第二十四話
ドアをノックする音が聞こえるとともに、扉がゆっくりと音を立てながら開いた。
振り返ると茶短髪の、丸眼鏡を掛けた青年が立っていた。黒いローブに青いデニム、靴はピカピカに磨かれてはいるが、オレンジ色の瞳の方が輝いていた。
「遅刻だ。……君はさぁ、なんでかなぁ、こう。……いっつもぴったり5分遅刻してくるんだろうね」
ココアさんの顔面を鷲掴みにしながら金平糖を齧るルナさんが、呆れた声色で言った。
「あははー、ごめんねぇルナちゃん。ちょっとそこに猫がいたからさ、追いかけてたら迷っちゃって」
「しかも動機がゆるい……猫が原因なら仕方が無いからいいけどさぁ」
(そこ許すのか?)
声には出さない、決して。僕は細目の青年の顔を横目で見た、ひ弱そうな細い体、ふわふわした口調……犬一匹に殺されてしまうのではないだろうかと思うほど、その人は頼りなかった。そんな事を考えながらコーヒーを啜っていると、ルナさんが。
「紹介するね、この人はシン・ディザスター。世界で三人しかいない「記憶の魔法」の使い手だよ~」
思わずコーヒーを吹き出しかけ、僕は思わずむせた。
「ホッ……ホーエンハイム君!?」
「ごほっ……げほっ、いえ、何でもありません……」
内心舐めていたことを知られればあの拷問関節技を決められると思い、僕は金平糖を齧りまくった。




