御社ちゃんの性格
就活生が大嫌いな面接。でも、御社ちゃんは基本的に優しい。
「んじゃ、面接を始めるわ。まず自己紹介をお願い」
「〇〇大学から来ました就活太郎です!」
「ふーん、サッカーで県大会。あなた、面白そうね~!」
「あ、ありがとうございます!」
だけど、時として御社ちゃんはドSになったりする。
「――といったことから、私は御社ちゃんを志望します!」
「ふーん。それって別の子(会社)でも大丈夫よね」
「えっ。で、でも、御社ちゃんはこういう事業を展開していて、それが魅力的に」
「私、そんな事やってないんだけど。私のこと知らなすぎじゃない?」
「……す、すみません。勉強不足でした」
更には、御社ちゃんは疑り深かったりもする。
「ESに大学のサッカー部で副部長を努めてたみたいだけど。何してたの?」
「はい、副部長として部長を支え、また部員をまとめ上げました!」
「そう、それで具体的に活かされた場面は?」
「えっ、あっ、はい。3年の県大会の時、チームの課題に私は――」
「なるほどねぇ。こうだから、こうしたと。ふむふむ」
どうやら僕の自己PRや学校生活で力を入れてきたことを疑っているようだ。
そりゃそうか、中には嘘をついて欺こうとする就活生もいる。僕もそうだし。
そんな人は入社後にミスマッチを起こして辞める。傷ついた御社ちゃんが疑心暗鬼になるのも分かる。
「あなたのことは分かったわ。本当に私が第一志望なのよね。他の子に行かないよね」
「はい! 第一志望“群”です!!」
「郡って何よ! どうせ他の子のほうが良いんでしょ!!」
……怒られてしまった。やってしまった。
でも、この質問で第一志望と言わないといけないのはどうなのか。
御社ちゃんだって就活生がいかに他の企業に求婚しているか、自分が大手の御社ちゃんと比べてどうなのかくらい、分かってるはずなのに。
「ふん、まあ良いわ。面接はこれまで。結果は二週間以内に連絡するわ」
「は、はい。ありがとうございました。失礼します!」
その後、無事にお祈りメールが届いた。何がいけなかったんだろうね。