第二十一話
クロウリーとの騒動があった後は、大体が予想通りだった。
気絶したクロウリーは一旦保健室へ、意識が戻ったのを確認した後、彼は『幽霊車』で家に帰されるんだとか。勿論、二度とこの大学には入れない。
僕はココアさんと一緒にいろいろ説明することになった、僕に関しては何があったのか。ココアさんに関しては、不合格の生徒を合格扱いにしたことへの処罰が決まるんだとか。
そんな訳で僕は今、他の教員と、この『キャメロット大学』の学長である「不滅の魔術師」マーリンの待つ会議室へと向かっていた。
「気に病む必要はないさ、怒られるのは僕だけだろうし」
シンプルな無彩色だけで構成された廊下を歩いていると、ポケットに手を突っ込んだまま、ココアさんが僕に言ってきた。
「君は被害者らしく縮こまってブルブル震えていればいい、この学校の教師は皆優しいからね、きっと優しくしてくれるだろう」
と言うものの、当のご本人であるココアさんの手元を見ると、少しだけ震えていた。
やはり世界最高峰の魔法学校なのだ、こんな大それたことをしたココアさんには、とんでもない罰が下るに決まっている。
何だかばつが悪くなってしまい、何か話題を探そうとした時だった。
「はい、到着~」
楽しそうに振る舞うココアさん、ハッとして顔を上げるとそこには、木製の大きなドアがあった。慌てて僕は姿勢を正し、取り合えずお辞儀した。
「あ、他の部屋では普通に授業やってるから静かにね」
ココアさんにそう言われて僕は口を両手で塞いだ。それを鼻で笑ったココアさんは、金属製の取っ手に手を伸ばし、掴んだ。
「失礼します。「生活指導」担当シガルレット・ココア、件の生徒を連れて来ました」
そう言って、ココアさんはゆっくりと扉を開いた。




