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月色の砂漠  作者: チク


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20/30

魔導師の後悔

     * * *


 クスナは、キョウの家にいた。

 家の鍵はレファイ家に保管されていたものを、こっそり持ち出してきた。


――ここに何かあるんじゃないか。


 ファウが無事に帰ってきた今、レファイ家に雇われてるクスナとしては事件のことを探る必要はないのだが、どうも気になっていた。


 以前、最高位に会うため中央の泉に行って具合が悪くなってしまった。

 その時なるべくルウの地の外れの方に行こうとして、キョウの家にふらりと立ち寄った。

 キョウのおかげで具合の悪さは改善されたのだが、その直後にキョウは髪を切られた――

 クスナがあと少しだけキョウの家に長居していれば……そういう後悔もあった。



 ふと、床に落ちてた紙きれに目が留まる。


『キョウ・テセティア。

 ファウ・レファイを助けたければ一人でついて来い。

 時間の猶予はない』


――ついて来い?

 ここにリゾが来たのだろうか?

 ファウは、場所はオアシスだったと言っていた。

 リゾがここに来て、キョウをつれて行ったのだろうか?

 それなら直接喋ってつれていけばいいわけで、こんな紙切れに書く必要はない。


 そういえば、キョウが故障したと思い込んでた環境維持ロボ。

 あれは、まっすぐキョウの家を目指していたのでは?

 環境維持ロボがこの紙を運んできたのなら、それが一番納得できる。


 ドアから外を見る。

 今は見える範囲には環境維持ロボはいない。

 じっと目を凝らし、地面を見ると、かろうじてキャタピラの跡と何かを引きずったような跡。


 クスナはその跡を辿って歩き出した。

 それはルウの地の外れの方へと向かっている。

 砂漠のど真ん中で、それは忽然と消えた。

 元々、かろうじて見えるか見えないかぐらいの跡だった。突風でも吹いて砂が巻き上がり跡は消えてしまったのかもしれないが。


 クスナは消えた位置に立ってみる。

 迂闊に動けば、自分の足跡でキャタピラの跡がわからなくなる。

 クスナは慎重に様子を探る。

 見えるものに特に変わったものはない。


 だが、何か違和感は感じる。

 しかし、その違和感の正体ははっきりとはわからない。

 目を凝らすとどこまでも砂漠は広がっていた。


「ひらけごま!」

 かの有名なフレーズを言ってみるが、特に変化はない。

 クスナは一人、赤面していた。

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