第百九十一話
こうして、僕たちは二手に分かれた。
一方は聖剣探索のチーム。マーリンとクロウリーの必要最低限の二名のみ、もう一方は僕ら「キャメロット大学」防衛チーム。いずれ来るヴォ―ティガーンとの戦いの際、かつて鉄壁を誇った白亜の城は、必ず役に立つ……そのため、チームの中でも最も実力のある僕と、それに次ぐキャスパリーグがいる。
先程クロウリーたちが出発し、僕たちはそれぞれ守るポイントについた。「闘技場」にはリュウが、学校の後ろ側にはアキレスが、外側全体はキャスパリーグが……そしてパーシヴァルさんは、何故か一番安全な校内に。そして僕も同じく、一番前線に出るべき僕が校内にいる。
(自分の庭で人が殺されてることを、マーリンが知らない訳が無い。この配置から察するに……あいつもグルなんだろう)
そう考えると納得がいった。先刻の襲撃時には結界を弱め、それ以外にもいろいろ……裏で下ごしらえやら何やらをしていたのだろう。今年のクリスマスに備えて、パーシヴァルさんを殺すための準備を着々と進めていたのだ。――ふざけやがって。
(でも僕は知っている。恐らくあの数人しか知らない真実を……パーシヴァルさんを確実に閉じ込めて、最終的には殺すというあいつらの目的を!)
防衛の中心地に僕を置いたのが間違いだったな、心の中でマーリンを嘲笑いながら、僕は歩きなれた廊下をくまなく……隅から隅まで睨みつけた。
(どこにある? 十字架……キリストの遺体……)
見つけ出し次第破壊する。クソったれのクリスマスも、彼女に届けられる最悪のプレゼントも……今年のサンタは去年よりも赤黒いだろう。――そう、僕だ。僕が……彼女に幸せをプレゼントするんだ。




