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思い出話  作者: いつかの彼女
結果
9/15

糞女糞男

 それからというもの、私は人間の三大欲求全てが無くなってしまって、ここへ来て唯一食べられたのは、彼に瓜二つの彼が誘ってくださる食事会のみ。



 それ以外は寝ることも無く食べることもせず、ただひたすらに時が過ぎるのを待った。



 毎日毎日送られてくる罵詈雑言。


 電話をしろと言われ掛ければ罵られ、話途中でも切られる始末。



『でもやっぱり離れたくない』



 そんなメールをしてきてくれるから、私も今度こそと調子乗ってしまって。



『私もです』



 なんて返してみても、待ってましたと言わんばかりの罵詈雑言。



『お前なんて汚くて無理』



 元々私たちはコンガイレンアイ、不倫と言われる仲だった。

 いつか必ず迎えに行くから、待ってて、信じてて。


 でも会いたいからそっちから来て。


 でもプレゼントはあげられないから、またいつかね。



 そんな優しい言葉がでてきた人だとは思えない。


 今思い起こせば、何をするのも彼の時間だった。

 何一つ文句も言わず、大好きな人の為にと頑張っていた私は、そんな自分に酔っていただけだったのだろうか。



 そうして何日か経ってくると、今度は自慢話とメールが次から次へと届くようになった。



 私とまだお付き合いしている頃から話題にしていた職場の女の子たち。


 その子たちが自分のことを取り合ってくれている。

 告白された。

 付き合っている。

 体の関係もできた。


 同じ夢見てる。

 応援してくれてる。


 どこかの糞女とは大違い。






 私は今までその全てをしてこなかったかな。

 何をするのもお伺い立ててからしかダメだと言われたから、きちんと守っていた。

 体の関係も、電話での行為も。


 同じ夢も彼のためならと四方八方に、あらゆる手段で宣伝もしまくった。

 誰よりも応援していた。



 ねぇ、あなたは私のどこを見ていたの?

 ねぇ、あなたは私の行動にひとつでも感謝したことあったの?


 ねぇ。



 ねぇ?



 ワタシハアナタノナンダッタノ?






 そして私は気づいたら海辺にいて、このままずーっと海の中を進んだら、消えてしまえるんじゃないかって思った。


 何もかもがおかしな関係だったけど、それをひた隠すように、いつか正常な関係になれるように、頑張っていた私の行動。

 彼の為だと、貯金にまで手を出していた現実。




 そうこうしている間に、またメールが来て、もう驚く感情も持てないものだった。





『誕生日にあげたお金、返して』





 5000円。たった5000円。されど5000円。



 私に使ってくれた金額はきっと、1000円にも満たないのだろうな。


 それだけの価値しか無かったのか。



 大好きだった彼の周りにいる女の子たちは、あちこち連れ回してもらえて、ご飯まで連れてってくれたんだって。


 私なんて、ホテル代まで私が持っていたのに。



 のに……のに……。




 糞女。





 あなたも十分、糞男。



 たった100円も渋るのに。





 悔しくて悔しくて悔しくて。

 悲しくて悲しくて悲しくて。




 なかなかその5000円を送り返さないことに、何度も何度もメールが来るので、泣きながら送金ボタンを押しました。



 夢見ていた彼とのお揃いものを買う資金。


 何ひとつとして買うこともなかったそのお金は、きっと彼の周りにいる女の子に使われたのでしょうね。







 悲しかったなぁ。

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