑問とも思わない様子で、渡辺は答える。
「そう。だから私も、あの日、一緒にプリントを届けに行ったんだ。そして、大谷の様子をうかがおうと思ったんだよ。もし、襲ったときに顔を見られていたのなら、大谷は何らかの反応を示すと思ったからね」
渡辺は大きくため息を吐いた。
「あのときは、虐待について知らなかったから、生徒も一緒にいた方が怪しまれないと思っていたのだけれどね……まさか、そんな面倒のくさい事態になっていたとはね。本当に焦ったよ」
――あのときの陽平の父親への食らい付き方は、今後の進退を思ってのことだったか。
「それに市川の件で中々職員室を抜け出せなくて、昨日は大谷のとこへ行けなかったし。だから、今日の機会に一人で大谷の家に行こうと思ったのに、君たちがなかなか折れないから困ったよ。特に明石。あいつは、私が虐待のことを知ったふうにしていると見抜いていたようだったね。まぁ、どうして知ったかぶりをしているのかは取り違えていたみたいだけど……それでも、本当に困った。他の先生でも呼ばれたものなら、余計に場が混乱して直接大谷に会えなくなるかもしれなかったしね。だから、妥協して君たちと行くことにしたんだ」
「子どもなら誤魔化せると思ったんですね」
「そう。所詮子どもだしね。危険そうだったら力づくでどうにかなる」
「まさしく今がその状況ですね」
「そう。まさしく今がその状況」
渡辺の骨ばった手が玲の首へと伸びた――
刹那。
玲の視界から渡辺が消えた。
「玲!」
名前を呼ばれた方へ向くと、そこには息を切らせた陽平がいた。
呻き声が聞こえ、そちらへと顔を返すと、ひくひくと痙攣するようにして渡辺が倒れていた。どうやら駆け付けた陽平が玲を救おうとして、渡辺を突き飛ばしたようであった。
地面で悶える渡辺のすぐ傍にある本棚の角が不自然な形に歪んでおり、陽平が突撃した勢いのまま、彼の頭部はその角に激突したのだろう。
「あ、やば。もしかしてあれって、渡辺?」
陽平は誰とも分からず突き飛ばしたようだった。自分が急襲した人物が担任の渡辺だと認知したようで大いに慌てた。
「ど、どうしてここに?」
玲の口調は、先ほどまで渡辺と対峙していたときのような冷徹なものではなくなっていた。窮地を救われたことよりも、陽平の登場に心底驚いているようであった。
「いや、玲が合図出したから」
「合図? いつ?」と首を傾げる玲に陽平は言う。
「お前、俺の家でクシャミして鼻の頭擦ったじゃん。あれ合図だろ?」
玲は陽平の家でしたクシャミのことを思い出した。あれは素のクシャミをして鼻を擦っただけだったようで、生理現象を指摘された玲は頬をほんのりと紅色に染め、緊迫したこの場にそぐわない反応を呈した。
「え、というか、どういう状況なのこれ?」
陽平は倒れていた実と浩次を発見して、現状の理解に苦しんでいる様子で玲のもとへとやって来る。玲は呼吸を整えソファーから立ち上がった。
「渡辺が、涼弥を――」
それだけで、陽平はすべて理解したようであった。驚かないところを見るに、彼にも渡辺が元凶であると納得しうる推測が既にあったのだろう。たとえ、玲の言葉が間違ったものであっても、今の陽平からは無条件で妄信するかのような従順ささえうかがうことができた。
陽平は渡辺の動きを見張るように目を逸らさず玲に尋ねる。
「浩次と実は平気なのか?」
薄暗くて不明瞭だが、浩次の厚い胸も上下しているのを確認し、「たぶん、気絶しているだけ」と玲は返したけれど、こう離れていては二人の詳細な状態が分からないので安穏としてもいられないだろう。玲は陽平の横に立ち、頭を押さえて悶絶している渡辺を見下ろして言う。
「先生、涼弥はどうしたんですか?」
玲は『遺体』という言葉を避けた。犯人である渡辺が殺したといっている以上、もう涼弥が帰ってくることはないのだろう。しかし、玲はその単語を口にしなかった。
『また、五人で笑おう』
浩次のあの言葉が玲の頭の中で繰り返された。玲はまだそれが実現すると信じていた。
「沈……め、た」
渡辺が息苦しそうに、しかしどこか嬉しそうにそう漏らした。後頭部に添えている手の間から、赤黒いどろどろとした液体が止めどなく零れ出ている。
玲は口の両端を上げて声を出さずに笑いながら、虫の息の渡辺に尋ねた。
「沈めたって、どこにですか?」
「そ……この、みず」
途切れ途切れに息を吐きながら、渡辺は震える指先で闇の奥にまで広がる水面を指した。緑地から拾ってきた石か何かを重しにして、涼弥を地下水の底へと沈めただろう。玲と陽平は茫漠とした地下水を静々と眺めて言葉を交わす。
「あそこにいるんだな」
「そうみたいだね」
そう返し、玲はシートの中心に置かれたライトにまで、ゆっくりと時間をかけて歩み寄った。その玲を見る陽平の瞳は、陶酔しているかのように虚ろであった。
二人は二人にしか分からない合図のように頷きあう。
玲が躊躇いもなくライトの電源を落とし――
世界は溶暗して親しんだ闇に包まれた。
昏黒を鍋で煮込んだかのような闇に、渡辺の痛みに喘ぐ声だけが聞こえた。
玲は顔の前にひらひらと手をかざす。
もちろん、見えるはずもない。
その手を口元へと持って行き、鋭く歪んだ唇を艶めかしい手付きで撫でた。
腹の底から、じくり、と湧き上がる疼きのような感覚を吐息とともに吐き出す。
どこに誰かがいるかも分からない暗闇に、目はその能力を発揮せず衰えて鈍る。その代行として、耳が、鼻が、肌が、剥き出しの内臓のように鋭敏になり、結果として目に見えないものまでも感じ取れるようになる。いないはずの『もの』をこの場に想像することができる。
それは、涼弥が語ったあの吹雪の小屋での話のように――四方形の部屋を、四人だけでも回れるようにするために、新たな『一人』の存在をこの場所に追加することができる。
玲は歩いて陽平の隣に立った。
倒れていた実と浩次が、むくりと地面から起き上がり苦笑いを浮かべながら、二人の元へとやって来る。
そして――
『さて、あの人どうしようかね、まったく』
涼弥が口元を釣り上げ、にやり、と卑しい笑みをして闇の底から現れた。
暗闇が体中の穴という穴から体内にどろどろと流れ込む。腹の底に沈殿し堆積したそれを、目を覚ました獣が鋭い牙を使って食らうのを見つめながら、渡辺が述べていた殺人の動機は本物だったのだと玲は思った。
暗闇で、憎い相手と、対面したら、人は、そいつを、殺す。
「涼弥はどうしてぇんだ?」
玲の耳のすぐ傍で陽平がそう涼弥に尋ねた。
『俺か? そうだなー、こいつに殴られたとこ、スゲー痛かったしなぁ』
涼弥は何か良い案がないか思案し、前髪をふぅと吹き上げた。
『お前と同じ目に合わせればよくないか』
浩次がそう進言すると、
『あ、それいいね! 僕もそれが良いと思う!』
実が賛意を表して、玲の顔色をうかがった。
「それでいいよ」
玲はいつも通り、一歩下がって皆の意見に賛同する。
『じゃ、そうするか。……一応、決を取ろうと思う。賛成の人は手を上に』
五本の手が真っ暗闇に浮き上がる。
それはあの日のロウソクのように、ゆらりゆらりと揺れては、闇に消えていった。
皆が地面にひれ伏し、もうほとんど動かなくなっている渡辺を見つめた。
『じゃ、先生。そう言うことになったから』
――バイバイ。
次で終わりです。




