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第10話 ファナの才能

それからその日以降毎日ファナと一緒に特訓したり、遊んだりしていた。


 そして、俺が木剣を持ったことをきっかけにファナにも木剣を持たせてもらうことをゴルドさんに頼んでファナも木剣をもらうことが出来た。

 木剣をもらってからは2人で打ち合うことも増えたので、剣術スキルを得られるのも時間の問題だろう。 

 



 他にも俺は以前出来なかったことをやろうとしていた。それは投擲スキルの取得だ。

 今は村の外に出られるようになったし、投げやすそうな石も落ちているので良かった。ようやく前世で野球をやっていた経験を活かすことが出来る。




「ファナ、今日は石を投げる練習をしよう」



「石?」



「そう石だ、遠くまで投げることが出来れば、空を飛んでる鳥を撃ち落とせるかもしれないぞ!」



「鳥さんかわいそう…」



「あぁ…、じゃあ鳥さんが悪い魔物に襲われてるときに遠くまで石を投げることが出来れば助けることが出来るかもしれないぞ?」



「そうだね!私も石投げられるようになりたい!」



「よしよし、それじゃあ始めよう。」



(子どもって純粋だなぁ、なんか悪いことして気分になってくる…、まぁ俺も子どもだけどさ)



「じゃあまずはこの木に丸い印をつけたからこの真ん中に石を当てる練習だ!」



「分かった!じゃあライトいくよ〜、えいっ!」

「あぁ…だめだ全然ちがうとこに行っちゃった…」



「俺がお手本見せるから見てて」



「よし、いくよ!」


(しっかり体重移動のエネルギーを逃がさないよう下半身で抑え込み、そのエネルギーを上半身に、そして力を抜いて腕をしならせ、最後は指先を意識)


「シュッ!ばんっ!」



 球の威力もさることながら、寸分違わず木の真ん中に当たった。



(まじか、前世のときより全身を使えてるような気がするな、とても3歳児の身体とは思えないけど、やっぱりステータスのおかげかな)



「ライト!すごいよ!真ん中当たった!球もすごく速かったよ!」



「まあね、次はファナの番だよ」



「うん、がんばる!いくよ〜、えいっ!やっぱりだめだ〜…」



「えっとね、投げるときはまず下半身を意識して、… (以下省略)」


「まぁこんな感じなんだけど…」


(3歳児に説明しても分かるわけねぇよな)



「わかんない…」



「よね〜…じゃあ俺投げるから俺のマネをしてみて!それで投げられそうだったら言って!」



「分かった!」



 とりあえずさっきと同じように3球投げて3球とも真ん中にいった。【器用】もだいぶ上がってきてはいるけどまだまだ低い、それにもかかわらずコントロールがいいのはやはり前世の影響が大きいような気がする。それからまた5球ほど投げ終えると、ファナが石を持って投げる準備を始めた。



「ファナもういいの?」



「うん!もう真ん中に投げられると思う!」



(まあいいか、見るよりも何回も投げたほうがいいだろう)



「じゃあいくよ〜、えいっ!シュッ!ばんっ!」

「やったあぁ!!ライト真ん中当たったよ!!」



「ま、まじか…」


(ありえねぇだろ、さっきまで全然投げられなかったのに見ただけで俺と同じくらい投げられるようになるなんて…、ファナってもしかしたら天才なのか…)


「す、すごいよファナ…、やったな」



「うん!ライトのマネしたら出来るようになったよ!」



「じゃあこれからバンバン投げていこう!とりあえず今日は100球な!」



「うん!」



 その日から2人のときは右で100球、ファナとの特訓後に左で100球、毎日計200球投げるようにした。やはり左だと右で投げたときよりは精度は落ちるような気がした。



 そして5日後1000球目を投げ終えると、スキルを獲得することが出来た。やはり、スキル獲得の条件は1000の経験値なのだろう。



 10日後にはファナもちゃんとスキルを獲得することができた。だが、ファナはスキルを獲得したのは1000球目ピッタリではなく、1002球目だった。もしかしたら、1日目の最初に投げた2球はカウントされていなかったのかもしれない。


 スキル獲得には経験値だけでなく、そのスキル獲得に応じた明確な行動を示さなければカウントされないのだろう。俺も1歳の頃から毎日瞑想をしているが、まだスキル獲得には至れていないので、多分あっているだろう。ちなみに投擲スキルはこんな感じだ。




[スキル]

 投擲Lv1  1,000/10,000

 物質を投げる際に威力、精度等に補正をかけるスキル。





 その後も毎日2人で特訓をして、投擲スキルの他にも、剣術のスキルも獲得することが出来た。


 冬になって雪が降り始めると村の外には出れないので、この時期は村の中で出来ることをやった。石投げと【耐久力】上げは出来なくなり、その分はまた【知能】上げに回したのだが、それほど覚えることがなかったので、主にファナに授業をして、【知能】上げの手伝いをしてあげた。



 そして、年を越した一月。



 最近は剣の打ち合いだけでなく、組み手も行うようになった。ジャンの知り合いの冒険者に格闘家の職業の人がおり、数日だけ村に滞在したことがあった。その時に少し手ほどきを受け、組み手も行うようになったのだ。




 そして、今日もファナと組み手をしていたのだが、何回も負けた。元々ファナは見たものをすぐに出来るようになってしまうほどの運動神経はあったが、ファナの格闘センスに関しては群を抜くほど天才的であったのだ。


 ステータスでは俺の方が高く、【筋力】は2倍近く差があるのだが、ファナは俺の力を利用しての投げ技や、カウンターが非常にうまい。それだけでなく、動きにもまるで無駄がないので、ステータスで劣っていても俺のスピードについてこれる。剣の打ち合いではそこまでの動きは出来ていなかったのだが、才能というものは本当に恐ろしい。




「ファナ…、本当に強いな、俺の方がステータス高いのに…」



「えへへ、ライトに勝つのも嬉しいけど、褒められるのも嬉しいな〜」



「なんでそんなに強いんだよ〜」



「ライトにお勉強教えてもらったから!」



「いや、そんなわけないだろ、ちゃんと教えてくれよ。」



「嘘じゃないよ!お勉強教えてもらってから強くなったんだもん!」



「えぇ〜…、なんで勉強したら強くなったのか分かる?」



「よくわかんない……、けど本当だもん!」



「わかったわかった、じゃあもう一回勝負してくれ…」



「うん!いいよ!」




(うん〜…ファナがあんだけ言うなら合ってるのか?でもなんで勉強したら強くなるんだよ…、あっ、もしかして【知能】が関係してるのか?それなら合点がいくな。でも【知能】なら俺の方が全然高いしなぁ。考えても分かんないし、とりあえず…、うん? “考える” そういえば剣の打ち合いのときは余裕があるから打ち合ってる最中にも色々考えてやってるけど、普通あの一瞬のうちにあんなに思考を巡らすなんて出来るわけないぞ。もしかして、そういうことなのか?)



「じゃあいくぞ、ファナ」



「いつでもいいよ!」



 そして、組み手が始まるといつもファナの攻めに焦ってしまっていたが、今は違う。



(次は右がくる。と見せかけてこれはフェイントだな、たぶん左の蹴りだ!よしきた!)



(なるほど、俺は焦って直感的にやってしまっていたのか。だから毎回フェイントに引っ掛かったりしていたけど、落ち着いてやれば簡単なことじゃないか)



 ファナも俺の動きがいつもと違うことが分かり、攻めあぐねている。その隙に俺は力業でぐいぐい攻め、あと少しで勝てるとこまできたのだが、ここでファナは見たこともない速度で避け始めた。



(まじかよ、今までの本気じゃなかったのか、たぶんこの動きは思考に頼っていない。感覚で動いてるぞ、でもそれにしてもいきなり強くなりすぎだ、ステータスは俺の方が高いのに)



 そのあとは一進一退の攻防が続いたが、俺の一瞬のミスで最後はやられてしまった。最後の最後に焦ってしまったのだ。



(うわぁ、この負けは忍耐力の無さで負けたようなもんだ、俺もまだまだ子どもだなぁ。てかファナが化け物すぎだよ…)



「今回は勝てると思ったんだけどな、ファナ強すぎるよ…」



「ライト強いよ!私もうダメかと思ったんだけど、気づいたら勝ってたんだ!」



(えぇ〜…なんだよそれ…)



「そういえば、なにかわかんないけどスキル獲得したかも!」



「へぇ〜もう格闘術を獲得したのか?」



「見てみる!『ステータスオープン』!」



(それにしても、【知能】が高いと一瞬の間にいくつもの考えを巡らせられるのか…、ファナに教えてもらわなかったら分からなかったなぁ、これからはこれを意識しながらの戦いをすれば【知能】が上がるかもしれないな)



(どれどれ、ファナのスキルわ…)




[EXスキル]

 拳士の極みLvMax


 天性の格闘センスを持つものに与えられるスキル。


・格闘に関するスキル、職業スキルの経験値が2倍もらえる。

・【筋力】【速度】 SP のステータスが常時1,5倍になる。




「ま、まじか…」

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