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第5話 みんなでクリア

 朝は他のギルドの連中も沢山きており、管理組合の建物の中も騒々しい。


 クエスト依頼の掲示板の前に4人で立つ。


 シェリルさんが募集に指を差す。

「これなんかどうですか?」


 掲示板に貼られたクエストをみるとマホリン街道のリトルスライムの駆除と書かれている。


 『マホリン街道に小型のリトルスライムが大量発生しているため交通に支障きたしている。その駆除をお願いしたい』と書かれており、報酬もまずまずいい。


 スライムは物理ダメージが入り辛い厄介なモンスターであるのだが、それはノーマルスライムの話であり、リトルスライムはスイカほどの大きさで普通の人間でも難なく倒せる。


 数は多いかもしれないけど、問題なくこなせるだろう。


 教授が答える。

「もっと知的なクエストはないのかね? もっとこう吾輩の知能を活かすようなクエストを探したまえよ」


 ニーナちゃんが呟く。

「……今日のクエストの中で一番簡単なクエストなの」


 シェリルさんも口を挟む。

「いい加減クエストしないとうちもギリギリなんですからね。教授さん今晩の歓迎会はお留守番しますか?」


「……分かったそれでいい」

 渋々了解をする教授。


「アイゼンさんも構いませんよね?」


 俺は頷く。


「満場一致ということで クエスト受注してきますね!」

 そう言うとシェリルさんは受け付けに行って帰ってくる。


「さあ、マホリン街道に向かいましょう。スライムの数が多いので他のギルドも参加されているらしいです」


 なるほど共同クエストというわけか。


 ここから2時間程でクエストの場所に辿り着く。帰ってくる頃には夕方で歓迎会には丁度いい時間だし、いい運動にもなるだろうからお腹も減るだろう。


 俺達はそのマホリン街道に向かった。


 ◇◆◇


 今回のクエスト再度、シェリルさんに確認をすると1ギルド50匹のスライム駆除がノルマとして割り当てられているらしい。


 まあ今の俺なら50匹程度であれば数分で終わる。


 マホリン街道まで散歩に行ったと思えばいいぐらいのものだ。


「リトルスライム50匹なら俺が全部倒しますよ」

 マホリン街道に向かう道すがらそう言うと、シェリルさんは首を横に振る。


「それはダメです。アイゼンさん。働かざるもの食うべからずですよ! 額に汗して働いた後のご飯は美味しいものです。一人13匹です! ノルマ一人13匹倒せなかった方の晩御飯は抜きです!」


 さっきまで歩くの疲れたと愚痴を言っていた教授が口を挟む。

「シェリルくん。世の中には適材適所というものがあってだな。肉体労働はアイゼンくんのような脳まで筋肉でできている人間に任せておけばいいのだよ」


 あれ俺、馬鹿にされてる?……


「じゃあ教授さんのお家でお留守番ですね♪」


「分かった一人13匹だな。吾輩の頭脳もってすれば13匹など容易いものだ」


 草原の中を真っ直ぐに伸びる石畳の道、ここがマホリン街道。


 確かに石畳の上に半透明のスイカほどの大きさのスライムがぴょこぴょこ飛び回っている。


 そのスライムを他のギルドの連中が追いかけて駆除をしている。大体2,3組のギルドだろうか。皆動きがぎこちなく慣れているような感じはしない。


 リトルスライムの駆除のような簡単なクエストは駆け出しのギルドにはうってつけのクエストなのだ。


 まあうちみたいなスローライフを標榜としてるギルドにもうってつけなクエストだけど。


 シェリルさんが口を開く。

「私たちも負けてられませんね。早速始めましょう」

 シェリルさんは腕まくりをするとその辺に落ちてある木の棒を拾上げ……


「うりゃーー」


 シェリルさんが手に持った木の棒でスライムに叩きかかる。


 ひょいっとスライムはシェリルさんの一撃をかわし、そのままバランス崩して尻餅をつくシェリルさん。


 それをみて教授は首を横に振っている。


「そんなことじゃシェリルくんの晩御飯はないな」


 そういわれてちょっとムッとした表情をするシェリルさん。

「なら教授さんなら倒せるんですか?」


「任せたまえよ。吾輩には秘策がある」

 そういってシェリルさんから木の棒を受け取る教授。


「これが吾輩の秘策! みんな吾輩を尊敬の眼差しで見たまえ!」


 教授は何やらぶつぶつ呟く。すると教授の体が光輝く。


「ふふ。吾輩のジョブは学者。バッファーなのだよ。ならば自分にバフを掛けて能力を倍にすればいいだけのこと。これはヒーラーのシェリルくんにはできまいて」


 そういってスライムを殴りにいく。


「うりゃああああああ」


 ポコン! スライムに教授の一撃が当たる。そのまま木の棒は弾かれ教授はそのままひっくり返る。


「元が1だったら倍になっても2しかならないからね……」

 俺がボソッと呟く。


 隣にいたニーナちゃんが頷いている。


 さて俺もそろそろやりますかね。


 とりあえず目に付いたスライムに瞬時で間合いを詰め拳で一撃を繰り出す。ボフンという音とともにスライムは一瞬で砕け散る。


 ほんの1分もかからずに14匹のスライムを倒す。


 他の3人はと……


 ニーナちゃんは眺めてるだけ、二人はスライムに遊ばれてる……


 10分ほどニーナちゃんと一緒に二人を眺めていたが、このままじゃ埒があかないので……

「集合!」

 といって二人を集める。


「「はあはあ」」


 二人が息を切らして集まってくる。


「適材適所ということで俺が50匹倒します」


「はあはあ……それはダメですアイゼンさん……」

 シェリルさんは頑なに反対をする。


「このままじゃ、クエスト失敗になって全員の晩御飯が抜きになってしまうのです」


「そ、それは……」


 ニーナちゃんが口を開く。

「そうなったら元も子もないの……」


「ほらニーナちゃんもそういってますし、ちょっと二人は5分ほど休憩しててください」


「で、でも……みんなでクエストを……」

 そういってシェリルさんは残念そうな表情をしている。


「分かってますよ」

 俺には一つの考えがあった。


「教授は、俺にバフを掛けて、ニーナちゃんはスライムにデバフを。シェリルさんは俺がダメージを受けないようにバリアヒールを」


 本来ならたかがリトルスライム相手ににそんなことをする必要もないけどね。


 俺のその提案にハッとした表情をするシェリルさん。

「……そうでした。私達はギルドなんですよね。お互い得手不得手を補ってクエストをクリアするのがギルドでした」


「そう言う事です」

 ということでみんなの協力を得て残りのリトルスライム36匹を5分ほどで倒してクエストクリアを確定させたのだった。

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