表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無の魔術師  作者: キリン
【第一期】第一章 キャメロット大学
70/229

第七十話

 下校時間真っ只中。陽光が差し込む廊下を歩いている。


「生徒指導」の担当教師、シガルレット・ココアに靴を奪われたのが原因だ。さっきから下駄箱に向かう生徒の波をかき分け、必死に人の流れに抗っていた。おかげで白い目で見られまくっている。


(畜生、いい人だと思ったのに……)


 やっぱり教師なんてこんなものか。頭が良くても悪くても、教職に就く者はみな実力主義で、弱い者を嘲笑っているのだ。それは誰でも例外ではない、オロボ先生も、ルナさんも、シンさんも同じだ。


「僕の事をクソ野郎って思うのは構わないんだけどさ」


 心を読まれたかのようにベストなタイミングで言葉が入ってきた。耳からではなく直接脳へ……「基本の魔法」の内の一つだろう、僕だけに伝えるべきことを伝えてきたのだろうか? これまで考えていたことが、全て筒抜けだった事実に頭が真っ白になった。


「ルナやシン君、アヤマさんを侮辱するのはやめてほしいな。オロボさんなんて優しい方だと思うよ? あと、僕は退学だの減点だの、そういったつまんない制度に介入する気も無いしする権限も無い、だからいくら僕に悪口を言ってくれてもただココア特製グーパンチが飛んでくるだけだからそこはよろしく」


 なるべく、考えないようにした。考えたら心を読まれる、人がいる状況で言われるのは、まずい。僕はなるべく足元を見るようにして、深い呼吸を取り始めた。


「そうやって足元だけ見てる気かい?」


 僕はさっと顔を上げた。何を皮肉にしたのかは心当たりが有り過ぎたが、どれもこれもが触れられたくない物ばかりだった。


「僕は今から君を突き落とすよ……誰も踏み入れた事のない世界に。君は否が応でもソラを見ることになる。君自身を照らしてくれる光を放つ、温かい星が浮かんでいる……かもしれないソラをね。さぁ着いたよ、ここだ」


 僕が何か思考し、怒りのままに言葉を言い返す前に目的地に着いた。何を言っても相手は受け流すだろう、そんな事を考えたらバカバカしくなり。僕はその目的地とやらを目視した。


 そこは、女子トイレだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ