第1歩
初めて書いた小説です。
お手柔らかに
よろしくお願いいたします
「ぐっ…」
俺は今、体を捻り、右方向に飛ばなければ死んでいた。
しかし、それでも、黒光りする刀を避けきれなかった。
「ぐぁっ!」
俺は咄嗟にかすめられた左脇腹を抑え、相手と距離を取った。
その瞬間―
脳天に命を刈り取られる気配を感じた。
死んだ
そう確信した。
しかし、自分の体は、相手の剣と己の肉体の空間に剣を置いていた。
命拾いをした。
だからといって状況が良くはなりはしない。
クソっクソっ
今の俺には自分の弱さを呪った。
相手は、冥の子と呼ばれる人間の形をしたばけものだ。
どこからともなく現れ人々を殺し、どこかへ消える。
そして、天使や悪魔、鬼いったものとは異なった異質なものである。
なぜなら、人間のような見た目、天使の羽持ち、悪魔のような尾、鬼のような力。そして規格外の魔法を放つ。
俺は許せないことが2つあった。
1,己の弱さ
2,罪のない人々を殺戮すること。
しかし、感情的になってはいけない。
それをすれば待ち構えてるのは「死」だけである。
まだ、死ぬ訳には行かない。
俺は冥の子に対して防御を中心に戦った。無駄な隙は与えない。しかし、突然、冥の子の動きが見えき
て、隙が見えた。
確実に今殺す。
自分の刀が冥の子に当たった。
よしっ!斬れる!
その瞬間―
自分の体から赤い液体が吹き出した。
え…
力が抜けてその場に倒れ込む。
ドクドクと血が流れていく。
あぁ、
あぁ、
死ぬんだ、おれ
周りに気配がない。冥の子とやらはもうどこかへ消えたのだろう。
何が起きたか分からない、自分の全てを使っても勝てない。
何もやり遂げずに俺は死ぬ。死ぬ… 死ぬ…
まだだ、まだ誰かに誰かに託さねば…
最後の力で冥の子の特徴を書き残したメモを置いた。
役に立つかは分からない、ましてや誰かにこのメモが発見されるかも分からない。
やはり、何もやり遂げずに死ぬのか、
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
苦しい気持ちを抱え、意識が遠のいていく。
彼は、このメモ書きが冥の子から人々を救う1歩になることを知ることなく
死亡した。