幼馴染
「クスナ導師!」
ファウが叱責する。
「女神像の前でセクハラは辞めていただきたい」
――あれってセクハラだったんだ。
キョウは自分の置かれた状況をいまいち理解できていなかった。
「キョウ! 大体あなたは昔から隙だらけ」
キョウとファウは幼馴染だった。
小さいころはよく遊んだりもしたが、最近は疎遠気味になっている。
キョウとしてはそれを寂しくも感じていて、今日会えたことが実は嬉しかった。
「このロボットは持ち帰って調べてみましょう。ちょうど祈祷も終わったことですし」
クスナは簡易の祭壇を折りたたみ、持ち上げる。
「さすがに、ロボットと二つは持てませんね」
「じゃあ」とキョウが持ち上げる。
「たくましい腕です。惚れ惚れしますね」
クスナが目を細める。
「私が持つ!」
ファウがひったくるように、キョウからロボットを取り上げる。
が、意外にロボットは重かった。ファウは勢い余ってよろけそうになる。
それをキョウが支えようと腕を伸ばす。咄嗟にキョウはファウを抱きしめる格好になってしまった。
「……ごめん」
キョウはさっと身を離す。
そんな二人をクスナはにやにや見ていた。
「やっぱり、私が持とう」
キョウがファウからロボットを受け取った。
ファウはつまらなそうにロボットを睨んだ。
――きっとプライドが傷ついたんだろう。とキョウは思ったが、どこか腑に落ちないものを感じていた。
ファウという女はそんな華奢な女ではない。
隊長を勤めるくらいの女だ。剣の腕も、強さもキョウより格段に上だ。腕力だって相当なもののはず。
そんなファウがこのロボットを持てなかった? 一瞬、このロボットが重くなったようにも感じた。
事実、さっきファウの体を支えた時、かなりの重さがキョウの腕にのしかかってきた。
それで思わず抱きしめるような姿勢になったしまったのだが。
そこまで考えてキョウは赤面した。
「行くぞ」
幸いなことにファウはキョウに背を向け歩き始めたところだったので、キョウのその様子を見ていなかった。
祭壇を持って歩くクスナは見ないふりをした。




