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第16話 家族

ハロ爺と合流し、村に帰ることになった。



 魔物に襲われることもなく、行きと何ら変わりない帰り道であったが、みんなの会話は少なくずっと気まずい雰囲気だった。




 俺と大神官が話している間に、他の子ども達にはネクロマンサーのことを話したら大変な目に遭うと半ば脅しをかけられるように言われたらしく、神託の儀が終わってからはみんな口数が少なくなっていた。




 また、村まで護衛をする騎士団達もハロ爺から今回の神託の儀の話はしないでほしいと頼まれているため、帰り道ではほとんど会話が出来なかったのだ。



 そして、そのまま2日が経ち、アレク村に到着した。




 到着したのが夕方だったのもあり、デラパルトさん達には軽い挨拶と礼をして別れ、各自家に帰ることになった。




「みんな、ご苦労じゃったな。しつこいようじゃが、絶対にあの事は言ってはならんぞ、トール分かってるな」



「分かってるよ!ちぇっ」



「それじゃあ、解散じゃ」




 みんな馬車の旅で疲れているのか、それともあれのせいなのかは分からないが、家に帰る足取りは重く見えた。




「ライト君……、そんなに気にする事はない…皆んなまだ5歳児だ、きっと長旅で疲れたんだろう」



「慰めなくていいよ、大神官のおじさんから色々聞いたから……、たしかに怯えるのも納得だね」



「あの時はすまなかった…。わしも一緒になって腰を抜かしてしもうて……、それと大神官“様”じゃ、あの時も大神官様が他の神官達を止めてくれたお陰で大事にならずに済んだからなぁ」



「たしかにそうだったね……」



「まぁ、今日はもう帰るといい、近いうちに大神官様が来るじゃろうし、きっとなんとかしてくれるはずじゃ」



「いつまでも凹んでてもしょうがないしね、それじゃ、ハロ爺またね」



 そう言って俺も家に帰ったが、あまり足取りは軽くはなかった。


 


「ただいま…」


「あ、にいに!」


「にいに!」


「おう、ライトおかえり!」


「あらライト、おかえりなさい、無事で良かったわ」



「おい、ライトどうしたんだ?あんまり元気がないじゃないか、あんまりいい職業じゃなかったのか?生産職とか……」



「いや、一応戦闘職ではあったんだけど…」



「お、そうなのか、なんの職業だったんだ?」




(どうする…、言ってしまっていいのか、それとも大神官のおじさんが来るまで待った方がいいのか…)

 


「まぁ今帰ってきたばっかりだもんな、これから夕飯だから、その時教えてくれ」



「うん…」




 ジャンもルミエもなんとなく俺が望んでいた職業でないと分かったのか、話を逸らして無理に明るく振る舞っているようにみえた。




「ほらライト、長旅で疲れたでしょ、たくさん食べなさい」

 

「ああたくさん食え、たくさん食わないと強くなれないからな!」




(やっぱり気を遣って聞かないでくれてるんだろうな。俺から言うのを待ってくれてるんだ…)

  



「あの…パパ、ママ、職業のことなんだけど…、ミリアとナイトが寝てから話そうと思う……。」


「そうか…。分かった。」


「分かったわ、じゃあまずはご飯食べちゃいましょ」




 俺も少し気が楽になって、買ってきたお土産を渡したり、グリンロックの話をしたりして、久しぶりに家に帰ってきたんだと実感できた。



 そして、ミリアとナイトと少し遊んであげるとすぐに眠りに就いた。



 居間に戻るとジャンもルミエも既に座っていた。俺もいつもの席に座る。




「私たちはライトがどんな職業でも精一杯応援するわ、私たちの子どもなんだから」



「ああ、そうだぞ、どんな職業でもいいんだ、たしかに職業によって将来は変わるかもしれないがどんな職業でもパパとママは応援するぞ」



「うん、ありがとう」



 俺が言うのを躊躇っていたため、不安を少しでもなくそうと声を掛けてくれたのだろう。




「実は神託の儀で与えられた職業は禁忌の職業とされてるらしいんだ…」



「どういうことだ?どんな職業なんだ?」



 俺は一回息を吐き、気持ちを落ち着かせた。




「『ネクロマンサー』っていう職業だよ……」



「……。なるほど。俺はよくわからんが不吉な職業だとは聞いた事はある」



「私も不吉な職業だということは聞いたことがあるけど、それ以外は知らないわ…」



「そうなの?」



「ああ」




( …………。あんだけネクロマンサーのこと隠すから共通認識なのかと思ってたけど、もしかしてそうじゃないのか?でもとりあえず教えてもらったことだけでも話しておこう)




「ネクロマンサーっていう職業は……。」




 俺は大神官に教えてもらったことを事細かく話した。




「昔にそんなことがあったのか……」



「近いうちに大神官様が家に来て説明してくれるらしい」



「なんでだ?」



「多分今後どうなるのかを説明しにくるんだよ、昔にあんだけの大罪を犯した職業だから、領主様と話し合って処遇を決めるって言ってた…」



「待て、どういうことだ、処遇を決めるって…最悪の場合どうなるんだ!まさか処刑されるんじゃ…」



「大神官様が安心していいって言ってたから多分大丈夫…ハロ爺も大神官様ならなんとかしてくれるって言ってたから大丈夫だよ」



「そうは言ってもな……、くそ…そんな大昔にあったことを今更持ち出しやがって…」



「あなた、落ち着いて、ライトもそう言ってるんだしきっと大丈夫よ、もし最悪そんなことになった場合は私たちでライトを守りましょ」



「ああ、そうだな、必ず守ってやる…ライト安心しろ、騎士団が総出で来ようともパパが全員倒してやるからな」



「……さすがに全員は無理じゃない?」



「お、おい…まぁそうなんだけどさ…」



「「あははははは」」



 俺の職業を知ってジャンとルミエはどう思うのか心配していたが、杞憂だったようだ。俺も肩の荷が降りたのか、帰ってきてから初めて笑うことができた。







 それから2日が経ち、とうとう大神官様たちがこの村に到着した。




「この度は遥々この村まで御足労頂き誠にありがとうございます。私は父のジャンです。」



「母のルミエです。」



「私はラターシャ=メルエゴン、王都で大神官をしておる。それで早速だが、ライト君の職業について話をさせてもらう。ライト君からは聞いているかな?」



「はい、ライトから聞いております。そのライトの職業は過去に人を大勢殺し、最終的に国王様まで暗殺した大罪人が持っていた職業だと…」




「その通りだ、だがこのことは世にあまり広まっていない。これを知っているのは王族、貴族、そして神官達だ。」




「神官達は神官学校で全ての職業について学ぶ。神官は神に代わって神託の儀を行うため、職業については詳しく知っておかなくてはならないのだ。その中には秘匿しておかなければならないものも多くあり、神官は職業について他言はしてはいけないということになっている。故にこのことは広まっていないのだ」




(そうか、だからハロ爺も職業についての授業はしないし、聞いても教えてくれなかったのか)



「なるほど、それは分かったのですが、これからライトはどうなるのでしょうか?」



「いやぁ、すまん、それを先に言うべきだったな。安心してよい、特段変わることは何もない」



「本当ですか!良かった、良かったなぁライト」



「良かったわね、ライト」



「うん!」



「だが、ネクロマンサーという職業は戦闘職にも関わらずゴブリン1匹にすら勝てない職業らしい。だが、先程説明したような事件を引き起こせるほどの力も有している。極めて特殊な職業だ。もしかしたら恐ろしい力を秘めているかもしれない。」



「はい…確かにそうかもしれませんが、僕は絶対に人を殺したりするような真似はしないと約束します。それに、どんなに弱い職業だとしても僕は強くなってみせます!」



「そうか……もし困ったら私に相談しなさい。」



「分かりました…」



 大神官様は俺たちとの話が終わると、神託の儀を受けた子ども達の家を回って行った。



 子ども達には箝口令を出していたため、それを解くのとその説明をしに行ったらしい。



 ネクロマンサーのことがあまり知られていないのであれば、箝口令を出す必要もなかったのではないかと思ったがいろいろ事情があるのだろう。



 兎にも角にも何事もなく今まで通り生活できるのであれば何の文句も俺にはない。


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