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1:プロローグ・カットバック
池口蓮也が目覚めると、そこは見覚えのない部屋だった。
手足が動かない。見ると、台の上で大の字にされ、手首と足首を枷で固定されている。
どういうことだ?
状況が分からない。前後の状況を思い出そうとしても、頭がガンガンして記憶が判然としない。
現実感が無い。まるで悪い夢のよう……
「目が覚めたか、池口」
声がした。
「……住田?」
声のした方に首を回すと、住田公治が立っている。
白いツナギを着て、玄翁を持っていた。
「じゃあ、始めるぞ」
公治が近づいてくる。不気味なくらい足音が響かない。
「は、始めるって、何を」
ここはどこだ? なんでこんなところにいる?
数多の質問がぐるぐる頭の中を回る。
そんな池口の前で、公治は玄翁で肩を叩きながら言った。
「何をって、そりゃ、復讐だよ」