表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/17

第5話頭痛

あの日から毎日欠かさずにスキルを使い続けたことで、着実に魔力が増え、スキルレベルも上がっていった。



 生後半年ほどになるとハイハイもできるようになり、もしかしたらハイハイをすることで筋力等が上がるかもしれないと思い、毎日ハイハイをして運動していた結果、僅かではあるがステータスが向上することが分かった。



 そして、生後10ヶ月目にしてとうとう魔力が100になった。いや、もう100だ。





【名前】ライト   【年齢】0歳

【レベル】1 【職業】無し

  

 HP : 15 MP : 100


【体力】3 【筋力】3

【速度】3 【耐久力】2

【器用】2 【知能】120


[ユニークスキル]

 静電気Lv 4


[スキル]

 無し


[職業専用スキル]

 無し


[EXスキル]

 最強道LvMax



[ユニークスキル]

 静電気Lv 4 34,505/50,000

 微弱な静電気を起こす。

      消費MP 1 クールタイム4秒 


 



(結構順調なんじゃないか?スキルレベルも4まで上がったし、魔力も100になったぞ!)



(魔力は上がりやすいんだけど他の能力はなかなか上がんないなぁ。まずどのくらいやれば上がるか分からないしな。魔力みたいに規則性があればよかったんだけど…。)



(今はハイハイしか出来ないし、しょうがないか。今度から立つ練習も始めようかな)



 生後半年が過ぎ、食生活の方も変わり始め離乳食が多くなっていった。



「ライト、もうすぐご飯ができましゅよ〜」



「あい、ルミエ」



「ほら、違うわよ。この間教えてあげたでしょ?私のことはママって呼んでね?ライト分かった?」



「あい… ママ……」



「そう、いい子ねライト」




 俺は喋れるまで両親のことは名前で呼んでいたため、最近喋れるようになってからも名前で呼んでしまい、ママパパ呼びに直された。



 ルミエ達もママパパ呼びに憧れを持っていたらしく、俺が間違って名前で呼ぶとすぐに直したがり、ママパパ呼びにするために何回も練習させられることがしばしばあった。




 夕飯も食べ終わり、体を拭いていつものように2人よりも早めにベッドについた。



 最近は泣いてしまう回数も減ったため2人よりも早めにベッドにつけるようになった。



 そして、いつものようにスキルを使って魔力増強に励んでいた。今は全魔力を消費するのにスキルを100回使わないといけないので大変である。 



 スキルを使い続け、最後の100回目のスキルを使った瞬間だった。




「あああああああぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」




 突然頭に激痛が走り、耐えられずに叫んでしまった。とても生後10ヶ月の子どもには耐えられる筈もない痛みだった。

 


 大きな足音が近づいてくると勢いよく寝室のドアが開けられた。





「どうしたんだライトっ!?大丈夫か!!!怪我したのか!!!!」



「ライトどうしたのっ!どこかにぶつけたの!?」





 2人が心配して駆けつけてくれたが、ライトは泣き続けることしかできずにいた。そんなライトをルミエは優しく抱きかかえた。




「どうしたのライト?何処か痛い所はない?」



「うん……」



「じゃあ怖い夢でも見たの?」



「うん……」



「今日は一緒のベッドに寝ようね」



「うん……」



「そうかぁ…… 何もなくて良かった…。」



「今日はもう寝ましょうか、あなた」



「ああ、そうだな」




 ライトはいきなりの頭痛で痛みと驚きのあまり激しく泣いてしまったが、ルミエに抱きかかえられると安心しすぐに泣き止むことができた。


 ジャンもすぐに来てくれたが、ただあたふたしているだけだ。正直いてもいなくても変わらない。

 


 この日、改めて母の偉大さを思い知った。



 まぁ、ジャンもジャンで必死に笑わせようとしてくれたので、その誠意は受け取っておこう。



 今までは2人を親という認識で見れていなかった自分がいたが、初めてこの2人の子どもなんだという自覚を得られた気がした。




 そして、今は2人の間に挟まれてベッドで横になっていた。




 だいぶ頭痛も治まり、あの時いきなり起きた頭痛の原因について考えた。




(いきなりの頭痛の所為でめちゃくちゃ叫んじゃったし、足音に気づいて咄嗟にステータス閉じたけど、結構危なかったなぁ。バレるかと思った。)




(それで頭痛が起きたのは100回目のスキルを使った直後だ。今までこんな事はなかったし、多分だけど魔力が100になったことが関係していそうだな。100以上の魔力を一気に全部消費すると頭痛のような症状が出るのかもしれないな。)




(これは非常にまずいな。これからも全魔力をした時毎回あの頭痛がくると思うととてもじゃないけど耐えられない。魔力増強なんてできないぞ。どうしよう…、取り敢えず今回の頭痛が突発的に起きた可能性もあるからまた明日怖いけどやってみよう……)



(今日はもう寝るか……)




 翌日。




(もう朝か……)




 朝目を覚ますと2人はもう起きたようで今はベッドに1人でいる。昨日の夜に起こった出来事を思い出すと今からまたいつものようにスキルを使うことを躊躇ってしまった。


 


(ああぁ………。嫌だなぁ。でも決まったわけじゃ無いし、やるかぁ…)




 そして、いつもと同じようにスキルを使い続け99回目が今終わった。




(次が100回目か……。ああぁもう〜グズグズ悩んでても仕方ねぇな、やるしかねぇ。)




(よしっ……。いくぞ!『静電気』!!)




 すると、昨日の夜と同じように頭に激痛が走った。昨日のように叫ぶわけにはいかないので、咄嗟に枕に顔を押し付けた。





(んんんんんんんんんんんんんん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!)





 暫くすると痛みも治まり、ルミエ達にも気づかれなかったようで一安心した。

 しかし、これで100以上の魔力を一気に全部消費することで頭痛が発生するのが分かった。

 



(親にはバレなくてよかった…。それより………。はぁ……、まじかああぁ……、これからどうすんだよ〜〜〜)




 ライトはこれで魔力増強を終わりにするか、激痛に耐え続けながら魔力増強を続けるか、本気で迷っていた。




(もう魔力増強はしなくていいんじゃないか。魔力を0まで使わなくてもいいだけならスキルレベルは上げられるし……。でも前世の知識だと必ずこの時期に上げた魔力はチート級に役に立つんだよなぁ……。うん?待てよ。もしかしたら……)




 ライトは1つの可能性に気が付いた。それはスキルの取得である。スキル『詠唱破棄』は何回も心の中で唱えた事でスキル取得に至った。


 

 それならこの頭痛を何回も体験すれば、頭痛を軽減できるようなスキルが手に入るのではないかと考えたのだ。




(でも、詠唱破棄のスキルを取得した時、1000回ぐらい唱えたと思うんだよなぁ。)



(しかも詠唱破棄は最強道というスキルの副産物でしかない。だから1000回やったら確実にスキルを得られるとは限らない。だけど、本当に1000回やる事が条件だとしても、あの頭痛を1000回も耐えないといけないのには変わりない………。)




 1000回というのも決して少ない数字ではない。むしろ多すぎる。だが、やり続ける限り頭痛に苦しめられると思っていた事に比べれば、1000回で頭痛から解放されると思うと、まだマシに思える。




(1000回だけ…、やってやるか。もし1000回やってもスキル取得出来なかったら諦めよう。はぁぁ……、これから毎回叫ばないように耐えるのか…、大変だなぁ)





 これから頭痛に耐える日々が始まった。


 


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



  2ヶ月後。



 夏真っ盛りの8月1日だ。



 今まで毎日の魔力増強とその反動による頭痛で自分の誕生日など気にしていられなかったが、親からお祝いされ、自分の誕生日が8月1日だと初めて知りつつ、またこの世界に来てから1年が経ったと思うと何か感慨深いものがあった。



「誕生日おめでとう、ライト」



「誕生日おめでとうライト!、今日は美味しいものいっぱい用意したぞ!たくさん食べていいからな!」



「あいあとう、パパ、ママ」



 テーブルの上にいろんな種類の野菜や果物が並び、見たこともないものもあったので久しぶりに興奮した。




 とは言ってもまだ固形物は食べられないので、擦り潰してもらって食べた。調味料などはあまりないので、ほとんどが素材の味を活かしたものだったが、どれも美味しくてとても感動した。特にポッチャの実という可愛い名前の果物はとてつもなく甘く、程よい酸味もあり、今まで食べた果物の中で1番美味しかった。




(1歳になったしなぁ。今までは魔力増強も1日で4回、たまに5回だったけど、これからは頑張って1日5回やろう。頭痛の回数も1日5回になるってことなんだけどね…。まぁ、その分早く1000回にもなるからな。プラスに考えよう。)




 そして、1歳になってから毎日毎日頭痛に耐え続ける事、5ヶ月。ついに1000回目を迎える日が来た……。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ