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異世界アイドル始めました  作者: フォクシー
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2 「造物主」との出会い

 目の前に現れた人(?)は、欧米の白人女性と思しき姿をしており、全身に足首まである白いローブのようなものを纏っている。

 腰あたりまである髪の色は金で、風もないのにサラサラと揺れている。すうっとした細く美しい曲線を描く眉の下には切れ長の目。その瞳は青い。高い細い鼻梁、赤く薄めの唇が、卵型の小顔に収まっている。それら顔のパーツの配置は神の造形物というのが相応しかった。

 纏っている布がゆったりしているせいで体の線はよくわからないが、少なくともなで肩でスレンダーであることは間違いない。

 この異常な状況下でその姿を見た三人は一様に「女神様?」と思った。


 その女性は三人に向かって話しかけた。

「びっくりしたでしょう。戸惑わせてしまってごめんなさい。」

 その言葉を聞いて「何、何、何?」フウカがオロオロとしながら口走る。ティアとカレンはまだ固まったままだ。

 そんな三人の様子を見てほほ笑んだ女性は続けた。

「とても混乱して困惑していらっしゃるのはよくわかります。どうか落ち着いてください。今からゆっくり詳しく説明致しますね。」

 これを聞いてようやく少し落ち着きを取り戻したらしいティアが、リーダーらしく他の二人に声をかける。

「二人ともしっかりして。説明してくれるって言ってる。聞こうよ。」

「ありがとうございます。」女性は上品に礼をした。


「るん☆ぱっしょんの皆さん、突然こんなところにお招きして申し訳ございません。ここはどの世界でもない場所です。特に名前はついていません。」

「そんなことを言われても何が何だかわからないでしょうから、一からご説明しますね。その分お話が長くなりますけどご容赦ください。わたくしのお話の中でわからないことがございましたらいつでもお尋ねください。」

 女性はそう言うと、三人が頷くのを確認して話しを続けた。


「あなた方が住んでいた世界のほかにもたくさんの世界があるのです。あなた方の世界でも宇宙には知的生命体が住む星が地球以外にもある、という説が有力に唱えられているかと思いますが、わたくしが申し上げているのはそういうことではありません。」

「地球やそういった遠い星を含む宇宙全体、それがあなた方の住んでいる一つの世界で、それとは別に同じような世界がたくさん存在している、ということです。」

「あなた方の住んでいる世界も、それとは別のたくさんの世界も、すべてはわたくしのような存在によって作り出されたものです。」


 そこまで話すと女性は理解されているかどうか探るような眼で三人を見た。その視線を受けてカノンが尋ねた。

「えっと、ごめんなさい。そうするとあなたは神様、あ、いや女神様ってことですか?」その姿から三人が想像していたことが口をついて出たのだ。

「神様という言葉であなた方がイメージされる存在とは違うかもしれませんね。」カノンの問いを若干否定するような調子で女性は答えた。


「もっとも、あなた方の世界の法則の外にいる、という意味では神様に近い部分もあるでしょう。わたくしたちの能力というか権限というかは、簡単に言うと『世界を創造する』です。そういう力を与えられている者ですので「造物主」とも言えるかもしれません。」

「「造物主」というと、あなた方の世界の言葉のイメージでは「神」を意味してしまうかもしれませんね。でもそのときの「造物主」には「全知全能」という要素も備わっているでしょう?ところがわたくしたちにできることはあくまでも「世界を造る」こととそれに付随する少しばかりの権能だけで、全知全能からは程遠いのです。わたくしたち「造物主」には…」


「あの、ごめんなさい。今「わたくしたち「造物主」」っておっしゃいましたよね?「造物主」が何人もいるってことですか?」「はい、そうです。」ティアの問いに女性は答えた。


「「造物主」はたくさん存在し、そのそれぞれに「空間」が割り当てられています。」

「「造物主」は誰か、例えば神様に造られたのですか?「空間」を「造物主」に割り当てているのは誰ですか?たくさんの「空間」が存在する「メタ空間」みたいなものがあるのですか?」ティアは「造物主」の回答にさらに畳みかけるように質問した。


「ティアさんのどのお尋ねにもわたくしたちは答えを持っていません。」「造物主」は答えた。

「わたくしたちが自分を認知したときには、既にわたくしたちは今のとおりの存在でしたし、自分たちが「世界創造」の権能を有していることを理解していました。わたくしたちの各々に与えられた「空間」はわたくしたちの認識の下にありますが、それが存在している「場所」がどこなのかというのはわたくしたちにもわかっていません。」


 三人は「造物主」の答えを聞いていたが、必ずしも十分に理解できているとは言い難かった。「造物主」はそれもわかっているようであったが続けた。

「それから、わたくしは今こうしてあなた方に姿を見せてお話をしていますが、それはあなたたちの認知機能に合わせているだけです。わたくしたちは物理的実体ではないので、この姿も声もあなたたちと意思疎通をするために自動的に形作られているだけです。」

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