裏切り者
美奈と2人になった俊。彼は美奈に何を言われるのか。
彼の母親が帰ってからしばらく経ち、美奈が起きた。すると美奈は寝起き早々俺にイヤミを言ってきた。
「あ、裏切り者。」
何でだよ。なんの裏切りなんだよ。
「皆のもの、ひっとらえよ彼を死なせるなー!」
最初は冗談だと思っていたが「死なせるな」という言葉に彼女の気持ちがこもっていた。
「ごめんね、さっきはあんなこと言って。」
俺が彼女に謝ると、彼女は頷き、目をキラキラさせながら俺を見つめた。
「で、お土産は?」
すっかり忘れていた。俺はポケットの中を探り、そこにあったキャラメルを取り出した。
「やったー!キャラメルなんて久しぶりだー!」
彼女は子供みたいに喜んで、それを口に入れた。
「うーん!おいしー!」
幸せそうに食べる彼女を見て、俺も幸せになった。
「戦争なんか早く終わればいいのに」
俺がそう呟くと彼女はこちらを向いて言った。
「きっと日本が勝つよ!亜細亜征服だよ!」
アジア征服か。そんなもの夢のまた夢なのに。国民は何も知らない。負けていることも、沖縄が壊滅的なことも。もちろん大和が沈んだことだって。
「そうだな、日本は勝つよな。」
上面の笑顔で答えるのが俺には精一杯だった。
そして何日か経ち、彼女のご両親が助けてくれたお礼に、とご飯を作ってくださることが決まった。俺はそこで彼女のご両親に挨拶をすることにした。
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