第百二十四話
『幽霊車』で移動する10分間は、とても息が詰まるような気持ちだった。
気まずいなんてレベルじゃない。何の非も無いパーシヴァルさんにあんな態度を取ったんだ、目が合っただけでパニックになる自信がある。彼女自身も、あの時の自分に思う事があり、ああして言葉で伝えてくれようとしていたのだ。
遮りさえ、しなければ。
(……僕が、悪いのかな)
あの時のパーシヴァルさんの顔と、僕が遮った言葉を嫌でも妄想してしまう。それが本当にリアルで、現実味を帯びていて、今すぐにでも自分の前に現れてしまいそうな、悪夢のような恐ろしさを感じてしまう。
そもそも、だ。何故あんなことが起きてしまったのだろう。リュウ=アルビオンが激昂し、命を奪おうとするほどのものなのだろうか? あんなものを見せられたあとでは、悪口程度ならば拳一発で済ませると思う。
やはりリュウ本人の堪忍袋が小さいのだろう、あまり深く考えても虚しいだけだ。
(どの道、僕の学校生活はこれでパーだな。友達もいない、「円卓」の合格者に逆らったっていうレッテルを貼られた)
まぁ別に何かが変わるわけではない、昔の自分に戻るだけである。
僕は憂鬱にため息をつきながら、下駄箱で靴を履き替え、教室に向かった。




