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第1話 プロローグ
僕はイロキ。
カイタミア王国の王子だ。
僕はその首都であるタムル城で何不自由なく暮らしてきた。
威厳のある国王である父親。
教育熱心な母親。
優しい執事や従者。
気さくな友だち。
豊かな自然。
禁じられていたのはただ1つ。
このアルガンド島から出ないことだ。
しかし、そもそも島の外の地図は存在しないし、歴史の授業でも学ばない。
だから、<アルガンド島の外に、別の島や大陸があるのか>という疑問すら浮かんだことは無かった。
15歳になり、父親からこの世界の真実を伝えられるまでは。