クラス分け
適性検査が終わってからというもの、どうにも周りの視線が落ち着かない。
私とミエルが廊下を歩いていると、すれ違う新入生たちが、ひそひそと噂話をしているのが聞こえてくる。
「おい、あれ見ろよ。緑色の光の……」
「隣の子もすごかったらしいぜ。白と金の二色光だってよ」
(うーん……。あんまりジロジロ見られるのは、得意じゃないんだけどな……)
そんなことを考えながら、私とミエルは学院での最初の夜を明かした。
そして翌朝。
朝食を済ませて中央掲示板へ向かうと、そこはもうすごい人だかりだった。
クラス分けの結果発表だ。
(うわ、すごい人……! なんだか、こっちまで緊張してきたかも……)
「どきどきするね、リィア……。私、ちゃんとクラスに入れるかな……」
隣でミエルが、不安そうにごくりと喉を鳴らす。
「きっと大丈夫だよ、ミエル。……二人とも、同じクラスだといいね」
私がそう言って励ますと、ミエルは「うん!」と力強く頷いた。
私たちがそうやって話していると、ざわめきと共に人垣がすっと割れた。
その中心を、セラフィーナさんが昨日と同じ取り巻きの子たちを連れて、すまし顔で歩いてくる。
彼女が掲示板の一番前に立つと、周りの空気もさらに張り詰めた気がした。
やがて始業を告げる鐘が鳴り響き、一人の先生が羊皮紙の封を解く。
すると、魔法で名前がすらすらーっと浮かび上がってきた。いよいよ、結果発表だ。
周りから歓声が上がる中、ミエルも背伸びをして自分の名前を探す。
「ええと、ミエル・アルドンネは……あ!」
彼女の指が、ある一点で止まった。その顔が、ぱあっと輝く。
「リィア! 私、二組だって! 治癒魔法と薬草学の専門クラスみたい!」
「よかったね、ミエル! あなたにぴったりのクラスだ!」
私も、自分のことのように嬉しくなって、ミエルの手を握った。
「リィアは、絶対一組だよ! 私、見てくる!」
ミエルが私の手を引いて、人垣をかき分けながら一組の名簿の前へ。
その一番上、筆頭と書かれた場所には、やっぱりあの人の名前があった。
『一組筆頭:セラフィーナ・フォン・ヴァルノスト』
どこからか、「まあ、当然ですわ」なんて声が聞こえてきた気がする。たぶん気のせいじゃない。
ミエルは、その下の名前を一生懸命に目で追っていく。
でも、ない。どこにも、私の名前がない。
「あれ……? おかしいな……。リィアの名前が、ないよ……」
ミエルの声が、どんどん不安そうになっていく。
「どうしよう、リィア……! どこにも名前がないなんて……!」
涙目になって振り返るミエル。私も、さすがに少しだけ不安になってきた。
私が慌てて一組の名簿を自分で確認していると、ミエルが「あっ!」と小さな声を上げた。
彼女は、もう一度、二組の名簿を指差している。
「リィア、見て、ここ!」
自分の名前、『ミエル・アルドンネ』の文字のすぐ下。
そこに、私の名前が並んでいた。
『二組:リィア・フェンリエル』
「……本当だ。私、二組……?」
その事実に気づいた瞬間、私の胸の中にも、じわっと温かい喜びが広がっていく。
「……そっか。ミエルと、一緒なんだ……!」
「うん!」
ミエルは、満面の笑顔で、私の腕にぎゅっと抱きついてきた。




