第百九十九話
「ご到着~」
ふざけた声が響き、一面の花畑の中から何かが見えた……それは、大きな湖だった。「アヴァロン」、泉……そして聖剣を取りに来たと言う事は、さしずめこの泉はあの泉か? 気のせいか、中心の部分に淡い光が見えた。
「管理の方法が雑だよね~、泉に放り込まれてずっとこのまま……普通の剣だったら朽ち果ててたよ」
「あれを取ればいいのか? 随分簡単なお仕事だな、僕が居なくてもよかったんじゃないか?」
いやぁ? にんまりと笑ったマーリンはその場にしゃがみ込み、泉の水に人差し指を入れた……するとマーリンの指は弾かれ、先っぽが少し焦げていた。
「困ったもんだよホント、長い事聖剣が浸かってたせいで聖水になってやがる……私みたいな混じりもんだからこんだけで済んだけど、マジの魔物とかが触れたら一発で死ぬね」
「……くだらないな」
僕は、泉の中に足を踏み入れた……意外と浅かったため、一気に聖剣の見える光へと近づき、手を伸ばした。
「……っ、あぁ……」
いきなり泉が深くなった、僕はなす統べなく沈んでいく。呼吸が、呼吸が……水に前進が沈んだ後、僕の意識はだんだんと薄れて行って。
「――未来の王、君は自分の願いを振り切れるかな?」
それを最後に、僕の意識は消え去った。




