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第8話 3歳

 

 平仮名だけではなく、片仮名もこの世界にあり、先程と同様に一瞬で覚えた振りをした。

 

 流石に漢字は無いかなとも思ったが、どうやらあるようだ。だが、漢字は全部で約1000個ほどあり、殆どが小学校で習うものだった。




 聞いたところこの世界では漢字はあまり一般的ではなく、日常では殆ど使わないらしいが、本に使われている文字には漢字もあるため本を読むためには漢字を覚えないといけないらしい。


 ハロ爺も自信満々に教えてくれたが、俺には全く関係ない。漢字も当然の如く一瞬で覚えた。



 流石にハロ爺も漢字は簡単に覚えられないと思っていたらしく、分かりやすく教えるために準備をしていたのだが、何の手助けもなく一瞬で覚えてしまった俺を見て、口が開きっぱなしになっていた。



 いつも2歳児らしからぬ行動をしてしまっていることは自覚しているつもりだったが、今回のはやり過ぎてしまったと思った。




 アーリエさんも凄く驚いていたが、それ以上にルミエが驚き過ぎて本当に腰を抜かしてしまった。前世の記憶では異世界転生した主人公は必ずと言っていいほど、自重していたが、その気持ちが少し分かった気がした。




 そんなこんなで色々あったが、文字を全部覚えたということで教えて貰えることになった。




 質問形式で俺が疑問に思っていることを応えてくれるようにした。これが一番効率的だ。




 まずは俺達が住んでいる国について聞いてみた。



 俺たちの国は4つの国のうちの1つで人間の国、アースダイヤ王国である。




 エメラス伯爵領の他にも他の貴族が治める領は200ほどあるという。




 この国の身分制度は奴隷、平民、貴族、王族の4つで、貴族には階級があり、1番上から公爵、侯爵、辺境伯、伯爵、子爵、男爵、の順である。奴隷の身分もあるが、よっぽど重い罪をしない限り、なることはないらしい。




 種族についても聞いてみたが、やはり人間だけではなく、エルフ、ドワーフ、獣人、合わせて4種族がいる。


 それぞれ国を造っており、昔はよく土地や資源を求めて戦争をしていたらしいが、魔物や魔人の侵攻が始まってからは戦争はなくなったらしい。今では協力関係を築き貿易などを行なっているが、それは一時的なものに過ぎず、魔王の侵攻が終わればまた戦争が始まるだろうという話だ。



 この他にも色々なことを聞いてみたが、やはり1番聞きたかったのは職業のことだ。




 職業は4月1日に神託の儀が行われ、その時点で5歳のもの全員に職業が与えられるらしい。



 神託の儀は各領ごとに行われ、優れた戦闘職が与えられた者は10〜12歳まで各領にある学園でそれぞれ教育を施され、13〜15歳は王都にあるシュバルツ学園に通うようだ。



 エメラス伯爵領にもエメラス学園があり、神託の儀の際に選ばれた者は試験なしで入学出来るが、この者達以外に才能のある子どもを探すため毎年追加で試験を行うという。この試験にもたくさんの子ども達が受けに来るらしい。



 シュバルツ学園への入学には試験は必須で、合格出来なければ入れない。とてもレベルが高く、入学出来るだけでも凄いらしい。




 勿論魔王軍と戦うための人材を集めるためにこのような制度を取っているのだが、シュバルツ学園を卒業できれば、魔王軍討伐軍に編制される。魔王軍と戦う危険があるとはいえ、それ以上に給与は良く、戦いで活躍すれば、王都の騎士団や王の護衛役、さらには貴族にもなれる可能性がある。そのため、平民の誰もがシュバルツ学園に憧れているという。



 

 何故職業だけで才能の有る無しを決めるのか、ユニークスキル等の他のスキルも見てから才能の有る無しを決めた方が良いのではないかと思ったが、どうやら、ユニークスキルと職業は関連性があり、神託の儀ではユニークスキルに合った職業が与えられるとされているので、職業だけを見れば十分だという。




 また職業が与えられると一部のステータスが飛躍的に向上するという。例えば魔法使いならMPや【知能】が伸び、剣士なら【筋力】や【体力】が伸びる。ルミエとジャンも一部のステータスが他のステータスと比べると桁が1つ違っていた。それにレベルアップ時にもそのステータスが伸びやすいらしい。



 そして上級職の場合は職業が与えられた時のステータスの伸びが大きいか、通常は2つのステータスが伸びるが上級職は3つ又は4つのステータスが伸びる。



 だから職業だけで才能の有る無しを決めても問題無いらしい。



「ライト君は本当に凄いんじゃな……。ユニークスキルのことも知っておるし、ユニークスキルは3歳にならないと使えないのにな…」



(え、俺めちゃくちゃ使ってるんだがどういうことだ?)



「3歳にならないと使えないっていうのはどういうことですか?」



「ああ、3歳にならないとステータスが開けないんじゃよ、だから自分がどんなユニークスキルを持ってるのかも分からないから使えないってことじゃ」



(まじか、やっぱりステータスを開けることは秘密にしてて正解だったな、多分『エクストラスキル最強道』を持ってるから3歳になる前に俺はステータスを開けるんだ。それしか考えられん)



(エクストラスキルの事とかも教えてもらおうと思ったけど、やめといた方が良さそうだな)


  

 そのあとは少し雑談をして今日の授業は終わりになった。これからはいつでも授業をしてくれることになり、また本も幾つか貸してもらえることになったので、持てるだけ持って家に帰るのであった。




 今日の授業は楽しく、とても有意義な時間であったが、真の目的はあくまで【知能】を伸ばすことだったので、家に着くなりすぐにステータスを確認してみた。

 



 

(あ、上がってる!やっぱり知識を増やせば【知能】は伸びるんだ!)



 

 生まれてから今まで【知能】は120〜122で2しか伸びてなかったけど、今回の授業だけで122〜125で3も伸びたことになる。他のステータスよりも断然伸ばしやすいなぁ。今までこんなに悩んでたのが馬鹿に思えてくる…。


 まぁ一つ悩みが解決したのはいいことだ。これからも学べるだけ学んでいこう。




 この日以降、毎日ハロ爺の家に行き、授業を受ける日々が続いた。


 気づけば、年を超え、春が終わり、夏を迎えた。

 







 そして、俺は今日3歳の誕生日を迎えた。



 この時には既にハロ爺から教わる事は大方教わってしまった。ハロ爺が教えていた学校は戦闘ではなく、教養を身につけさせる学校であったため、正直、前世で通っていた学校とあまり変わらず、教えている内容は前世の学校の下位互換に過ぎない。そのため、ハロ爺に教わった事は歴史や地理、国の文化や政治がメインとなった。


 今ではハロ爺の家にある本を借りて読んだりしているが、【知能】が上がらなくなってきてしまった。それに、シュバルツ学園の試験には戦闘に関する問題も出るらしいので、どちらかと言えば戦闘について学びたいものである。




 それはさておき、今日は俺の誕生日ということもあり、御馳走がテーブルに並んでいる。それと、ジャンとルミエがいつもより、少しそわそわしていた。


 そう。


 今日は2人にとって待ちに待ったステータス発表会でもあるのだ。


 俺もステータスを人に見せるのは初めてなので、少しドキドキしている。3歳児にしては魔力量やスキルレベルが異常だが、どうにか大事にならないことを願う。ステータスを隠蔽するスキルが手に入らないか、色々試してみたがダメだったのだ。ここまできたらなるようになれだ。



「それじゃあ、早速だがステータスを開いてみてくれないか?」



「分かった、パパ」



「『ステータスオープン』」




【名前】ライト   【年齢】3歳

【レベル】1 【職業】無し

  

 HP : 101 MP : 487


【体力】35 【筋力】30

【速度】37 【耐久力】15

【器用】21 【知能】185


[ユニークスキル]

 静電気Lv7


[スキル]

 痛覚耐性Lv1


[職業専用スキル]

 無し


[EXスキル]

 最強道LvMax


 



「 ……え、なんだこのステータスは…。ユニークスキルのレベルが7もあるし、EXスキルも持ってるなんて…」



「あ、あなた、私にもよく見して!す、すごい…、魔力量がもうこんなに…。【知能】は高いと思っていたけどここまで高いなんて…。他のステータスも3歳児とはとても思えないわ…」



(やっぱり驚かれるよなぁ…、いろいろ聞かれたらどうしよう…)



「ライトすごいな!流石俺達の息子だ!このユニークスキルの静電気ってどんなスキルなんだ?」



「ただの静電気だよ…」



 俺は実演して見せてみた。レベルは7まで上がったが、一切威力などは上がらなかった。



「これがユニークスキルなのか?」



「うん…」



「そうか…」



「まあでも気にするな!ライトは魔力と【知能】が3歳児とは思えないほど高い、きっと魔法使い系の職業をもらえるに違いない!」




「そうよ!もしかしたらすごい職業をもらえるかもしれないわね!ライトは本当にすごい子よ!」




「そうだな!エクストラスキルなんて持ってるやつ初めて見たぞ!ライトは本当に天才かもしれないな!」



(やっぱりこのユニークスキルはしょぼいんだなぁ…。まぁあんまり詮索されなかったし、エクストラスキルが珍しいことも知れたし、良しとしよう)

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