第十一話
朝起きると、枕元には折り畳まれた制服と、隣の皿の上には手作りのチーズケーキがあった。
僕はチーズケーキを頬張った、うまい、小皿に盛り付けてあるブルーベリージャムを塗ると、これがより一層美味しくなる。
朝っぱらからとてもおいしいものを食べひと段落、僕は皿とフォークを置くと、隣に置いてある制服を見た。着てみようと手を伸ばして、制服を持ち上げると。
「あっ」
手紙が、小さな手紙が制服の下に置いてあった。
僕はそれをおそるおそる手に取り、書かれていた文字を読んだ。
『いじめられたりしたら、いつでも相談してね』
「‥‥‥全部オミトオシってことか」
思わず笑ってしまうが笑い事ではない、昨日の事件が全部バレていたとなると、後で一時間OHANASIコースに突入することは間違いないだろう。まぁ何となくわかってはいたが。
なんというかうまく言い表せない心情のまま、僕はパジャマを脱ぎ、制服に袖を通した。これが意外と重かった、身を守るための魔法がたくさん詰められているためだろうか?
取り合えず自分の部屋に置いてある鏡の前に立つ、相変わらず自分の顔が写らないことが癪に障るが、それをかき消すほど、制服のデザインは美しく秀逸だった。
中途半端な飾りは何もない、外側は上質な黒、内側は燃え上がるような赤、袖や襟は金色の装飾が施されており、胸の辺りには『キャメロット大学』のマークが銀色の刺繍で施されていた。
急に自分がれっきとした生徒だという事に実感が突き付けられ、僕は少しだけ、鳥肌が立った。
でも同時に、これから学べることへの期待に胸が膨らみ続けているのも、事実だった。




