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無の魔術師  作者: キリン
開幕
3/229

第三話

 母から許可証と、制服を買うための金貨を一枚渡された。


 外は寒いから、制服を受け取りに行ってあげる。と、母に言われたものの、僕は自分で行くと言って、分厚いコートを重ね着して玄関で靴を履いている。

 夕飯の支度を始めようとしていたエプロン姿の母が、キッチンから玄関へ歩いてきた。


「本当にいいの? 制服なら私が取りに行ってあげるのに……」


 呆れるような困惑するような表情を浮かべる母に、僕は振り返らずに言った。


「ありがと。でも、自分で取りに行きたいんだ」


 まぁ。呆れたような声が後ろから聞こえた……今頃頬に手を当て、ぼんやりとした笑みを浮かべている事だろう。


「んじゃ、さっさと取ってきて、さっさとご飯にしましょうか。今日はあなたの好きなハンバーグ、ポテトフライ、ローストチキン……どうせならお酒も飲んじゃう?」

「ハンバーグとポテトフライとローストチキンで十分だよ、ってかそんなに食べれるの? 僕ら二人で」


 僕がそう言うと、母さんは首を横に振った。


「何言ってるの、お父さんがいるじゃない」


 母さんは何のためらいも感情も無く、当然のようにそう言った。


「お父さん大食いだからね~、もしかしたらあなたや私の分が無いかもしれないわね~」

「……行ってきます」


 僕はまだ何か言いたげな母親の言葉を無視し、逃げるようにドアを開け、家を出た。


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