表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
思い出話  作者: いつかの彼女
彼との出会い
4/15

彼との初めての時間

 本当は深夜12時というだけあって、若干の眠気はありました。


 だけどかなり緊張していたこと、何よりも会いたくて仕方なかった彼と会うことが出来た喜び、それが何よりも大きかったのと、念願だった “手を繋ぐこと” それが叶ったことが嬉しくて嬉しくて、思わずポロリと涙を落としたのはここだけの話。


 それからは電話の時と変わらず、今まで何度も会っていたと言わんばかりにいつも通り、なんでも話してくれる彼。

 あんな事やこんなこと、終いには教えて貰った歌を歌ってまでくれました。


 そして休憩が終わって、もうお別れかと、たった1時間の逢瀬かと、ちょっと落ち込み始めていたら、なんと神様か、彼は嬉しい言葉を伝えてくれた。



『もうこんな時間やし、ギリギリまでいる?』



 ギリギリというのは、彼の交代要員が来られるまで。


 そんな甘えたことしちゃってもいいのですか!?



 なんて言いながらも、その言葉を受け取りたい私。



 やっと2人きりになれてきていたはずなのに、ここへ来てまたチキンな私はこくりと頷くだけ。



 そして誰もいないことをいいことに、お店のお手伝いをしてみたり、時折やってくるお客さんの接客にいちいちかっこいいなぁと、魅入ってみたり。


 ここでもまた私の知らないあれこれを教えてくれる彼。

 とにかく博識で情報ツウで、普通に聞けばそんなこと? って事まで話してくれるので、楽しくて仕方ない私。


 あれよこれよと楽しんでいる内に、外が明るみ始め、お客さんも増え始め、そして交代の人が来た。


 慌てて外へ飛び出し『また後でね』と視線を飛ばしあって、一旦最寄り駅へ戻りました。


 1時間しか会えない予定が、まさかの終わりまで一緒に居られ、そんな夢みたいな事が起きるのかと夢うつつの私。


 まぁ一睡もしていなかったので、本当に夢うつつだったのかもしれませんが、お花畑の私には分からないので良しとしましょう。



 そしてそれから数時間後、今度はまたタクシーに飛び乗り、往復の時間。



 一旦自分のホテルから必要なものを持ち出し、出発。

 その後彼を指定の場所に拾いに行って、そのままラブホへ。



 初めての2人きりはホテルで過ごす4時間ほど。



 仕事の時とは違うプライベートな彼は、電話先と同じくかっこよくて立派な声と、ずっと見ることの出来なかった笑顔。何もかもが嬉しくて幸せで、短い時間ではありましたが、肌まで触れ合えた幸せに、お花畑急上昇中の私は幸せ絶頂でした。



『絶対、一緒になるようにするからな』



 終始そう言ってくれていたから、私はそうなるものだと確信して、尚更彼のために何でもしようと心に誓ったのです。



『また逢えるかな』



 ベッドで彼の腕枕でうたた寝し始めて、ふと囁いてみたら、大きな手が私の頭を撫で、また抱きしめてくれた。



『逢えるよすぐに』






 そんな逢瀬もあっという間。



 仕事へ行っていたていで先にタクシーから降りてしまう彼。

 パタンと扉がしまった瞬間に泣いてしまって、タクシーの運転手さんに慰められながらホテルに戻ったなんて、きっと運転手さんもびっくりしただろうなぁ。


 そうして私は、帰りの新幹線までまたひとり観光をして、駅弁を買い込み、結局寂しさにわんわん泣きながら帰宅したのでした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ