お城まで治安の悪さが目立つシンデレラは、サスペンダー一つで悪漢を投げ飛ばす
FFと言えばこっち派。
(*´д`*)
昔々、シンデレラという可哀想な女の子がおりました。
シンデレラは両親を若くして失い、生前父親が連れてきた継母とその連れ子にいじめられながら暮らしておりました。
ある日、王子様がお城で舞踏会を開くことを聞き、継母とその姉達は急いで舞踏会の準備を始めました。
「シンデレラ! お前は残って掃除をしておくんだよ!!」
「そんな……!!」
シンデレラは悲しみに暮れました。
継母とその姉達を乗せた馬車が去り、シンデレラは窓からその後ろ姿を眺めることしか出来ませんでした。
すると、シンデレラの目の前に魔法使いが現れました。
「シンデレラや。お前は実に可哀想な娘だ。私が魔法でお城へと連れて行ってやろう」
「わあ! ありがとうございます!」
シンデレラは大いに喜びました。しかし、魔法使いはシンデレラに向かって強くこう言いました。
「お城までの道のりは途轍もなく危険極まりない! 心してかかるんだぞ?」
魔法使いが杖を振るうと、シンデレラの着ていたボロボロのワンピースに太いサスペンダーが斜めに一つかかり、そして近くにあったカボチャは巨大な肉に、縁の下のネズミは角材へと早変わりしてしまいました!
「ゆけ! シンデレラよ!!」
こうしてシンデレラは首をかしげながらお城へと向かいました。
お城までの道のりには、魔法使いが言ったような危険が大量に潜んでおりました。火炎瓶を持った男や、ナイフを投げてくる男、そして女の格好をした男まで、多種多様な悪漢が次々とシンデレラの舞踏会参加を妨害してきます!
シンデレラはそれらを次々と角材で殴り倒し、東洋かぶれや警官崩れを闇から闇へと屠り、時折駐めてあった車で憂さを晴らしながら、お城を目指しました。
そしてついに、二回のコンティニューの末にシンデレラは舞踏会へと辿り着きました!
「あの謎のサスペンダーの女は何者だ!?」
王子が興味津々でシンデレラと踊ろうとしました。
「王子様……♡」
シンデレラが朱に染まった角材を投げ捨て、王子様に近付きました。、
──ボコッ!
──ボコッ!
しかしシンデレラはこれまでのクセで王子様をボディブローで殴り付けてしまいました!
──ヒュー、ドカッ!!
「うぉーりゃっ!!」
そしてジャンプからのフライングパイルドライバーで、継母とその姉達を巻き込み、シンデレラ大層な粗相をぶっかましてしまいました……。
「……ヤバ♪」
その時、お城の閉店時間を告げる蛍の光が流れました。
魔法が解けてしまう事を恐れたシンデレラは、頭の上にヒヨコが踊る王子様を置いて咄嗟に逃げ出しました。しかし、慌てて逃げたので、途中でサスペンダーを落としてしまいました。
後日、王子様がサスペンダーを手に、街中の女性を捜し回りました。
「このサスペンダーがピッタリな女性はおらんかね!?」
王子様は首にコルセットを巻き、時折痛そうに首を庇っています。
「わたしが……」
「アタシも……」
「わすが……」
継母とその姉達もサスペンダーを着けてみますが、ブカブカで着けることが出来ませんでした。
「ではそちらの女性の方は?」
王子様が笑顔でシンデレラに手を差し伸べました。
「シンデレラが!? 無理よ、こんなにマッチョだもん!!」
継母とその姉達が盛大に笑い飛ばしましたが、首が痛んでその笑い顔すら直ぐに修まりました。
「…………」
シンデレラがサスペンダーを手にしました。
──ピッタリ!
なんとサスペンダーは吸い付くようにシンデレラの体にフィットしたのです!
「居たぞ!! この娘だー!! 捕らえろー!!」
シンデレラはお城の兵士達に追われました。シンデレラは咄嗟に落ちていた鉄パイプを手に、兵士の群れを薙ぎ倒しながら、何処かへと逃げてしまいました…………。