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第四十四話
「えへへ、えへへ、もうすぐ授業が始まるよ~、着席しててえらいねぇ~」
なんだろう、やはり僕はおかしいのだろうか?
教卓の椅子に布団にくるまった化け物が座っている、それに誰もツッコまないこの状況がおかしいと思うのは僕だけだろうか⁉
(……いや、いやおかしいだろ! 明らかに!)
僕は他人の意見を求め、すがろうとして隣を見た。今日友達になったばかりのソロモンの方を。
「なぁソロモン、なんかおかしなところないか?」
「んぁ? ……特にないんじゃないか?」
思わず頭を抱えた、不思議そうな顔をするソロモンをすっぽかして、僕は教卓に居座る異常の方を見た。あれを見ればソロモンも分かってくれる、そう思っていた。
「はーい、みんな席に着きましたね~? 少し早めに授業を始めるから、早めに座ってくださ~い」
気持悪い芋虫の中から、細く美しい蝶が出てきていたのだ。




