表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
思い出話  作者: いつかの彼女
彼との出会い
2/15

好きの伝え方

 住んでる場所も世界も違う彼だったけれど、それでも魂の繋がりというのは面白いもので、元々生まれ育った場所は近くだった。


 そして好きな食べ物も似ていて、好物談義に花が咲くのも早かった。


 コソコソ付き合う仲だったし、遠距離ということもあって、唯一繋がれたのはメールと電話。電話も彼の深夜の仕事の休憩時間だけ。


 それでも優しい彼は、奥様のいない昼間にすぐ連絡をくれて、お電話することもあった。


  なので長い時間話すことは叶わないけれど、それでもそんな短い時間で語り合う会話が楽しくて、いつも知らないことを話してくれるので、必死にメモを取っていた。




  彼はある音楽グループが好きで、その曲の歌詞に沿って気持ちを伝えてくれることがあり、改めてかっこいいなぁと、頭の中がお花畑の私。

  けれど今までの人生で触れることもなかったグループだった為、必死に聞き回ってみた。


  その中でも、すごく真剣に話してくれる曲があって、他の曲はとても難しかったけど、それだけは何故だかとても美しくて、何度も何度も聞いていた。



  素直に『好き』と伝えてくれますが、それでも深く深く伝えたい時に聞かせてくれたその歌詞の中に



  ただの石ころだけど必死に磨いてお前にやる

  嘘偽りなくずっとそばに居る、ずっと……。



  話し上手な彼ではありましたが、こと恋愛になるとオレオレが先立ってキツくなる人。だからなのかこれこそ上手に伝えてくれてるな、本気なんだなって物凄く感じて、私もこの人にどんな恩返しができるか、これ程までに想ってくれる彼に何ができるか、それを考えるのに必死で、その必死な時間が楽しくて、いつも彼を待ちわびていた。



『絶対迎えに行くから』



  その言葉を信じて、彼の言う事をなんでも聞くと決めたその日、なんとしてでも会いに行こうと決意したのです。



  必ず電話が終わるとメールをくれること、電話でもメールでも必ず『好き』だと伝えてくれること。


  たった2文字の言葉が嬉しくて、彼と出逢えたことに心底感謝し続ける日々。


  彼の為に深夜2時3時は絶対起きていたし、彼の休みが大体固定だったので、私の休みも合わせる様に出勤方法も変え、いつでも彼の時間に動ける生活を続けた。



  それが私が彼にできる唯一の行動であり、画面越し、受話越しに伝えられる恩返しだとも。


  そんなことが半年ほど続いた頃、彼がいつもより真剣にお誘いをしてくれた日があった。




『いい加減、会えればいいのにな。会いに来られないかな』




  彼との距離は飛行機、とまでは行かなくても、新幹線に乗らなければたどり着かないほどの遠距離。


  ましてや私にとっては未開の地であったし、家庭を持つ身としてはかなりの無理難題。


  どうしようか。どうすれば彼に会えるのか。


  会えたとして、どうやって交通費や宿泊、その他諸々を捻出するか。



  楽しい会話をしているにも関わらず、そればかり考えてしまって上手く会話にならない日、気づいているのかいないのか、いつもより楽しく会話してくれる彼の声に、結局、癒され慰められ、彼への恩がどんどん増えていく。




  そんな時、彼が唐突に提案をしてきた。



  電話でしてみる?



  子どもな私はなんのことか分からなくて、即答ではい! なんて元気よく答えてた。


 そこから少しずつ彼との関係が変わってきたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ