表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/17

第17話 ゴブリン

 それから時が流れ、俺は6歳になった。


 今でもファナとの特訓は続いている。ファナも世界で4人目の最上級職になったので、どうなるか分からなかったが、とりあえずは今までと変わらないらしい。



 小さい頃から英才教育をさせたりするのかなと思ったのだが、そんなことはしないようだ。



 俺としてはファナと特訓できて願ったり叶ったりだが、職業を得てからファナには全く敵わなくなってしまった。分かっていた事とはいえ少し悲しい。


 俺も魔力量が10倍になってから魔力増強にかなり時間がかかるようになってしまったが、新しく2つのスキルを獲得した。






[スキル]

 スキル発動自動化LvMax

・任意で選んだスキル(魔力を伴うスキル)1つを魔力がなくなるまで自動で発動し続ける。魔力がなくなるとこの効果は消える。

       設定〈   〉



 魔力超回復LvMax

・魔力の回復速度が2倍になる。







 正直この2つのスキルは俺にとっては有用すぎる。


 「魔力超回復」は言うまでもなく良いスキルだが、「スキル発動自動化」は魔力増強には欠かせないスキルだと言える。



 9000を超えた俺の魔力量では全魔力を使い切るのに1時間半ほどかかるのだが、その間、俺はずっと「静電気」と唱え続けなければならないのだ(心の中で)。



 まぁ、唱えるというよりは発動しようと思えばスキルが発動するのだが、1時間半は流石にきつい。


 そこで「スキル発動自動化」が役に立つというわけだ。寝ている間も使うことが出来るので本当に役に立つ。


 唯一のデメリットといえば、いきなり頭痛がくることぐらいだろう。

 

 

 ていうか、そもそもなぜこのスキルが今頃獲得できたのか。スキル獲得条件は1000回経験することだと思っていたが、それだけではないのかもしれない。

 


 考えても正解が出るわけではないので今は置いておこう。




 そんなことより今の1番の問題は職業専用スキルが1つも検証出来ないことだ。


 

 ネクロマンサーのスキルは魔物を倒さなければそもそも使うことも出来ないのだ。故にスキルレベルも上がらないし、ファナにもどんどん遅れをとる一方だ。



 やっぱり魔物を倒しに行くしかないか……。


 

 となると、情けないけどファナにも手伝ってもらうしかないよなぁ…。





「ファナ、相手になんなくてごめんな…」



「そんなことないよ!ライト強いよ!」



「いやぁ、ファナが手加減してくれてるのは分かってる…。それにファナがスキルを使ったら俺なんて何も出来ずに負けるよ。」



「うん〜……。ごめん…。」



「いやいや、ファナは何も悪くないだろ。謝ることなんて何もない。俺が弱いのが悪いんだしさ。」



(ファナに気遣わせちまったな…。あの強さでまだ6歳か…。それに頭もいいしな〜。この世界の子どもは成長が早いのかもな…。)



(そんなことよりそろそろ切り出してみるか…。)




「ところでファナ、俺のスキルは魔物を倒さないと使えないことは知ってるだろ?それでだ……。これから魔物を倒しに行かないか?」



「いいの?森に入るってことだよね?お父さんが森には入っちゃいけないって言ってたよ?」



「大丈夫だ。森深くに入らなければ、そんな危険な魔物はいないよ。東の森の方がゴブリンがたくさんいるからそっちに行ってみよう。」



「そうなの?なんでライトはそんなこと知ってるの?」



「それは…まぁ、見に行ったからだよ…」



「え、1人で森の中に入ったってこと?」



「う、うん。そうだけど…」


 

 うん?どうしたんだ?ファナの様子が…



「ファ、ファナ…。どうしたんだ…?」



「…………………。もう!なんでライトはいつもそんな危ないことするの!前だって私に内緒で毎日怪我しながら特訓してたの知ってるんだからね!ライトのお父さんに黙ってるように言われたけど、本当に心配だったんだから!そして今回も1人で森に行って、何かあったらどうするの!」


 

 

 声を荒立て、涙目になりながら俺を叱るファナ。



 俺は驚きのあまり少し固まってしまった。


 

 

「ご、ごめん…」



「……私こそごめん。いきなり…」



「いや、ファナは正しいことを言ったんだ、ファナに何も言わずに心配かけてごめん。これからは危ないことをする時はファナに言うよ…」



「危ないことはするんだ……」



「あ……。うん〜…、ごめん。」



「あははは!大丈夫…。ライトのことはよくわかってるつもり!強くなるためなら危ないことでも平気でしちゃうんだよね〜。これからは危ないことする時は私に言うこと!約束ね!」



「はいはい、約束な、ありがとうファナ」



「うん!」



 昔はあんなに臆病だったのにな…、今じゃこうやって俺に物言えるようになったし。強くなって自信が付いたんだろうな。



「それじゃあ改めて、ファナ…、魔物を倒すのを手伝ってくれ!ファナの力が必要なんだ!」



「う、うん…!私頑張る!ライトが強くなるためだもんね」



「ありがとう、ファナ。それじゃあ早速ゴブリン退治に行こう!」


「「おおー!」」





 俺たちは早速ゴブリンが多くいる東の森の方へ進んでいく。



 俺たちの初陣をゴブリン退治にしたのにはゴブリンが最弱な魔物というのもあるが他にも理由がある。



 ゴブリンの肉は食用に適さず、素材も道具などに加工も出来ない。



 にも関わらずゴブリンは繁殖力も高く、畑を荒らしたり、人を誘拐したりなど非常に有害なのだ。



 だから、冒険者の間ではゴブリンに出会ったら駆除することになっている。



 ゴブリンの死体もそのままになっていることが多いので、魔物を倒すことだけが目的の俺たちには都合の良い魔物だろう。

 


 それに、ごく稀にだが武器を持ったゴブリンもいるらしい。今の俺の武器は木刀で正直心許ないからな…。武器を持ってるやつを倒して俺の得物に出来ればと思っている。


 

 俺たちは東の森に着くと、すぐにゴブリンを見つけることが出来た。



 今は茂みに隠れて、ゴブリンの様子を窺っている。



 ゴブリンは群れで活動することが多い魔物だが、幸いにも見つけたゴブリンは2匹で行動している。



「ライト…。あれ倒すの…?気持ち悪い…、触りたくないよ〜…。」



「うん〜まぁ確かに気持ち悪いな。ファナには飛拳弾があるだろ、それなら近づかずに倒せると思うぞ。」



「分かった…、頑張る…。」



「おし、じゃあ2匹いるから1匹ずつ相手にしよう。俺が危なそうだったら助けてくれ。」



「う、うん…私倒せるかなぁ。」



「心配すんな。飛拳弾で一撃だ。」


「ほんと?」


「あぁ、俺が保証する。」


「分かった…」



 飛拳弾はファナのジョブスキルの中で一番威力が弱いスキルだが、それでも岩を破壊するほどの威力がある。しかもまだLv1…。将来どうなるのか末恐ろしいよ…。



 問題は俺だな…。戦闘で使えるジョブスキルは1つも無い。しかも、職業の恩恵で上昇したステータスはMPと知力。だから身体能力は1つも上がってないことになる。



 これが最弱職と言われる所以だろう。



 だけど、ネクロマンサーにも必ず強くなれる道はあると思う。



 こんな最弱職にも一国を巻き込むほどの力があるのだから。



 俺はその力を悪い方向にじゃなく、良い方向に使えばいいだけだ。



 ネクロマンサーはジョブスキルを見る限り、死体を操って戦う職業だ。最初は弱いけど、いずれはたくさんの魔物の死体を操って数の暴力で格上の魔物にも勝てるようになるはずだ。

 

 大丈夫…。俺は必ず強くなれる…。


 


「よし…、ファナ、いくぞ!」


「うん!」




 俺たちはゴブリンの前に躍り出た。そして、即座にファナが動く。



「飛拳弾!飛拳弾!飛拳弾!!!!!」



 いきなり3連弾…。



「キィ?ギィィ!?ギィィイイイイ!!!!!」



 うわぁ…


 1発でいいところを3発も…


 しかも、全部顔面に…、最後の1発で首から上がなくなってしまった…。




「ライト……あれで倒せたかなぁ…」



「いやいやいや、もう十分、もう十分すぎるほど余裕で倒したわ」



「そっかぁ、良かった〜」



「じゃああと1匹は俺がやってみるよ、危なかったら助けてくれ」



「分かった、ライト頑張れ!」




 さて…、次は俺の番か。隣の奴が殺されたのを見て、かなり殺気立ってるな。



「ギィィ…ギィイイギァァアアア!!!!!」



 吠えてるなぁ…。俺にはファナみたいなスキルは無いんだ、出来ることなんてほとんどない。いつも通りファナとの特訓を思い出してやるだけだ!


 …いくぞ!



 俺がゴブリンに向かって駆け出すと相手のゴブリンも俺に向かって走り出してきた。


 

 背丈も小さく、スピードもそこまでない。



 ゴブリンは俺に近づくと、大きくジャンプし助走をつけて右腕を振り下ろしてきた。



 このくらいなら余裕で避けられる。



 俺は冷静に避けて、ガラ空きになった首を狙う。



「これで決まりだ! シュッ……ガキンッ!」



 よし、完全に首筋に入った、だけど手応えがおかしい。



「ギィィ……ギヤッ!!!」



 ゴブリンは何事もなかったかのようにまた俺に襲いかかってきた。


 嘘だろ…全く効いてないのか…。木剣とはいえ普通なら気絶か首の骨が折れてもおかしくないのに……。


 くそ、もう一回だ。


 ゴブリンの攻撃は単調、腕を振り回してくるだけだ。しっかり避けてチャンスを待つんだ…。


 すると、さっきと同じく助走をつけて腕を振り下ろしてきた。


  

 よし、来た…。次は確実に仕留める。


 

 ゴブリンの攻撃を避けて、剣先に全体重を乗せ首を刺す!



「おらぁぁぁぁあああ!!!バキンッ!!!」



 嘘…。木剣が折れた…。



 まずいっ!ここで仕留めるつもりだったから体勢が悪い……攻撃がくる、避けられない、腕でガードするしかない!



 ゴブリンの思いっきり振った腕が俺に当たる。


「ンギィィアアアアア!!!ゴンッ!!」



 俺は両腕でしっかりガードしたにも関わらず、10メートル以上吹っ飛ばされた。



「まじか……。とてつもない力…これで最弱の魔物なんて……。くそっ…」



 すぐにゴブリンが走り出してきた。


 やばい、早く体勢を整えないと…くそ、足が言うことを聞かない…。

 

 やばいやばいやばいやばい動け動け動け動け動け動け!!!!!



「飛拳弾!!」



「ギヤアアア!!!!………。バタッ…。」



「ライト!大丈夫!?」



 俺が苦戦したゴブリンはファナによって一撃で倒された。


 ファナにはああ言ったが、もっと戦えると思っていた。攻撃も一切効かず、ゴブリンの攻撃1発で形勢を逆転させられるなんて……。


 




 今までの俺の努力はなんだったのだろうか…。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ