第2話 世界の真実
15歳になったその日、僕は両親に呼ばれ、謁見の広間に来ていた。
周りにいる大臣や従者、護衛の兵士たちは、何やら緊張した雰囲気でいる。
父さんは口を開く。
「イロキよ。お前も15歳になった。以前から伝えていたが、15歳で一人前の大人として認める習わし。今ここで、この世界の真実について教えよう」
「真実、ですか?」
なんとも仰々しい言い方だ。
この島についてのことは何でも知っている。
ならば、アルガンド島の外についての話だろうか。
「この島の外には、大陸が広がっている。そこには我らの同胞たちも暮らしている」
「え?」
島の外に、人が住んでるのか。
「なぜ島の外のことを15歳になるまで秘密にしていたか。それは、大陸ではモンスターたちが跋扈し、我らの安全を脅かしているからだ。島の外に関心を持ち、万が一外に出ようものなら、命に関わるからな」
「モンスター、ですか?」
物語の中でしか聞いたことのない存在だ。
「モンスターとは、どのような?」
「大きさは比較的小さく、力も弱い。文明的には奴らのほうが上だが、さほど恐れることはない」
ふと、僕は疑問が浮かぶ。
「ならば、特に命に関わるような話ではないのでは?」
「うむ。1つは、我らは共存を望んでいるが奴らはそうではない。非常に攻撃的で、遭遇すること自体が危険だ。そして、より大きな問題は」
父さんは、少し間をおいて言う。
「奴らの宗教にある」
「宗教?」
「いや、宗教というより、もはや文化、あるいは奴らの生きる前提といったところか」
「どのような宗教なのですか?」
「まず大きな特徴としては一神教。つまり我らのように複数の神を信じておらん。よって、奴らの宗教では、≪我らの思想や文化を受け入れること自体が不可能≫なのだ。奴らが信じるもの以外に正しいものは《《存在してはならぬもの》》だからな。これが奴らが排他的になる理由でもある」
「なるほど」
「そして、奴らに代々伝わってきた神の予言が存在する」
「予言? どのような?」
「勇者なるものが、我らを討ち滅ぼして世界をモンスターで統一する、というものだ」