表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

心臓と血液

作者: シャー芯

 身体の中の魚。

 泳いで、うねり、消えて、生まれる。

 誰も見れないはずだろう。


 もやのかかった硝子窓。

 流される、ひとつ、うねり、流される。

 そこから見えたモノ忘れない。


 切り開かないで、

 僕に形なんてありませんから。


 あなたは眠りに尽きません。

 ずっと、ずっと、ずっと、働きます。

 幾十年、その後は休みましょうかね。


 あなたが止まったら僕は此処にいるだけ。

 知らなかった、ずっと、あなたの音と一緒だった。

 だから、独りがこんなに静かだったとは。


 燃やしてください。

 一滴残らず、空に消えうせましょう。


 心は人に残りましょう。

 君は苦しいのでしょうか、かなしいでしょうか。

 血は人に残りましょうか?


 その鼓動、響き渡るのは、

 「あなた様のおかげです」

 忘れないで、忘れないで下さいね?


 ただ、感謝してます。

 ありがとう、何年も、ありがとうございます。


 君の音が、ゆっくり空耳で聞こえる。

 とん、とん、とん。

 それに合わせて、うねり、泳ぐ。


 僕、醜いのでしょうか。

 綺麗な赤のはず、なのに、黒くて冷たいの。

 もう、泳げない。


 凍て付く、消える、火葬。

 赤い海はさよなら、僕、空へ泳ぐ。


 青い空、ねずみ色の雲。

 長い、遠い、燃えてゆく。

 僕、灰だけど、空に少し腰掛ける。


 幾十年、お世話様。

 とん、とん、とん……。

 薄明かり影へ旅立ちました。


 君は夢を見れたかな。

 僕、硝子窓の外へ。

 あの時みた、青の欠片。


 「……のおかげです」

 空耳で聞こえる二つの鼓動。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ