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月色の砂漠  作者: チク


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リゾの疑問

 キョウは急いで剣を手に取る。鞘に収められた剣は血のような泥のような汚れがこびりついている。

 鞘から剣を抜いてみる。

 刃こぼれや汚れなどはない。

――ということは、戦う前に捕まったか、武器を奪われたか……


 ロボットの頭部には紙が貼り付けてあった。


『キョウ・テセティア。

 ファウ・レファイを助けたければ一人でついて来い。

 時間の猶予はない』


 キョウが紙を手にしてから数秒後、環境維持ロボは進み出した。

 青い水晶のロボットだった。

 キョウは、ファウの剣を手にしたまま、急いで追いかけた。



     * * *


――おかしい。

 リゾは焦っていた。


 完璧な計画とまではいかないが、最善は尽くした。


 リゾの計画では、キョウ・テセティアは真っ先にこの地に駆け付けるはずだった。


 一番隊と二番隊の合同訓練中に襲撃したのは失敗だったか。

 たくさんの兵士を魔法で吹き飛ばし、それだけ強い人間にファウ・レファイが捕らわれたと印象付けたかったのだが。

 一番隊、二番隊が束になっても敵わないから恐れをなし、ここには来ないという選択をしたのか。




 ファウを捕らえた時――


「キョウ・テセティアをおびき寄せる餌になってもらう」

「キョウを? キョウをどうする気?」

 果敢に剣を構え、対峙するファウを魔法で眠らせる。

 ファウ・レファイという女は剣だけでなく、魔法の腕も相当のものだ。眠らせるのは実はかなり労力(魔力)を使った。

 だがそんなことはおくびにも出さず、意識のないファウの体を抱きかかえる。

 残った兵士たちに、簡単にファウを捕らえたかのように印象付けるためだった。


「キョウ・テセティアに伝えろ! かつて、キョウが水脈を開いた地に一人で来いと。猶予はない」

 そう言い残し、姿を消した。

 姿を消しただけで、その場に留まり、状況の確認をしていた。

 兵士たちはきちんとリゾの言葉を聞いていた。

 その言葉はすぐにキョウに伝えられると思ったのだが。


 だが、待てど暮らせど、キョウは己が水脈を開いたこの地に来ない。


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