第三話
母から許可証と、制服を買うための金貨を一枚渡された。
外は寒いから、制服を受け取りに行ってあげる。と、母に言われたものの、僕は自分で行くと言って、分厚いコートを重ね着して玄関で靴を履いている。
夕飯の支度を始めようとしていたエプロン姿の母が、キッチンから玄関へ歩いてきた。
「本当にいいの? 制服なら私が取りに行ってあげるのに……」
呆れるような困惑するような表情を浮かべる母に、僕は振り返らずに言った。
「ありがと。でも、自分で取りに行きたいんだ」
まぁ。呆れたような声が後ろから聞こえた……今頃頬に手を当て、ぼんやりとした笑みを浮かべている事だろう。
「んじゃ、さっさと取ってきて、さっさとご飯にしましょうか。今日はあなたの好きなハンバーグ、ポテトフライ、ローストチキン……どうせならお酒も飲んじゃう?」
「ハンバーグとポテトフライとローストチキンで十分だよ、ってかそんなに食べれるの? 僕ら二人で」
僕がそう言うと、母さんは首を横に振った。
「何言ってるの、お父さんがいるじゃない」
母さんは何のためらいも感情も無く、当然のようにそう言った。
「お父さん大食いだからね~、もしかしたらあなたや私の分が無いかもしれないわね~」
「……行ってきます」
僕はまだ何か言いたげな母親の言葉を無視し、逃げるようにドアを開け、家を出た。