さようなら
椅子の設置をお願いした俊。それが終わり、彼に特攻命令が下される。
無事に椅子の設置が完了し、一安心していると上官の呼び出しがあった。
「失礼します」
俺が部屋に入ると、えらいと思われる人がたくさん並んでいた。何の話だろうか。
「中川 俊少尉。明日0800、出撃を命ず。これに関し、貴官を2階級特進とし、大尉とする。」
いよいよ明日か。自然と怖くはなかった。あの少年のため、母親のため、幹枝のため。俺は死ぬ覚悟が出来ていた。そして家に帰り、美奈にそのことを伝え、幹枝をお義母さんたちに預け、俺は遺書を書いた。
「山口 明子様
明日、私ハ出撃スルコトガ決マリマシタ。必ズアメ公ノ空母共ヲ沈め、実君ノ仇ヲ討ッテキマス。イツマデモオ元気デ。アナタノコトヲオ母サンダト思ッテイマス。
神風特攻隊 神振隊 山崎 俊」
そして一緒に死ぬ美奈にも
「山崎 美奈様
コノ度、私ハアナタト死ニマショウ。キミト出会エテヨカッタ。
君ノ夫 山崎 俊」
俺は一枚はうちの郵便入れに、もう一枚は川合に預けた。
「明日か。」
彼は名残惜しそうに言った。
「心配すんな。靖国で待ってるよ。」
そう言って俺たちは同期の桜を歌った。何故か知らない歌なのに歌えた。
貴様と俺とは同期の桜 同じ兵学校の庭に咲く
咲いた花なら散るのは覚悟 見事散りましょ国の為
貴様と俺とは同期の桜 離れ離れに散ろうとも
花の都の靖国神社 春の梢に咲いて会おう
「じゃあな、川合。島田によろしく。」
俺はそう言い残し、家へ向かった。
読んでくださりありがとうございます。次回かその次で完結します。




