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第3話 ニンゲン
「勇者? 何者ですか? それは」
父さんは答える。
「数百年、あるいは数千年に一度現れる、突出した力を持つモンスター。どうやって出現するかは、そのときによって異なる。モンスターの中から出現する場合。異界より現れる場合。様々じゃ」
「そのような存在が」
「そして勇者には強きモンスターが集う。これが勇者の最も脅威的な能力と言ってよい。そして、我々を絶滅させようとする」
「お待ちください。では、過去に何度も勇者が現れた、ということですか?」
「うむ。我らの祖先は、奴らと世界を2つに等分することを提案したこともあったそうだ。それが共存共栄のための最もシンプルな方法だからな。しかし、奴らは一切聞き入れず、我らの祖先を殺害したという」
「なんと身勝手な」
「このようなことを何度も繰り返しながらも、我らは何とか生き延び、現在に至る。我ら王家がこの島に移り住んで250年。今のところ、奴らの侵攻は受けておらぬが、それもおそらく、次の勇者が表れるまでだ」
「そのモンスターは、なんという種族なのですか?」
「《《ニンゲン》》、という」