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2話 少年少女との出会い

「……い……ーい……おーい、店員さん、起きろ! そんなんじゃ叱られちまうぞ」


「んな……ふぁ〜ぁい……ああ、お客さん?」


目が覚めると見えたのは冒険者っぽい少年。15くらいだろうか?

入り口の方には同年代らしき少女が商品を熱心に眺めている。

いつも来る常連さんじゃない。冒険者になったばかりの新人さんかな?

このくらいの少年少女がここに来るのは珍しい。

この店に立地はそういう場所だ。路地裏の奥の方で、隠れ家的なノリで決めた場所だ。


「ああ、客だよ。ったく、そんなんじゃ商品盗られても文句言えねえぞ?」


「ん、それは大丈夫。警備用の魔道具があるし、ここはあまり人が来ないからね。寝てても平気さ」


「実際俺たちが来てるじゃねえか!」


「そんな事より、初めてのお客さんだね? 僕はアルマ・ビーツ。この『よろず錬金術工房』の店主さ」


「話をそらしたな……俺はシン・メール。あっちのはニーナ・メール。メール村から来た」


小さな村では村民の家名が村名になることがある。彼らもその一例だろう。

話していると、商品を熱心に見ていた少女ーーニーナちゃんが目をキラキラさせながら近づいてきた。


「あのっ! 店主さん、ここの商品を作ったのは誰ですか? どれも素晴らしいもので、少しお話ししてみたいと思いまして!」


「はは、褒めてもらえると嬉しいね。このお店にある商品は全て僕が作った物だよ」


「ええっ!? まだ若いのにこんなに品質の高い物を作れるなんて、すごいですね!」


「ふふ、そんなに褒められてもこっちの青の回復ポーションしか出せないよ」


そう言ってポーションを渡す。

シン君とニーナちゃんが遠慮してるけど気にしない。

これくらいなら売り上げにもほとんど影響ないしだいじょぶだいじょぶ。

それに今後も利用してもらうために必要なことだ。

……そんなことしなくても来てくれそうだけど。


「それで、君たちはどうしてここへ? 新人冒険者や一般人なんかは寄り付かない場所なんだけど、ここ」


「ああ、ガンジスって冒険者に紹介して貰ったんだ。品質が高い割に安いからおすすめだってな。あとガンジスの名前を出せば少しは融通してくれるかもって」


「へー、ガンジス、ガンジス……あ、彼かぁ。確かに前ちょっと素材取ってきてもらったなぁ。彼の紹介なら、そうだね……うーん、まあ、何かあったら言ってよ。永続割引券とかいる?」


「いや……流石にそこまではいらない」


「あらら。ふられちゃった。じゃあ適当におすすめの魔道具を紹介しようかな。シン君、君は新人冒険者だろ? いまランクは何?」


冒険者とは、戦闘や探索を中心にした何でも屋だ。Sを頂点としたA、B、C、D、E、Fランクに分けられている。

シン君はEランクらしい。

Eランクの依頼に遠出するものは無いから野宿セットはいらない。

まだ採取依頼とかが多いランクだから魔物避けや採取用の道具、保存用の魔道具なんかが便利かな。


ニーナちゃんは錬金術の道具は一通り持っていたからポーション瓶や簡単な魔道具の玩具を売ってあげた。

このあと分解なりして勉強するといい。可愛い錬金術師の後輩だから応援するよ。


「こんなところかな。あとはポーションも買っておいた方がいい。今日の緑ポーションは特に品質が高いからね。ニーナちゃんはまだ青ポーションしか作れないでしょ?」


「ああ、色々紹介して貰ったからな。緑の回復ポーションを3つ買う」


「大銅貨3枚だよ。毎度ありー」


「今日はありがとう。じゃあな」


「今日は色々ありがとうございました! また今度魔道具について教えてくださいね! さようなら!」


「うん、帰りは気をつけて、またねー」


言い切る前にドアが閉まり切る。からんからんとドアについたベルの音が寂しく残る。


「……あのくらいの子と接するのは久しぶりだなぁ。いつもお店にはおっさんしか来ないし」


さて、今日はもう日が落ちてきたし、店仕舞いしようか。

お店の表の看板を『閉店中』に変え、鍵を閉める。

裏の戸締まりもしっかりして、売り上げや在庫の確認。

寝る前に半ば趣味と化した錬金術の研究をして、終わったらそのまま寝る。

……あ、ご飯食べるの忘れてた。

意識が闇に落ちるなか、そんな思考を残してーー

ポーション

回復、魔力、毒消しなどの種類がある。

青、緑、黄色、橙、赤の段階がある。

後者にいくほど効果が高い。

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