元凶の処分
さすがにこれを国も放置出来なかった。
普段は隠蔽して全てを無かった事にするのだが。
それこそそこかしこでおおっぴらに罪の告発・告白が行われてるのだ。
証拠と共に。
隠蔽など出来るわけがなかった。
そもそも隠蔽する必要がない。
悪さをした者達を処分すればいいのだから。
それが王族だったり国の重鎮だから躊躇ってるだけだ。
言い分けを作って。
下手に処分したら国が混乱するなどが、こういった言い分けの代表格だろう。
悪さをして損害を増やしてる連中を野放しにするほうが、よっぽど混乱するだけなのにもかかわらず。
ようは、身内の恥をさらしたくないだけ。
ただの見栄で実害を無視しようという事でしかない。
それが誰にも出来なくなっていた。
警察の取調室など、事実を隠蔽しやすい所で白状したのではない。
人がいる町中で罪を自ら叫んでいたのだ。
隠す事もできない。
それでも裁判所などは、罪を白状した者達の罪を問わないようにしようとした。
それ以前に裁判にならないように、警察などは罪に問うほどではないという決定を下そうとした。
だが、それも出来なかった。
やろうとした者達は、隠蔽しようとした事を自ら人のいる場所で暴露したのだ。
国を裏で支配していた組織の者達と同じように。
このため、残った数少ない良識的な者達が処分を進める事になる。
問題を起こした者達の逮捕も、裁判による処分も。
幸い、裁判が長引く事はなかった。
判決は開廷と同時に行われた。
罪の重さにかかわらず、全員死刑と。
それも、拷問の後に死刑執行という極めて重い処分となった。
もっとも、刑罰の対象者が多すぎるので、全員が即座に処分されることはなかった。
やむない事だが順番待ちになっていく。
その為の様々な調整がなされていく。
なお、死体は丁重に埋葬されることもない。
生ゴミと同じように捨てられて処分されることになる。
墓を作って供養するなどということもない。
人間ではなくゴミと同じ存在だという事だ。
悪事を働いていた者達の存在は、裁判の記録として残るだけになる。
悪質極まる悪人悪党として。
それまでの地位や名誉など全く考慮されない。
当たり前だ、悪さをしでかして地位や名誉を自ら破壊したのだから。
そんなものを残してやる方が間違ってる。
こういった措置は本来なら法律に背いてる。
いずれも法律に定められた刑罰の範疇を超える。
だがそれを止める者もいなかった。
それを誰もおかしいとは思わなかった。
こうして国において様々な悪事を企て実行してきた者達が処分されていった。
末端の構成員とその家族や縁者、利益を得ていた者達も含めて。
一族郎党全てが連座となる。
悪さをしていた者があげた利益で生きてきたのだ。
罪がないとはならない。
関係する全てが処分されていった。
その刑罰執行は、組織の頂点に立っていた者達が眺める事ができる場所で行われた。
これから何が行われるのか、どういう扱いを受けるのかを見せるために。
やらかした連中へのささやかな意趣返しである。
多少なりとも恐怖や焦りを感じれば良いという。
被害が消えるわけではないが、これも必要な措置だ。
やられた分を少しでもやりかえさなければ、やらかした事の報いにならない。
ただ死ぬだけでは、悪さをする事の無謀性が無くなる。
とはいえ、この程度で効果があるとは考えてない。
見せしめで殺してる組織の者どもの姿を見せても、反省などしない。
恐怖をおぼえる事もない。
むしり、「なんでこんな目にあう!」と憤るのが首謀者だ。
あるいは、「あんなものを見せてどうするんだ?」と疑問に思うのが首謀者だ。
自分が悪いことをしたとは思わない。
自分と関係があるとは思わない。
だから報復に対して憤る。
だから報復を見ても何とも思わない。
悪さを重ねる者達というのはそういうものだ。
悪事を働いてるとは思わない。
善悪があるとそもそも考えない。
だから報復に対して、「なんでそんな事をしてるのか?」と思う。
それでもやらねば気が済まないのが人というものだ。
被害を受けたものは、本能少しでもやりかえさねばやりきれない。
取り返せないものであっても、少しでも取り戻したい。
そう考えるのが人というものだ。
それに、悪事を働いていた者達を虐殺する事にも意味がある。
悪さをすればこうなるというのを示す事ができる。
これが悪人悪党への牽制になる。
何でこれが悪いか分からなくても、何をすれば酷い扱いを受けるのかは分かる。
それでも構わず悪さをする者はいる。
しかし、判明した場合の扱いが酷いものと知れば、多少は自重するかもしれない。
それを求めての事でもある。
そんな思惑から、見える位置での拷問と処刑を進めていく。
多少なりとも首謀者達への圧力になればと。
首謀者は無理でも、その他大勢の悪人悪党への牽制になればと。
そんな処刑が終わったところで、首謀者達の処刑処罰が始まっていく。
それらは思い付く限り最大限の苦痛を与えられ続けていく。
致命傷といえるほどの傷を受けさせられ、そこまでいくと魔術や超能力で治療され。
体が回復すればまた拷問を再開されていく。
簡単には殺さない、可能な限り苦痛を受けられるようにと。
手足がちぎれても元に戻され。
正気を失っても、回復させられ。
常に最悪の状態を何度も繰り返していく。
その中で首謀者達は泣き叫び、悲鳴をあげる。
だが、そこに許しを請う言葉は無い。
「何をする!」
「やめろ!」
繰り返し加えられる拷問を止めるよう命令が繰り返される。
相手が言うことを聞くのが当たり前と思って。
誰かを下に置かずにはいられない性分が発揮されていた。
自分が支配者でなければ気が済まない。
他の全てを自分の下におくのが当たり前と考えている。
例外なくそんな性格をしてる首謀者達は、加えられる苦痛から逃れる為に命令をする。
聞き入れる者がいないにも関わらず。
そんな元凶達は、何年にもわたり報いを受けて、ようやく死ねた。
だが、それで終わりではない。
死霊魔術を使う者によって、霊魂は死体につなぎ止められた。
朽ちていく死体の中で、体が腐敗していくのを感じ続ける事になる。
その死体も霊魂の力で絶えず回復が為されている。
不敗と回復の狭間を行き来し、絶えず苦痛に襲われる事になる。
体中を虫や最近に蝕まれるおぞましさにさらされて。
そんな死体を保つために霊魂は使われていく。
少しずつ消耗していく霊魂は、やがて形を保つことも出来なくなる。
存在そのものが消え去り、輪廻転生も出来なくなる。
完全なる消滅をやがて迎える事になる。
それはやらかした者達が今後二度と悪さをしないという事でもある。
転生して再びこの世にあらわれる事がない。
後の世は少しだけ平穏に近づく事になる。
気に入ってくれたら、ブックマークと、「いいね」を