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転生先は灰かぶり  作者: 紗吽猫
プロローグ
7/166

プロローグ ⑦


「ごめんなさい!!!!」


目の前で土下座をして謝罪する少女を見て、目をパチクリとさせる少年とドラゴン。深々と頭を下げ床に擦り付ける様を見てなんだかおかしくなってきて笑いだした。


「ふっ…ふふっ…。あっははははは」


頭を床に擦り付けているエラの上から笑い声が降ってきて、エラはふと顔を上げた。そこには横に寝そべる様にリラックスした様子で座っているドラゴンとドラゴンに持たれるようにして座る漆黒の髪を持つ美男子がいた。

長い漆黒の髪の毛先の方を後ろ手に三つ編みでまとめ、白く長いまつ毛がいかにも美男子である強調をした風貌。細く無駄な肉の無い身体は長い手足をより際立たせている。


…が、顔面偏差値が高すぎる…!?!!

パアアアアっと眩しく輝くようにそこに鎮座する美男子を見てエラはひっくり返りそうになったのをぐっと堪えて踏みとどまった。


「はぁはぁ…浄化されるかと思ったわ…」


ポツリとそう呟いた声が聞こえていたのかいなかったのか、美男子は笑い過ぎてちょっと涙目になっている。


「ふっふふ…。あー笑った…。こんなに笑ったのは久しぶりだよ…」


「は、はぁ…」


なんだか拍子抜けした気がしたが、逆鱗に触れた訳では無いようで安心した。エラは身なりを整えながら改めて謝罪した。


「先ほどは失礼致しました。周囲に目をやり過ぎて足下が疎かになっていましたわ。改めてお詫び申し上げます」


「ふふっ…キミは真面目な子なんだね。もういいよ。わざわざこうして謝りに来てくれたわけだし、な?」


漆黒の髪の美男子が横に居るドラゴンの頭を撫でる。ドラゴンも納得してくれたのか尻尾でポスンと床を叩いて返事をした。

エラはまじまじと二人を眺める。

…これが乙女ゲームのイケメン…。絵で見るのと生で見るのとでは破壊力が違うわ…。

流石、乙女ゲーム。顔面偏差値の高さにエラは頭がクラクラしそうだ。


「さて。自己紹介でもしようか。ボクはイオニコフ。キミの名は?」


頬杖をつくようにしてイオニコフと名乗った漆黒の髪を持つ美男子。その名を聞いてエラは心の中で「ですよね!」と頷いた。

…そりゃよく知っていますもの!イオニコフ・メルエム=オーデルセン!!確か雑誌のアンケートでも人気ナンバーワンだったキャラクターよ。漆黒の髪が綺麗でまつ毛も長い。美男子そのものだったもの。OPにもシルエットとして登場してたことで話題は沸騰していたわ!神出鬼没でミステリアス、だけど誰よりもこの「何とかしてくれそう」感が溢れててプレイしながらも彼の存在ほど安心感のあるキャラは居なかったわ!


等とコクコク頷きながらトリップしているとイオニコフの顔が目の前に、ニュッ!と現れた。いきなり目の前に綺麗な顔がどアップで映ったのでエラはびっくりして声無き悲鳴を上げて後ろに飛び退いた。その勢いで後ろにあった壁にぶつかった。


「…くすくす…。大丈夫かい?」


イオニコフはクスクスと笑いながらエラに手を差し伸べる。エラはその手を取るかを悩んだがここは素直に倣うことにした。

くいっと手を引かれその場に立たせてもらう。


「…えっと、ありがとうございます」


「ふふ…構わないよ。それで、キミの名は?」


そう改めて聞かれて、まだ自分が名乗っていないことにエラはようやく気が付いた。


「あ…大変失礼致しましたわ。わたくしの名はエラ。エラ・エーデルワイスと申します」


今はドレスではなく制服だが、スカートの裾を軽く両手で持ち御辞儀をするように頭を下げた。エラの実家の身分はさほど高くはないが礼儀作法は身に付けてある。失礼の無いように振る舞った。


「…ふぅん…。エラ、ね。ん、よろしく」


柔らかな微笑みでイオニコフはエラの手を握った。


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