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思い出話  作者: いつかの彼女
彼との出会い
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プロローグ

 彼との出会いは遡ること3年前。



『一緒にテッペン目指そう』



 それが彼の口癖だった。


 そしてもう1つ。



『魂で繋がってる、どんなに離れても、一生繋がっているから』



 それもまた、唄うように話してくれる人。



 私とは性格も生活も全く違う。

 言葉も強く、自由奔放な人。

 なのに、私一人勝手に追いかけ続けたいと思った、それほどまでに私は彼に惹かれていた。


 それほどまでに、私の……それこそ彼の言葉を借りるならーーーー。



 私の魂の欠片、になりつつあった。




 ある日初めて、彼と電話をすることになった。


 と言っても趣味のサークルで話していることを、もっと細かく伝えたいがための電話。


 それだけでも、ほんの少しの電話でも、初めて聞く彼の声は世界一かっこよくて、わかりやすく丁寧に、かつ熱く語ってくれる話が楽しくて、1時間も2時間も延々に話し続け、終いには家族に止められ泣く泣く電話を切る羽目になったほど、本当に楽しくて嬉しくて仕方なかった、そんな乙女心に心底驚いたのが記憶に新しい。


 そうして仲を育む内に、サークル内でコンビを組もうという話になった。

 どんなメンバーと組まれるのか分からず、どうか彼と組めるようにして貰えないか……そう神様に願い続け祈り続ける日々。



『どうか、彼ともっと近くにいさせてください、一番にさせてください』



 そんなワガママ通じるわけねーな。

 神様へお願いしておいてそんな態度の私を、見捨てない神様がいた。



 未だに忘れられない。



『一緒にコンビ組もう!』



 彼が声高らかに宣言(実際は文字上の宣言ですが)してくれて、晴れて私は今度こそ彼と一緒に夢の階段を登れる事になった。




 浮かれてた。

 ものすっっっっごく浮かれてた。



 嬉しくて嬉しくて、大親友に自慢したくらい。

 大親友もまた、私の淡い恋心を応援してくれてた。


 でもひとつ大きな壁があって、乗り越えちゃいけないのは分かっていたけれど、直面しなければいけない現実に引き戻された。



 私たちは互いに、既婚者だった。



 お互いにパートナーがいて、それぞれの生活があり、ましてや相手はそれなりに仲が良かった。


 だからこそ私は最低な気持ちでいると、本気で落ち込んで、離れなきゃ離れなきゃ、そう思い始めた時に、私たちの関係がバレてしまった。



 それをきっかけに、彼の奥様は体調を崩し、寝込んでしまった。



 それをわざわざ聞かされ、謝罪すべきなのか悩みながらも、自分の気持ちも抑えきれずに泣き続ける私。

 理解されるわけのないこの感情が抑えきれずに、仕事を休んで海まで飛び出した。


 波打ち際を見ながら、わんわん泣き続ける私。

 彼とはもう縁を切らなきゃいけない現実。

 だけど消えない、ましてや深まり続ける気持ちに頭がついて行かなくて、何時間も何時間も泣き続けた。


 苦しくて切なくて、でもダメだと言い続ける私もいる。


 ご飯も食べられなくなり、眠れなくもなった。


 それほどまでに彼にハマりきっていた私は、もう天使の声なんて聴こえなくて、何とか彼との連絡方法を探し回った。



 何か……何処か……繋がれる場所はないか……。



 何度目かの波打ち際で、数あるサイトの中から、彼が懇親丁寧に教えてくれていたひとつのサイトで、ダメ元でメッセージを送ってみた。



 すると直ぐに返信が来て、私はその画面を見てまた、泣き叫んだ。

 波が打っててくれて良かった、そう思うくらい泣いた。



『俺も実は大好き。魂が繋がってるって話したやろ』



 ダメだと思いながらもそれでももう一度繋がりたくてメッセージをした。


 こそこそと、何度も何度も、もう一度私という人間を見て欲しくて。


 もう一度、彼の口から『好きだ』そう聞きたくて。



 でも心のどこかではいっその事



『大嫌いだ』



 とも言われたかった。

 じゃなければ私はきっと、もっともっともーーっと、彼のことが好きになる自信があったから。




 でも優しかった。

 現実の彼はとても優しくて。



『○○ほど好きな人はこの世に居ない』



 そう言ってくれたので、私はもうすべてが無くなってでも彼の傍にいようと決意したのがーーーー



 忘れもしない6月2日。




 これはそんな、3年前の6月2日から今に至るまでの


 惚気、自慢、幸せ。

 そして絶望、悲しみ、苦しみ。


 そして唐突にやってきた、別れ話。


 とにかく彼の言動は、人の心を動かしたり掴んだり、まるで魔術師のようで、私はすっかり虜で離れたくないと、そう思っていたのは事実。


 だからこそ、今こうして、彼のことを語りたくて物語にしようと決意するに至ったわけで、泣き虫から大人になる為のリハビリのための整理で筆を取りました。


 よりを戻したいとかじゃなくて、ただ、優しい人に触れたらしい彼が、そろそろ私を一人の人として会話を聞いて欲しかったから、そんな思いも寄せて……。



 そんな不思議物語の始まり始まり~。










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