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無の魔術師  作者: キリン
【第一期】第四章 脅威
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第百四十四話

「よぉ」


 焼け焦げた芝の上に立つ、自分に向かって狂気的な笑みを向けて来たそれは、人間と表すには余りにも野生が溢れすぎていた。

 金色の鱗、角や爪などと言った風貌……人の形をしてはいるが、竜などと同じ権能を持った「魔法動物」だ。……しかも、最上位の。


「何だよヒトの体ジロジロ見て。どうせなら綺麗なおねーさんに見られてぇんだけど」

「それは非常に申し訳ないな。加えて申し訳ないのだが、そのまま後ろを向いてまっすぐ歩いてくれないか? こんな見た目だが、私は曇りよりも晴れの方が好きでね」


 金の杖を揺らす準備をする。相手がいつ襲い掛かってきても「魔法」を使えるように……それから、いつでも自分の身を守れるように。


「あーはいはいそうですかぁ……悲しいねぇ。――んじゃあ、いつでも空が見えるとこに送ってやるよ」


 懐に潜り込まれた。防御をするにしても「魔法」を使うにしろ、間に合わず私の鳩尾に拳が突き刺さった。貫かれるような痛みが走るが、幸いまだ意識はあった。


「終わりじゃないぜぇ?」


 ――――――。なー、にが。おきた? かみなり? 雷が流れた、拳から直接体に流された。思考がまとまらない、次の一撃が来る。


「よっこいせぇ!」


 胸ぐらを掴まれ、宙を舞うような感覚から叩きつけられるような感覚へ。雷のせいか、体が痙攣している……思考がまとまらないこの状況で「魔法」は使えない。


「なんだなんだ? いきなり堂々と出て来たかと思えば……クッソ弱いじゃねぇかよ。ほんとにお前ここの教師か?」


 最悪だ、鼓膜が破れている。体中が滅茶苦茶だ……強すぎる、もはや「魔法動物」に収まらない、こいつは「聖獣」なのか? だとすれば、私が想定している何倍も最悪だ。


「……チッ」


 不満そうな顔をしたそれが視界から消えた直後、私の意識は急激に沈んでいった。


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