心の支え
ご飯をご馳走になることになった俊は彼女と付き合っていることを彼女の両親に伝えることに決める—。
「あ!俊君、だっけ?あの時は助けてくれてありがとね~。」
美奈のお母さんが俺にお礼を言った。
「いえいえ。人として当然のことをしただけですから。それより、今日は|ご馳走≪ちそう≫になります。」
俺が頭を下げるとお義母さんは首を横に振った。
「いいのよ。命の恩人だもの。うちの美奈と付き合ってほしいわ~。」
え?まさか美奈、まだ言ってないのか?俺が美奈に目配せすると彼女は照れ臭そうに頭をなでていた。可愛いぞ、バーカ。
「ちょっとお母さん、変なこと言わないで~。」
彼女は顔を赤くして言った。俺は口を滑らせてしまった。
「イヤー、俺たちもう付き合ってて、今日挨拶しようかなって決めてたんですよ。な、美奈?」
やってしまった。ご両親は口をぽかん、と開けていて、美奈はというと顔を真っ赤にしていた。
「そ、そうなの。それなら話は早いわ。ね、お父さん?」
「ああ、この好青年に美奈が|嫁≪とつ≫ぐのなら文句はないな。」
あっさり承認してもらえた。そして彼女の母親と美奈がご飯を作っている間に俺はお父さんと盃を交わした。そして俺はある写真を見つけた。それは俺より少し年上の男性が仏壇に飾ってあった。
「これは…」
「ああ、それは美奈の兄の|敏夫≪としお≫だよ。君と同じ特攻隊員だったんだ。」
そうだったのか。美奈にはお兄さんがいたのか。俺は初めて知った。
「敏夫が死んだとき、美奈はすごく悲しんでな。だから君が心の支えになってくれてると思うんだ。」
読んでくださりありがとうございます。




